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白髪へのいたわり

「新楽府 上陽白髪人」より抜粋 白楽天
上陽人      上陽の人
苦最多      苦しみ最も多し
少亦苦      少くして亦た苦しみ
老亦苦      老いて亦た苦しむ
少苦老苦兩如何  少くして苦しむと老いて苦しむと両つながら如何

この白楽天の上陽白髪人は、唐の玄宗の時代に楊貴妃が寵愛を受けたがために宮女として宮殿にとどまり一生を過ごした女性の悲哀を詠った歌です。

当時からこの境遇の女性を多数抱えていることに対して批判をする声もあり、この歌もそういった世の中や体制への批判の歌である諷諭詩と言われているようですが、それだけにとどまらないものと思いました。

望んでいたような生活にはならず年老いても続く日常、人気のない部屋で来る日も来る日も過ごす孤独等、生きがいというものを奪われた人生に対して白楽天が寄り添い、それでも健気に生きる人生に魂のスポットライトを当てている歌に感じます。

やりますね、白楽天さん。