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命の隙間

傾いた視界を
真っ直ぐに正そうと
そればかり考えていた
不規則な命に
栄養を注ごうと
そればかり考えていた
色違いの生活に
同質などなく
歪んだ目前で
電車が滞りなく通り過ぎる
そこにあったのは
無機質な文字列だけだったが
隙間に入り込むには
十分な大きさだった
台所の狂気、或いは
寝床の隅、カーテンから滲む日
色彩を持たず
想像力を持たず
質量のない生活をしていた
黒い舌の上で
一喜一憂していたのかもしれない
百円で動くパンダより安い
心臓は私のものだったが
命すら握られていた
私の生活には君がいたが
君などどこにも存在しなかった
それでも
全てが夢であると言う者も存在しなかった

#詩