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葬儀の手配も仕事のひとつ。ケースワーカーという公務員の仕事について

みなさん公務員の仕事についてどのようなイメージをお持ちだろうか。私は某県庁に経験者採用で入庁し、観光、福祉、文化といった分野で計5年働いた。

もともとは民間で15年程働いていた私はというと、公務員に対して、定時で帰れる、そんなに仕事は大変じゃない、辛い仕事はない、といったようなイメージを持っていた。そしてこの認識はだいたい間違いだった。

配属先によって業務内容はガラリと変わるし、2〜3年おきの異動で例えば建設関係から農業関係など全く関係ない部署に配置転換される公務員の仕事は外部が思うほど楽ではない。

綺麗な景色をお楽しみください


私の場合は特に福祉の分野がなかなか貴重な体験だった。市役所と違い、県庁の場合は保健所と福祉事務所が併設されている事が多いと思うが、時はコロナ大爆発の令和2年から4年である。福祉担当の私も保健師さんと一緒にPCR検査や濃厚接触者特定の業務など深夜まで働いた。

また、メインは生活保護のケースワーカーとして、金銭的に生活が厳しい方に生活費を支給する業務を担当した。金銭の支給だけではなく、ゴミ屋敷があれば一緒に片付けたし、病気の方がいれば一緒に病院にも同行する、足腰わるくて買い物にいけない方が食べ物がないと言えば買い物代行もする、言わば何でも屋だ。
ちなみにケースワーカーは県税の取り立てと並んで県職員が最もやりたくない仕事トップに位置付けられる業務である。

しかし私は↑の記事で書いた通りこの業務は天職のように好きだった。
そんな私でもケースワーカーをやっていた2年間で本当につらかったことが3回ある。
そのうち2回は葬式である。身寄りのない方はケースワーカーが全て手配して葬儀場で荼毘にふすことになっている。葬式費用は全て生活保護費、つまり税金だ。私は2度、担当する被保護者の葬式をあげて、骨を拾い、骨壷を抱いて無縁仏として寺に埋葬した。なんども顔を会わせた方の葬式は誰にとっても辛いものだ。また、仕事とは言え葬式の全てを手配して親戚でもない方のまだ温かい骨壷を抱く心労はなかなかのものだ。

残りの1回は担当していた被保護者の自殺である。これは正式に言えば私がその方をとある施設に預けた後に自殺したという事であったがショックだった。
これらの事は、また機会があれば別の機会に記したい。

公務員あるあるとして、時たまクレームの電話で『偉そうな事言いやがって役人が!税金で飯たべてるクセに』みたいな暴言を吐いてガチャンと電話を切る方もいるが、公務員も人間なので最低限の配慮はしてほしいものだ。

このように公務員と言っても業務で葬式をあげたり、なかなか民間では経験しないタフな業務もあるのだ。
新卒や経験者採用で公務員を目指している方、こういう業務もあることを知って欲しい。綺麗なデスクワークばかりではないのだ。知った上で高い志を持って公務に従事して欲しい。

公務員の仕事を楽な仕事だと思っている方には、そんなに楽な仕事ばかりではないという事を知って欲しい。

余談であるが、実の父の葬儀に加えて、仕事でもこうして葬儀の手配を何度も経験しているので私は葬式準備がめっぽう得意になった。葬儀の後は公共料金、電話、ガス、年金、NHK、銀行などへの連絡や諸々の手続きもお忘れなく。


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