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【サクライ雑記】J. Cole / 迷いながらも前進を続け、ブレイクスルーを重ねるアーティスト

こんにちは、サクライです。

2021年は大物アーティストたちのリリースが立て続けに行われるという噂が、年始から業界界隈で囁かれていましたが、ついにその一角J. Coleが前作「KOD」から3年ぶりのアルバムとなる「The Off-Season」を発表しました。

サードアルバム「2014 Forest Hills Drive」以降、客演を一切招かない制作スタイルだったところから一転、今作では21 SavageやMorrayにLil Babyという注目アーティストから、レーベルメイトのBasにSpillage Villageから6lackを招聘。

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クレジットに名前は無いものの、The DiplomatsのリーダーCam'ronが一曲目95.southにシャウトで参加しています。
また同曲のアウトロにはLil Jon & The East Side BoyzのPut Yo Hood Upのボーカルを差し込んでいたり、Jay-ZのU Don't Knowと同ネタ使いのトラックだったりと、これでもかというくらいの青春プレイバックな一曲。

プロデューサー陣も自身に加えて、Mayer HawthorneとのユニットTuxedoも好調なJake One、90年代後半から現在に至るまで第一線級の活躍を続けるTimbaland、【Post Malone - Congratulations】や【Camila Cabello - Havana】のスマッシュヒットで名を馳せたFrank Dukes、【Rihanna - Work】や【Drake - Controlla】にて世界中のフロアを虜にしたBoi-1da、時代を代表する楽曲である【Kendrick Lamar- Swimming Pools (Drank)】や【DJ Khaled - I'm On One】を手掛けたT-Minus、Dr. Dreのアルバム「Compton」やKendrick Lamar「Damn」の参加により西海岸にその人ありと言われるDJ Dahiなど、実力派揃いの豪華面々が大集結。

(↑豪華プロデューサー陣の代表曲たちにリンクを貼付しています。どれも本当に素晴らしい楽曲で一つひとつお話をしたいのですが、キリがなくなってしまうので割愛。)

Kendrick Lamar、A$AP Rocky、Drake、Travis Scott、Tyler The Creatorらと並び、時代を代表するアーティストと呼んでも過言ではないJ. Cole。

コンシャスヒップホップとも評される理知的な歌詞に、他アーティストへの楽曲提供も手掛けるプロデュース力、らしさ際立つ確立された音楽スタイルに、唯一無二のライブパフォーマンスとその魅力は多岐にわたります。

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この2019年NBAオールスターのハーフタイムショーの圧巻のパフォーマンス!
もはやバスケットボールの余興どころか、このライブがメインなのでは!?と、感じてしまうレベルです。
(セットリストは、Middle Child→a lot→ATM→Love Yourz→No Role Modelz)

Billboard 200というアメリカの人気チャート(日本のオリコンのようなCDの実売に加えて、デジタルダウンロード数やサブスクでのストリーム数など様々な指数から算出されているランキング)にて、デビューアルバムから5枚目に至るまで全てのアルバムで最高位第1位を獲得。

Bas、EarthGang、JID、LUTEにOmenが所属する自主レーベルDreamville Recordsの主宰と並行して、24歳で業界の大御所Jay-Z率いるRoc Nationの第一弾アーティストとして契約した経歴は伊達ではありません。

毎年10名前後の要注目の新人アーティストを紹介するXXLマガジンによるXXL Freshman Classにて、Nipsey Hussle、Freddie Gibbs、Wiz Khalifa、Jay Rock、Fashawnらと共に2010年に選出されています。

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XXL Freshman Classに選出されたアーティストによる、恒例の即興ラップ・フリースタイル。
現在では選出メンバーが一堂に会してビートと共にサイファー方式にて披露するのが主流ですが、J. Coleが選出された2010年までは無音の中で各アーティストが別個に収録しています。
(※サイファー:複数人が円状になりビートに合わせて、替わるがわるラップをしていくことから由来)

