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あかいいと

あかい まっすぐなせんをひきました
あかい みじかなせんをひきました
それは誰にもつながっておらず
それなのにまっすぐと続いているようでした

鏡の中の笑顔は私のものでした
誰かがくれる返信は私のものでした

まっすぐに白熱電球を見据えると
白の中に黒が見えました

私を覆っている全てのものが
私のために存在していましたが
そのどれもが私のためだけに存在しているわけではありませんでした

あかい いちまつのせんをひきました
あかい さいごのきぼうのようなせんをひきました
それは誰にもつながっておらず
あかいといっても真赤に成り得ないせんでした

帰りのバス 文具売り場 からすのなきごえ
支えがなくてもまっすぐでいられるあかいせんは
いつまでたっても誰ともつながらない

もし
これが私が生きるために必要ならば
はやく捨ててしまわないとなあ

#詩