漢詩ざんまい

和歌を読んだり詠んだりするのに漢詩の素養も必要だろうとの思いから、読みまくる漢詩の感想…

漢詩ざんまい

和歌を読んだり詠んだりするのに漢詩の素養も必要だろうとの思いから、読みまくる漢詩の感想などを書いていこうと思います。

記事一覧

白髪へのいたわり

「新楽府 上陽白髪人」より抜粋 白楽天 上陽人      上陽の人 苦最多      苦しみ最も多し 少亦苦      少くして亦た苦しみ 老亦苦      老いて…

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温かい心2

春望 杜甫 国破山河在  国破れて山河在り 城春草木深  城春にして草木深し 感時花濺涙  時に感じては花にも涙を濺ぎ 恨別鳥驚心  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす…

温かい心

春望 杜甫 国破山河在  国破れて山河在り 城春草木深  城春にして草木深し 感時花濺涙  時に感じては花にも涙を濺ぎ 恨別鳥驚心  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす…

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心を養う

禁中  白楽天 門厳九重静  門厳にして九重静かに 窗幽一室閑  窓幽にして一室閑なり 好是修心処  好し是れ心を修する処 何必在深山  何ぞ必ずしも深山に在らん …

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鶴のたたずまい

鶴  白楽天 人各有所好 ひとおのおのこのむところあり 物固無常宜 ものもとよりつねのよろしきなし 誰謂爾能舞 だれかいふなんぢよくまふと 不如閑立時 かんりつする…

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白髪へのいたわり

白髪へのいたわり

「新楽府 上陽白髪人」より抜粋 白楽天
上陽人      上陽の人
苦最多      苦しみ最も多し
少亦苦      少くして亦た苦しみ
老亦苦      老いて亦た苦しむ
少苦老苦兩如何  少くして苦しむと老いて苦しむと両つながら如何

この白楽天の上陽白髪人は、唐の玄宗の時代に楊貴妃が寵愛を受けたがために宮女として宮殿にとどまり一生を過ごした女性の悲哀を詠った歌です。

当時からこの境遇の女

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温かい心2

温かい心2

春望 杜甫
国破山河在  国破れて山河在り
城春草木深  城春にして草木深し
感時花濺涙  時に感じては花にも涙を濺ぎ
恨別鳥驚心  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月  烽火三月に連なり
家書抵万金  家書万金に抵る
白頭掻更短  白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪  渾て簪に勝へざらんと欲す
(執行草舟「友よ」より 「『新釈和漢名詩選』内田泉之助 明治書院」)

前回と同じ杜甫の春望で失礼

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温かい心

温かい心

春望 杜甫
国破山河在  国破れて山河在り
城春草木深  城春にして草木深し
感時花濺涙  時に感じては花にも涙を濺ぎ
恨別鳥驚心  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月  烽火三月に連なり
家書抵万金  家書万金に抵る
白頭掻更短  白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪  渾て簪に勝へざらんと欲す
(執行草舟「友よ」より 「『新釈和漢名詩選』内田泉之助 明治書院」)

漢詩を日頃から読む習慣がな

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心を養う

心を養う

禁中  白楽天
門厳九重静  門厳にして九重静かに
窗幽一室閑  窓幽にして一室閑なり
好是修心処  好し是れ心を修する処
何必在深山  何ぞ必ずしも深山に在らん
(執行草舟「友よ」より 『新釈漢文大系 98 白氏文集二上』明治書院)

禁中とは宮中のことだと思いますが、全体を読んでみるに自分の心のことを詠っているのでしょうから、心というものは自分の家であり、そしてそれは宮中のように誰に見せても恥

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鶴のたたずまい

鶴のたたずまい

鶴  白楽天
人各有所好 ひとおのおのこのむところあり
物固無常宜 ものもとよりつねのよろしきなし
誰謂爾能舞 だれかいふなんぢよくまふと
不如閑立時 かんりつするときにしかず
(「『新釈漢文大系 98 白氏文集二上』明治書院」 執行草舟「生きる」より)

初投稿は私の好きな著述家である執行草舟氏が畏敬する白楽天の詩を取り上げたいと思います。
執行草舟氏の解釈の助けを借りると大意は、
人は好むとこ

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