グラミー賞では受賞こそ2020年に最優秀ラップ楽曲賞を獲得した【21 Savage - a lot feat. J. Cole】のみながら、今まで計12回のノミネートを誇るアワードの常連アーティストの一人です。

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21 Savageのセカンドアルバム「I AM > I WAS」収録曲a lot。
成功とそれに付き纏う影、どちらも認識した上で向き合う意思を表現した楽曲。
East of Underground - I Love You(The Fuzzのカバー)をサンプリングした、優しくも少し物悲しさを感じるトラックに、淡々とした二人のラップが好相性です。

まさに疑う余地がないほどにスターダムをのし歩いているように見えるJ. Coleですが、多くの葛藤や紆余曲折を経て今の姿があるのです。

迷いながらも前進を続け、ブレイクスルーを重ねる天才アーティスト。

そんな彼のデビューから現在に至るまでの歩みを、可能な限りコンパクトにまとめました。

01. キャリアスタート

12歳からラップを始め、14歳のクリスマスに母親からプレゼントされたENSONIQ ASR-Xを使って楽曲制作も開始。
(※ENSONIQ ASR-X:楽曲製作用のサンプラーと呼ばれる機材の一種。「The Off-Season」にも参加しているJake OneやTimbalandをはじめ、Kanye WestやThe Neptunes、The Alchemistなど名プロデューサーに愛好者の多いASR-10の後継機。)

大学進学を機に、育った町であるノースカロライナ州Fayettevilleから、ヒップホップの中心地であるニューヨーク州へ。

2007年にデビューミックステープ「The Come up」をリリース。
(※ミックステープ:正規流通の音源ではなく、直接の手売りやストリートの物販などで販売もしくは配布されていた音源のこと。00年代後半頃からはDatpiffなどのオンラインプラットフォームにおいてのフリー配信が主になっています。)

そして、2009年にリリースしたミックステープ「The Warm Up」の収録曲Lights Pleaseが大御所Jay-Zの耳に留まり、まさにシンデレラのようなサクセスストーリーが始まります。

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ミックステープ「The Warm Up」収録曲Lights Pleaseは、J. Coleの名声を瞬く間に広め、デビューアルバム「Cole World: The Sideline Story」においても再収録されることに。
三つ子の魂百までとでも言うべきか、今でも各地のライブでこの曲を披露しているほど。
多くの人にとって、J. Coleを知るきっかけとなった一曲なのではないでしょうか。

02. Roc Nationへの所属

精力的に自分から様々なアプローチを仕掛け、先述のミックステープのリリースの反響もあり、遂に念願叶って当時既にレジェンド級のアーティストであったJay-Zへのコンタクトに成功します。

11枚目のアルバム「THE BLUEPRINT 3」の制作に取り組んでいたJay-Zは、当時無名だったJ. Coleを収録曲A Star Is Bornの客演へ招きました。

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この楽曲で見せつけた確かなスキルにより、Jay-ZはJ. Coleの才能を認めることに。
この曲の録音後、即座に自身のレーベルRoc Nationの第一弾アーティストとして契約し、アルバムリリース後のライブツアーにも同行させました。
この裏話に曲のタイトルがA Star Is Born(スター誕生)というのが、またニクい。

晴れてレーベル所属アーティストとなったJ. Cole、その後も様々なアーティストの楽曲へと客演することで、そのキャリアを着実に積み重ねて行きます。

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Black Starを経てソロアーティストとしてノリに乗っていたTalib KweliとプロデューサーHi-TekによるReflection Eternalの楽曲Just Begunでは、Jay ElectronicaとMos Defという実力派アーティストたちに囲まれながらも唯一無二の存在感を発揮。
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今やR&Bシーンに無くてはならないアーティストとなったMiguelのデビューアルバム「All I Want Is You」の表題曲では、ベテランプロデューサーSalaam Remiのソウルフルなトラックの上で初々しい二人のフレッシュな掛け合いが楽しめます。

