『』

『灰色』2021.4.25


描いた灰色は痛かった
味もしない 変わり映えもない
あの日に戻るにはもっと多くの
時間と代償が必要だった

「こんな日々も愛したい」
こんな歌も歌わなくていい程の何かが
ずっと欲しいまま

嘘と理想で塗りつぶした人生に意味はありますか
花がただ美しくて風に移ろう感情をどうか
壊してくれませんか もう夜を待ちたいから
全部忘れて 遠去かって さようならをなぞって


痛み分けなどできようか
交わらないこの思いだけ
あの日を糧に生きていたなんて
到底言えそうもないな

つまらないけど大切な街並みが
消えないようにと祈る

幸せは空白でできている余生に愛はありますか
月がただ朧げで雲に隠れた心情をどうか
壊してくれませんか また夜が明けるなら
全部描いて 形取って さようならを攫って


逢いたいだけ ずっとずっと
忘れられそうもない
涙に映った 滲んだ灰色が
息を止めて


現実だけが真実だなんてあんまりじゃないですか
空の色さえ苦しくて 解いてしまった脆さをどうか
壊してくれませんか もう夜を待ちたいから
全部忘れて 遠去かって さようならをなぞって






テーマが明白にあったのかどうか、
あまり憶えていないけれどとても好きな詩
ただただ悲しかったのだろうか

過去に書いた詩が後の自分自身の境遇に重なってくるなんて、思いもしなかったことだ。


悲しみはどうしたって美しく書いてしまう



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