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ショートショート 遅い紅葉と、じぶんの未来―

”ボク”は、久しぶりに近くの公園に
行ってみた。
するとそこには、遅い紅葉がまだあった。


今年はすることが多くて、
なかなか紅葉を見に行けなかったので
嬉しい。


ほとんど終わっているとはいえ、
ところどころ赤や黄土に燃える、紅葉を
みつけられた。



そうそう、このカサカサという落ち葉を踏む音
枯れた落ち葉の匂い
これはずっと変わらない。
そして、紅葉のすきなところだった。



川のなかを泳ぐ水鳥と、その川にたま
ったようにたくさん浮かぶ、
黄色い落葉

水鏡のように、水面に紅葉が映って
美しい。



こんな穏やかで綺麗で、
澄んだ空気の景色がある場所に暮らしてるのだ
と思った



それから、ボクはよく考えてみれば、
どうしてもここに住み続けなければ
ならないほど縁があるわけではない
この街に、あとどれくらいすめるの
だろうかとも思った



まだ夕陽になる前の、落ちかかった
太陽が
ボクの前の風景を照らしている。


まるで、柔らかくフィルターを
かけているようにやさしい景色が
広がっている。



黄色い落ち葉が、
花吹雪のように舞い落ちるなか、
ちらほらと散歩する
人々とすれ違う



現実だが、
ミュートでスローモーションが
かかったように
どこかの出来事のように
美しくみえる。


きっといまの、
ボクたちが過ごしてる時間だって美しく、
終わってしまえば
かけがえのない、
キラキラと輝くひかりのようなものなのだろう


ありふれた、なんでもない日常が。


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