立て続けに他アーティストへの客演曲で成果を残したことで、2010年5月に自身のシングル曲Who Datを発表。

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Roc Nation所属という肩書きはあるものの、このシングルリリースは正規デビュー前にも関わらず、USラップチャートでは最高19位まで上り詰めます。
契約から一年が経過し、遂にデビューアルバムリリースのカウントダウンか、と注目が増していきました。
(この曲はアルバムのデラックス版のみ収録。)

また2010年11月にリリースした3枚目のミックステープ「Friday Night Lights」では、DatPiffにおいては170万回ダウンロードされ、前作のダブルプラチナを越えてダイアモンド認定。

国内外で今か今かと待ち侘びられていたJ. Coleのデビューアルバム。
着実にシーンの注目を集めていたにも関わらず、なかなかリリースされないことには理由があったのです。

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以前J. Coleがソロで制作していたIn The Morningを、Drakeが気に入り、二年越しの再録を経てミックステープ「Friday Night Lights」にてリリース。
当時先行してファーストアルバム「Thank Me Later」をリリースしていたDrakeと、デビューアルバムを控えたJ. Coleという未来のスターたちによる開幕前夜な楽曲です。
こちらもまたデビューアルバム「Cole World: The Sideline Story」へと再収録されることとなります。

03. 満を辞してのデビューアルバム

音楽性という意味では既にグルーヴが確立されていたJ. Coleですが、ラジオヒットになったりクラブを沸かせられるような楽曲が足りてないという指摘から、アルバムリリースに至っていませんでした。

ボスであるJay-ZのGOサインをなかなか得ることができずに試行錯誤を重ねながらも、遂にブレイクスルーを迎えたJ. ColeはWork OutとCan't Get Enoughというノリノリな楽曲を立て続けに発表します。

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自身のキャリア最高のヒット曲となったWork Out。
Kanye WestのThe New Workout Planのアウトロ部分、Bosko Kanteのトークボックスをサンプリング。
(J. Coleは元になったこの曲は別に好きだったわけではないと後に述懐。笑)
売れ線を狙ったワンナイトラブがテーマのこの楽曲は、彼を一気にスポットライトが当たるポジションへ押し上げたものの、後述のある大物MCから辛辣な評価を受けてしまい、そのことに苦しむこととなります。
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RihannaがアルバムLoudのコンサートツアー中に、サポートアクトとして同行していたJ. Coleは、Rihannaの故郷バルバドスにてミュージックビデオの撮影を敢行。
チャラそうでチャラくない少しチャラい曲調と映像の雰囲気がバッチリはまった作品です。
ビデオの中にもRihannaが友情出演していることで話題になりました。(終盤に2人でRoc-A-Fellaのハンドサインをしてるのも良き)

この二曲のリリース以降、日本においても各地でJ. Coleの楽曲がクラブプレイで目立つようになったように思います。

バウンスしたクラブ受けするノリと、ちょっとナンパな歌詞が当時の時代背景もあって世界中で受け入れられたのでしょう。

(あとはJay-Zを客演に迎えたMr. Nice Watch!当時爆発的に流行っていたダブステップを取り入れたクラブバンガーな楽曲で、周りでもかけているDJが多かったのを記憶しています。)

それに加えてデビューアルバム発表の目前での、Elle Varnerのデビューシングルでありデビューアルバム「Perfectly Imperfect」収録曲Only Wanna Give It To Youへの客演で、J. Coleのアルバムリリースへの期待値が満タンに。

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幅の広い様々な楽曲が詰め込まれたElle Varnerによる衝撃のデビューアルバム「Perfectly Imperfect」収録曲。
Biz Markie - Make the Music With Your Mouthのパワフルなドラム使いに負けない歌唱力にフォーリンラブな歌詞のバランスが◎
リリース以降、表舞台から姿を消してしまっていたものの、2019年セカンドアルバム「Ellevation」を発表し、円熟味を感じさせる楽曲と共にカムバックしました。

