hensinnoumi

魔法的だったもの。全てフィクションです。@myinomi____

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    マガジン

    • 断片

      短編

    • 詩と死

      まつわる詩

    • 38分

      懐古と赤いギター。人がたくさんいるところまで。

    • リビングデッド

      壁に棲みついた花束を見て、床に落ちた赤い水滴を見て、かんがえる。死に損ないにも、きょうがやってくる。

    • 青と深海

      世界は、赤に溺れている。

    最近の記事

    やさしさ

    駐輪場の奥、草むしりもおざなりの誰かの家の庭であろうそこはいつも目も開けずに挨拶をしてくる猫が根城にしている場所だった。日当たり悪く、夜になるとひとつだけ紐に吊るされた裸の電球が息絶え絶えに光を吐くような視界が悪い場所で、庭というより小さな小さな空き地のようで、それでも猫はその場所で、ここは自分の城ですとでもいうように毎日目も開けず足も体の中に隠したまま、駐輪場に向かう私に挨拶をしてくるのだった。 猫はいつもひとり。同じ時間に降りてくる私のことを知っているかのように駐輪場の

      • 生活を飼う

        階段を降りて左手の駐輪場へ向かうとき、朝ゴミを捨てて部屋まで戻るとき、1階の他人のベランダをいくつか見る。毎回特に変わりがないが、なにか変わったことはないかと少しだけ覗く。階段に一番近い部屋が空き室になった頃、その2つ隣のベランダにハムスターのケージをみつけた。 勿論冬なので外でハムスターを飼っているわけではない。ケージはからっぽで、天井部分がなかった。最近外に出したのだろうか。この部屋に住んでいる誰かが飼っていたハムスターが死んだのかもしれない。もしかしたらケージを新調した

        • n.t.n.

          知らない夢を見た 知らない未来の誰かの話 中身をばらまけて話したあの日は きっと嘘 お互いに重なって泣いたあの日も きっと全部全部嘘 境目を越えてしまった代償に 問うことも祝うこともできなくなってしまった 好きだったあの気持ちは全部嘘 嘘なので すべての過去が知らない誰かの話 すべての振動が知らない誰かの話 低いテーブルの上の充電器 サイズの合わないコンドーム 結露でびちゃびちゃのコースター ふたつでひとつの生命 バイクの後ろの隙間 知らない誰かの記憶 知らないネオン街も

          • システム異常

            あなたの人生を知らない あなたの生活を知らない きっともう二度と会うことのない あなたの名前を忘れてしまいました それでいいと思いました きっと、 最初からそうだったような気がしている 離れた世界の離れたいきものだったんです いつもふらふらと揺れる振り子人形の 顔は思い出せたことがありません 汚い布で縛って辛うじて生きているあなたの その顔は思い出せたことがありません 夜行バスにはカーテンが掛かっていて 外の様子は何も見えない 自分の様子さえもなにもわからない 元気かと聞かれ

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          • 六月の公園
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          記事

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            朝にみる夢

            浄化した魂はもう 二度と還らないという この世に傷をのこし 私はそれを 小さく舐めながら ゆっくりと息を、 開かない窓に掛けたカーテンが 揺れることはない 意思を持たぬ妖精に 気づかれることもない ぐおんと音を立て 部屋を巡る風に命などない 夜のうちに 消えていれば 消えられていれば よかったのかと自問する 眩しさに閉じたこころの 奥の方で鳴る音が その行く末を見守っている 風が吹いても 息を吸い込んでも いないものには縋ることすら できないと思っていた 幾度となく昇る朝日を

            すべて永遠の春

            濁った名前がとけてなくなるまで きみのもとには帰らない 海に行きたいな なんて夜があったとして 誰もいない海小屋の さみしい窓枠が光らなくても ちゃんと土を踏んで歩きたい 裏切られた後ろ姿が たとえなくとも 壁にうつる数字は 映っては消え、消えては生まれ 時間が経つことは悪いことじゃない だからきみのことは もうみていられない 明日来るはずの朝が 逆剥けで気づかなくとも 春の魚がかえってくる きみのもとに毎年同じように 香りで気付く 金木犀の様に やさしさだと思ったも

            numb

            すべてのしらないふり 読者でいたかった 画面の隔たりがある 人間と気付かないような 人間と思わないような 月の盤面を愛しいと思う 扉の向こう側の未知 今日は雨だよと言われても空は晴れていた 生徒でいたかった 知識の隔たりがある 存在の有無も証明できない 存在を怯えるような 眩しさを愛しいと思う 白を浮かすものは宇宙ではない 電車で3駅は何億光年の距離だ 信じていたかった なにもしらないことを ひとごろしの愛情 性欲と死への躊躇いは似ている 月の満ち干き 血を薄め

            シーセイズ

            あかりをすべて消して その先を見ている これからのことを 全くかんがえない だれもいないキッチンで 壁だけが雪のよう 散らばった氷も ぬめったシロップも 彩りには程遠い あのとき、電車のホームで 目の前のプレートが 行き先を示している これから そこにいくのだろうか そこにいけるのたろうか 誰も変に思わないだろうか 名前も声もあるのに 存在しない君のもとへ いきたかった いけなかった どこにいるのか知らない 近くにいれば存在を証明して それからその電車に乗って 君のもとまで

