究極の六倍 / Ultimate sextuplex
読みかけの本が、二つある。
一つは、倉阪鬼一郎『薔薇の家、晩夏の夢』。以前読んだものを読み返している。暗号は芸術だ、と書かれていて、いたく感動したのは確かこの本だったはずだ。
この本に出てくる暗号は、文章をそれとなく伝えるというよりも、「作品」として完成されている。独自の美意識を持って文に二重の意味を重ねるという意味では、むしろ和歌で使われる掛詞に似ているかもしれない。
私も同じ、と言うのはおこがましいが、暗号を「謎」ではなく「作品」として作りたいという気持ちはずっと持って