マガジンのカバー画像

六月の公園

3
私を忘れないでね。
運営しているクリエイター

記事一覧

梅雨

君は毎日お花を買ってきてた
ドライフラワーにしてさかさまにして壁に飾る
僕には理由がわからなかったけれど、
そうしてる君は何より楽しそうだった

「きょうは百合のお花を買ってきたの」

百合の花?

「真っ白で儚くて大好きなの」

君みたいだね、
褒め言葉だよ?

僕は社会人になった
やっとのことで内定を頂いて君とお祝いするはずだったんだ
君は自分のことのように喜んでくれるんだろうな
この結果も全

もっとみる

夕雨

「ねえ、永遠って信じる?」

学校の帰り道、
きみがむかえにきてくれた
夕暮れの空のしたを並んで歩く

永遠、
そんなもの信じちゃいないさ
でもね、きみとは永遠にいっしょにいたいっておもったよ

今晩のカレーの材料を片手ずつもつと、三つの影が並んで見えた
カレーの袋はそれはいつかのぼくたちの子供の、なんて

「わたしはね、きみとならずっといっしょがいいな!永遠に!」

ぼくもおなじ

もっとみる

地雨

「どこにもいかないでね」

ずっといっしょにいてあげる

「わたしのことわすれないでね」

毎晩君のことおもいだす

窓の外で雨がまばらに降っている
君は雨の音がすきっていってたっけ
ぼくはどうしても憂鬱になって仕方なかったな

雨の日のラジオは電波も悪いしね
月が揺れているように見えるんだ
雨のせいかな、雨のせいだよ

「ひとりにしないで」

きみのこと抱きしめてはなさない

「かなしい

もっとみる