見出し画像

待ち受け画面がフリー素材の春菊である説明をさせてくれ

私のスマホの待ち受け画面は、フリー素材の春菊だ。

画像3

去年の夏、酔っ払っていた私は、スマホをパラレルワールドっぽくしようと思い立った。
私のスマホでは、ショートカットという機能を使い、「5分のタイマー」などの動作をアイコンにできる。そのアイコン(上の写真の3段目の右3つ)がやたらとのっぺりしているのを知ったのが、直接の原因だった気がする。「パラレルワールドのアイコンだ!」と思ったのだ。

普通のスマホをパラレルワールド風にするためには、2つの点を変える必要があると思った。
1.日本語のアプリ名
2.背景画面
である。

1.は簡単だ。アプリ名が日本語のものは、まとめてフォルダにしてしまえばいい。待ち受け画面に表示されるのはフォルダ名だけだ。そこを変えれば良い。どうせだからと、当時学習中だったスペイン語にした。パラレルワールドの日本では、英語の代わりにスペイン語を習うのだ。

画像4

2.の背景は少し迷った。パラレルワールドの人も背景は好きに変えるだろうから、デフォルト背景っぽさを出さないとパラレルワールド感は出ない。パラレルワールドのデフォルト背景って何だ?
デフォルト背景ということは、無難でないといけない。誰でも使えるようにだ。それでいて、デフォルトっぽさがある画像。……フリー素材では?
無難さは当然ある。それに加えて、フリー素材にはそれとわかる独特の雰囲気がある。こっちの世界で「フリー素材っぽさ」と呼ばれる概念が、向こうでは「デフォルトっぽさ」と受け取られるのではないか。

有名フリー写真サイト「ぱくたそ」で、私は数枚の写真をダウンロードした。どれもいい具合にフリー素材らしく、つまりパラレルワールドのデフォルトらしくしている。どれを選ぼうか。

そういえば、デフォルトの背景に人間が写っているという話は、あまり聞いたことがない。人間がいると無難さが薄れるということかもしれない。じゃあパラレルワールドは逆だろう。デフォルト背景にも、人間の顔が写っているものが多いに違いない。

結果、人間の主張が強い写真として、私はこれを選んだ。

画像1

次の日。目が覚めてスマホを開けると、アプリの隙間から知らない人と目が合った。なぜか不快感が込み上げてきた。自分のプライベートな領域を侵された気がしたのだ。人間がデフォルトの写真に出てこない理由はこれか。とっさに画面をスワイプし、天気や株価が出る画面に変更した。

ウィジェットの隙間から、ちょうど彼の目が覗いていた。

画像2

※再現画像を撮ろうとしたところ、表示方法が変わっていてうまく撮れませんでした。思い出しながら描きこんだものをご覧ください。

私は即座に待ち受け画面を変えた。人間がダメだった場合に備えて準備しておいた、春菊だ。菜っぱは野菜の中でも特に野菜らしいと思って選んだのだった。

というわけで、私の待ち受け画面は春菊になった。待ち受けにしたい画像が現れるまでそのままに…と思って放置していたが、特にそんな画像が現れることもなく、なんとなく春菊のままになっている。

事情を知らない人が見たら、春菊の待ち受けに違和感を覚えるのだろうか。そうでなければ、私はあってもおかしくない世界線を仮定して作り上げたことになる。私の勝ちだ。

画像5


この記事が参加している募集

#やってみた

37,443件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?