            あかいいと

            あかい まっすぐなせんをひきました あかい みじかなせんをひきました それは誰にもつながっておらず それなのにまっすぐと続いているようでした 鏡の中の笑顔は私のものでした 誰かがくれる返信は私のものでした まっすぐに白熱電球を見据えると 白の中に黒が見えました 私を覆っている全てのものが 私のために存在していましたが そのどれもが私のためだけに存在しているわけではありませんでした あかい いちまつのせんをひきました あかい さいごのきぼうのようなせんをひきました それ

            接ぎ木

            煙草をやめた もうずっと前 覚えたてでかっこよくて吸ってた 誰かを見て羨ましいと思うのは 退廃的で劣悪ななにか カップ焼きそばのちゃちな味で酔いたかった 生活を送るには厄介な場所に開いた、 穴の痛みで酔いたかった 野良猫の写真を撮り、決して関わらず 今日もカロリーと糖質ばかり摂る いい加減泣くのは飽きて 怒りも悲しみも忘れてしまった どうでもいいロッカーの位置に 少しだけ違和感を覚える様に 煙草をやめた もうずっと前 他人のためにつくった食事は 健康的で見栄えがよくて、そん

            二月

            もうずっと、前髪が伸びたままである。美容院にはあまり行けないから、ひと月おきくらいに自分で切っている。いつもがたがたになってしまうが、誰に見せるわけでもないのでそれでいい。でもそれも最近はめっきりしなくなった。はさみをもつことがなくなってしまった。料理は元々ほとんどしないが包丁をもつこともできず、先日危険ゴミの日にぐちゃぐちゃの紙の皺を伸ばし何枚か重ねてぐるぐる巻きにして捨てた。 刃物が怖くなった。いつからだろう。持つのも見るのも体が無理だ、と拒絶する。こわい。一日の殆どをベ

            命の隙間

            傾いた視界を 真っ直ぐに正そうと そればかり考えていた 不規則な命に 栄養を注ごうと そればかり考えていた 色違いの生活に 同質などなく 歪んだ目前で 電車が滞りなく通り過ぎる そこにあったのは 無機質な文字列だけだったが 隙間に入り込むには 十分な大きさだった 台所の狂気、或いは 寝床の隅、カーテンから滲む日 色彩を持たず 想像力を持たず 質量のない生活をしていた 黒い舌の上で 一喜一憂していたのかもしれない 百円で動くパンダより安い 心臓は私のものだったが 命すら握られて

            地獄じゃあるまいし

            年末、今年最後のゴミの日。日が昇るのを待って、パジャマのままでクロックスをひっかける。片手に燃えるゴミ、もう片手に生ゴミの袋を持って団地内のゴミ置き場を目指した。これから一週間くらいゴミの日がない。念入りに部屋の中をうろつきまわって確認したけど、おもったよりゴミは少なく1袋の3分の2くらいしか埋まらなかった。鼻がむずむずしてたわけでもないのに無意味に鼻をかんでティッシュを袋に入れてそのまま封をした。今年が終わる。2019年が終わる。でもとくになにもない。なにも変わることがない

            バンユーインリョクロックバンド

            残りの人生ギセイにしちゃって 人前で鳴らす唄はどうだい やになっちゃっても戻ってこないし かっこよくもないけどさ 堕落だけが快楽の引きこもり生命 なんちゃって 怠惰な生活送るなら 寄付でもしたほうがよかったか いいねもよくないねもいらないし 承認欲求は冤罪だ 縁側でお茶でも啜って ラリってるのがしあわせなのさ オルタナティブもエレクトロニカも 歌うな 厭うな 誰も僕の前で 残りの人生ギセイにしちゃって 人前で鳴らす唄はどうだい 偽善も博愛も背徳感も かっこよくもないけどさ

            daylight

            信号機の青 林檎の皮 しなびた百円 点々の窓 雪の溝 コインランドリー 親の足先 戻る犬 新潮文庫 枕カバー 切れた電球 溶けない冬季 メイド服 曲がったハンガー 全身鏡 大安と書かれた日曜 止まった時計 四日目で書かなくなった日記を読んで 僕のことをわかってたまるか #詩

            生命はくりかえす?

            となりでねむるその心音に 息が止まりそうになる 久遠が止まりそうになる やっぱりやさしさじゃないってばれてたみたい いたいね いたいね 一緒に 白い太陽が波打つ庭で 呼吸が分厚くなる冬景色で 句点だらけの換気扇の音で やっぱり生きてみたいってばれてたみたい いたいね いたいね 偽物の安寧を届けて 色彩の心地よさを教えて 境内の豊かさを忘れて ひび割れた日常を返して 目に映る瞬きを想像して 箸休めの居場所に悩んで world warがはじまるみたい いたいね いたい