与えられるより、与える人の方がより幸せになれる

私は時折、ワークショップでファシリテーターを務めさせていただくことがある。

初めてファシリテーターを務めた時は、「私こういうタイプじゃないし、緊張するしどうしよう」と不安でいっぱいだった。

しかしその後も何度かファシリテーターを務める経験を重ね、今では突然ファシリテーターをお願いされることがあっても「まあなんとかなるか」と思えるくらいになった。

そして何より、ファシリテーションって楽しい。

ファシリテーターって「役割」なんだけど、気づけば私は、素で楽しんでいるだけでファシリテーターになれているくらいに、自然にファシリテーションができるし、楽しめるようになっていた。

そもそもファシリテーターとは、「促進者」の意味合いを持つ言葉だ。

ファシリテーターとは、直訳すると、「容易にすること、簡易化、助成、助長」を意味する。日本語では、協働促進者、共創支援者、進行促進役、「こんなことをおもしろいからやってみませんか?」とそそのかす「そそのかし役」、参加者が持つものをうまく引き出す「引き出し役」等と呼ばれる。

Wikipediaより引用

つまり、ワークショップにおいてファシリテーターを務めるということは、「参加者の交流を促し、場を盛り上げ、結果的に参加者一人ひとりがより楽しさを感じられるようにする」ということだ。

そういう意味でいうと、ファシリテーターとは、「自分の喜びよりも、人を喜ばせることに意識を向ける人」である。

私はファシリテーターとしても、ただの一参加者としてもワークショップに参加するなかで、ある時、「参加者側でいるより、自分がファシリテーターになっている時が一番楽しい」ということに気がついた。

ファシリテーターって場を回す人なので、まあ目立つ。だけど目立つ役割だからファシリテーションが楽しいわけではなくて、私がファシリテーションを「楽しい」と感じる理由の本質は、それが “他者を喜ばせようと働きかける” 行為であるからだと思う。

なぜだか、自分がファシリテーターを務めたワークショップが終わった時の余韻は、一塩なのだ。

上手く言葉に表現できないけれど、すぐに消えることのない余韻が心にぶわっと広がって、とても幸せな気持ちになれる。

そして先日、久しぶりにファシリテーターを務めさせていただく機会があり、その感覚を思い出して、改めて「ファシリテーションって楽しい!」と感じた。

そんなこんなで、きっと私が好きなことだし、もしかすると得意かもしれないファシリテーション。そして将来的にも続けていく可能性のあるファシリテーションを、私は研究テーマにしてみようと思った(ようやく長かった研究テーマ探しの旅が終了しそう 幸)。

心理学では、自分ためにお金を使う人より、他人のためにお金を使う人の方が、より高い幸福感を得られるという研究がある。

そうであるならば、自分より他者に意識を向け、“他者を喜ばせようと働きかける” ファシリテーターが、その場のどの参加者よりも一番幸せになれるという論理とも辻褄が合う。

つまり、自分のための行動を自分でとるよりも、誰かのためを思って働きかけることが、回り回って自分をより幸せにするということ。

だけどファシリテーターってもちろん全員はできなくて、基本的に数人しかその役割を担えない。

それでもその場の全員が幸せになりたい。
そのためにはどうすればいいのか。
それが私のリサーチクエスチョンになりそうだ。

ソーシャルスキル尺度だけでなく、「ファシリテーションスキル尺度」とかあれば、その場で誰が一番幸せを感じられているのか測れそう。

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