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温かい心2

春望 杜甫
国破山河在  国破れて山河在り
城春草木深  城春にして草木深し
感時花濺涙  時に感じては花にも涙を濺ぎ
恨別鳥驚心  別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火連三月  烽火三月に連なり
家書抵万金  家書万金に抵る
白頭掻更短  白頭掻けば更に短く
渾欲不勝簪  渾て簪に勝へざらんと欲す
(執行草舟「友よ」より 「『新釈和漢名詩選』内田泉之助 明治書院」)

前回と同じ杜甫の春望で失礼します。
先日息子のラグビーの部活動が花園への予選敗退で終了。

チームの敗退とともに本人も出場ならずでとても悔しい思いをしたかと。
高校最後の年の最後の(となった)試合でメンバーから外れ、試合用のユニホームも着れず試合をグランド内で見守ったものの敗れ、終了後整列してスタンドに挨拶する際も惨めさや悲しさの感情が迫っていたに違いない。

ただ杜甫さんが、
国破れて山河在り、国が破れて山や川や草木の本当の姿が見えてくる
と言っているように、
悲しみを乗り越えて大切なものがわかることがあるのだと強く思うところです。

親族親類で誰もやっていないラグビーを自ら部活に選んで、まぁよくあんな苦しいスポーツを3年間続けてきた、ただそれだけでも誇りに思っていいと感じています。

また、ラグビーというスポーツこその仲間との連帯で、この試合が最後となるがゆえに一層、人との結びつきこそが何事にも換え難いと感じることがあるでしょうし、これからの人生での大いなる財産を手に入れたとも思うのと、この高校の思い出や記憶が今後の人生に深い味わいを与えてくれるものと確信しています。

やはり、杜甫さんはこの歌を温かい心で書いたのだなぁということもあらためて実感しているところです。