こうして推敲に推敲を重ね、溜めに溜めて満を辞して世の中へ発表されたデビューアルバム「Cole World: The Sideline Story」は、ビルボードチャート1位とプラチナディスクの栄誉を獲得したのでした。

しかし、この成功の裏側にあった迷いや葛藤から、J. Coleは大きな後悔と共に自身の音楽観を見つめ直すことになったのです。

04. 自己の音楽哲学の確立

Work OutのスマッシュヒットはJ. Coleの生活を激変させるほどの成果を与えた一方で、自身が昔から尊敬していた大物ラッパーから辛辣な評価を受けることにも繋がってしまったのです。

「Cole World: The Sideline Story」の収録曲Never Toldの楽曲提供で参加していたNO I.D.(Commonの「Can I Borrow a Dollar?」などの初期のアルバムや最近だとJay-Zの「4:44」への参加で知られるベテランプロデューサー)から掛かってきた一本の電話。

その内容は『Nasがシングル曲Work Outを聴いて"最悪だ、あいつは何であんな曲を作ったんだ?"と言っていたよ』というものでした。

偉大な先輩アーティストを失望させてしまったというショックから、J. Coleは売れ線やヒットを狙うための楽曲製作へ疑問を持つようになり、自身の本来の強みである内容を重視したコンシャスな楽曲制作に注力していきます。

そしてそのショックを基にLet Nas Downという極めて私的なメッセージが込められた楽曲を発表、セカンドアルバム「Born Sinner」へと収録されることとなりました。

(曲中においてJ. Coleは『オレはNasのYou Owe Meみたいなことをしちゃったんだな』と歌っており、お前は釈明しているのか喧嘩を売っているのか、とツッコミを入れたくなります。笑
その後Nasは『You ain’t let Nas down』というメッセージと共に、Made Nas Proudというアンサーソングを発表し、両者は和解。)

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イントロからNasの代表曲Nas Is Likeのフレーズの引用。
そして全編にわたりWork Outのリリース経緯や、幼い頃から尊敬していたNasからの酷評を伝え聞いた件、大衆向けの楽曲がシーン全体にとっても必要だと考えていること、そして自身の音楽に対する決意というものが詰め込まれた一曲です。
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この楽曲はJ. Cole自身もラジオヒットやクラブアンセムにはならないと考えながらも、音楽キャリアの修正を図るためにセカンドアルバム「Born Sinner」の先行シングルとして発表されました。
『And they'll never play this shit on radio』という一節で締め括ったこの楽曲は、アルバムの方向性を示す上で十分な役割を果たしています。

葛藤を原動力に、そのままでいることを良しとせず、二度目のブレークスルーを果たしたJ. Coleは、アーティストとして一回り大きく成長したと言えます。

より自分らしく音楽と向き合った楽曲制作がベースとなったセカンドアルバムは、売れ線や流行りを必要以上に追いかけた要素は無く、全編を通して普遍的な作品として仕上がりました。

(Let Nas Downでも語られている通り、J. Coleはヒットすることしか考えないレーベルは害悪であると考えているものの、キャッチーな曲で多くの人に聴いてもらう重要性も理解しています。)

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外見よりも内面を、他人の言葉などは気にせずに、ありのままの自分自身の本来の美しさを大事に生きれば良い、という非常にポジティブなメッセージが込められた人生讃歌。
TLCを迎えた優しく明るい楽曲は、曲のテーマを説教臭く感じさせずに、晴れやかな気分で楽しむことができます。
プロモーションビデオは2010年にSWATの誤射により殺害された、当時7歳のAiyana Stanley-Jones殺人事件へと捧げた内容となっています。

他にもMiguelを客演に招いたPower Tripや、Kendrick LamarとのForbidden Fruitなどの良作が詰まったアルバムは、この思い切った転換にも関わらずチャートのトップを獲得します。

(リリース当初はKanye Westの「Yeezus」に譲るものの、3週目に首位の座を奪取。自身の考えを結果にて証明しました。)

05. 孤高の道へ

サードアルバム以降、J. Coleはアルバムとしてのコンセプトの強化、そして自分の表現をより作品へ反映するために自身のアルバムへ客演を招かないことを決めました。

その結果、ラジオやクラブで流行りになるような楽曲は確かに減ったものの、アルバムの統一感や作品としての質が向上し、孤高の天才アーティストとしての地位を確立していきました。

デビューアルバムから続くビルボードチャート1位の獲得を今も継続しているということが、まさにその証明と言えるのではないでしょうか。

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自分自身の自伝としてのコンセプトでまとめられたサードアルバム「2014 Forest Hills Drive」。
収録曲であるApparentlyは、成功を手に入れるまで実家の母親に対して親孝行ができていなかったことに対する謝罪が歌われており、Let Nas Downと同じく内省的で真面目な彼の人柄が垣間見える楽曲です。

ノリノリの曲が無くとも、内容がしっかりしたアルバムであれば受け入れられることに確信を持ったJ. Coleは、その後もコンセプトをしっかり持ち、客演を招かずに自身の表現の純度を保った音楽制作に没頭します。

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4枚目のアルバム「4 Your Eyez Only」は、地元から抜け出せず命を落とした友人ジェームズの人生を描いたコンセプトアルバムとなっており、収録曲Changeは犯罪に走るしか選択肢がなくなってしまう有色人種の貧困層を取り巻く社会問題や、銃や暴力を格好良いものとしてしまう価値観に問題提起したメッセージ性の高い楽曲です。

内省的なトピックから社会に対してメッセージ性を持つようになったJ. Cole。
周りに流されず自分らしくあるという考え方は、自身の成功や失敗から得た経験から語られる説得力に溢れた歌詞となって現れていきます。

「2014 Forest Hills Drive」から「KOD」の一連の流れは、J. Coleの意識が内的なものから外的なものへ移行していく様子が感じられ、またアルバム単位でのタイトさも増していき、アーティストとしての成熟を感じます。

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5枚目のアルバムとなる「KOD」。
Kids On Drugs、King OverDosed、Kill Our Demonsを意味しているタイトルのアルバムは、人間の本質的な欲や弱さと向き合い、様々な中毒をテーマにした楽曲をまとめており、Addicted to Moneyの頭文字から由来する収録曲ATMは、拝金主義が根深いヒップホップカルチャーを揶揄しています。

06. 個から集へ

「KOD」のリリース前後から、控えていたはずのラッパーとしての他アーティストへの楽曲参加が活発になっていたJ. Cole。

冒頭で紹介したグラミー賞受賞作品である21 SavageのA lotを筆頭に、自身のアルバムで見せる顔とは異なった魅力を知ることができます。

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毎年夏になると聴きたくなる、Dreamville Recordsに所属するレーベルメイトBasとの楽曲は、成功とは稼いだ金額の多寡だけではないという彼らの価値観を軽やかに演出した極上のサマーチューン。
マイアミのリトルハイチで撮影された映像が曲にぴったりとハマったミュージックビデオは、無限ループで鑑賞できるほどに最高の仕上がりです。
Bas「Milky Way」収録。
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紫の絵文字という意味深なタイトルのTy Dolla $ignによる楽曲。
ツノの付いた悪魔みたいな絵文字という描写から「😈」のことかと思われ、好きな子から届いた絵文字に想像を膨らますようなイメージからきたタイトルでしょうか?
昨年のサクライのベストアルバム「Featuring Ty Dolla $ign」には収録されておらず、シングルリリースのみとなっています。
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J. Coleのニューアルバム「The Off-Season」にも参加しているT-Minusプロデュースによる楽曲は、カリフォルニア州West Hollywoodの高級ホテルThe Londonを舞台にした、成功者によるセルフボースティングソング。
イケイケなYoung ThugとTravis Scottに囲まれながらシニカルなラップをスキルフルに繰り広げるJ. Coleに好感が増す一曲です。
Young Thug「So Much Fun」収録。
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故・GuruとDJ Premierによるヒップホップ黄金期を代表するユニットGang Starr。
Guruが生前に録音していた音源を基に、16年ぶり7枚目のアルバムとしてリリースされた「One of the Best Yet」からJ. Coleを招いたこの曲は、ダイヤモンドの輝きのように永遠に失われることのない仲間や家族との結びつき、そして先人たちの偉大なる作品へのオマージュソングとなっています。

この抜粋した4曲の客演曲からも、J. Coleの音楽素養と幅の広さ、そして実力が伺えるのではないでしょうか。

2019年には自身が主宰を務めるDreamville Recordsの三枚目のレーベルコンピ「Revenge of the Dreamers Ⅲ」をリリース。

たった10日間で全ての収録曲のレコーディングを完成させたというスピーディーな制作秘話もありながら、非常に内容が詰まった作品となっています。

サクライコメント
21 Savageの従兄弟Young Nudyをゲストに迎えた、Dreamvilleメンバー(JID、Bas、J. Cole、EarthGang)による各々の言葉遊びが詰まったマイクリレー。
先行して発表されたJ. Coleによるソロ曲Middle Childのような業界の若手やリスナーたちへのコンシャスなメッセージソングとは一風変わって、疾走感のあるビートに各々のラッパーがレーベルを代表しているという気概が伝わってくる勢いのある楽曲です。
サクライコメント
「Revenge of the Dreamers Ⅲ」の制作ドキュメンタリー。
アトランタのTree Sound Studiosを貸し切りにして、総勢100名を超えるアーティストとプロデューサーが集結し、10日間というタイトなスケジュールの中、入れ替わり立ち替わりに次々と曲を録音していく様子がまとめられています。

07. おわりに

このように多数の客演やレーベルのコンピレーションアルバムの制作を経たことで、共作する楽しさに向き合い、今回の新作「The Off-Season」に繋がったのかなぁとサクライは感じました。

J. Coleが何度も何度も殻を突き破り(時には自分で作った殻も?笑)、成長とブレイクスルーを重ねてきたアーティストだということが、少しは伝わったでしょうか?

素晴らしい楽曲たちと共に、彼の人間性も合わせて楽しんでもらえればと思います。

サクライコメント
「The Off-Season」の制作背景、父親になったことによる変化、そして「The Fall Off」をリリース後に引退を考えているという話について語られています。
(ラッパーの引退話ほど信用できないものはないので、あまり信じておりません。)

余談ですが、先日J. Coleはバスケットボールアフリカリーグ所属Patriots BBC(ルワンダ)へ入団を発表しており、「The Off-Season」のリリース2日後にプロバスケ選手としてデビュー。

出場時間17分、3得点、2アシスト、3リバウンドの結果を残したとのことです。
(以前からバスケの腕前はプロ並みと言われていたJ. Cole、36歳のオールドルーキーがNBAの舞台に立つ日も近い?)

昨年よりPUMAともパートナーシップを締結したJ. Coleは、夢を追う全ての人へ捧げるシグネチャーモデル「DREAMER」を発表。
バスケ選手になるか、ラッパーになるか、ドラッグディーラーになるか、という苛酷な環境で育った彼の挑戦はこれからも続きます。

偉大なアーティストの新たなる挑戦を応援しつつ、梅雨入りのモヤモヤを吹き飛ばす「The Off-Season」収録曲amariで本日はお別れです。

サクライコメント
Timbalandお得意のエスニックな笛の音色が特徴的なトラックの上で、自分こそヒップホップの王位に座する存在だと主張する歌詞にエモーショナルな歌唱が相まって力強さを感じる楽曲です。
タイトルのamariは、J. ColeのマネージャーでありDreamvill Recordsの共同創業者でもあるIbrahim Hamadの息子の名前から。

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