見出し画像

シーセイズ

あかりをすべて消して
その先を見ている
これからのことを
全くかんがえない
だれもいないキッチンで
壁だけが雪のよう
散らばった氷も
ぬめったシロップも
彩りには程遠い
あのとき、電車のホームで
目の前のプレートが
行き先を示している
これから
そこにいくのだろうか
そこにいけるのたろうか
誰も変に思わないだろうか
名前も声もあるのに
存在しない君のもとへ
いきたかった
いけなかった
どこにいるのか知らない
近くにいれば存在を証明して
それからその電車に乗って
君のもとまで
人間であるのに
それを認めたくない
枠だけ引いたそこに
君を入れたくない
心臓がはじまったことを
知らないふりをしていた
溢れる血液を君にあげる
溢れるおもいを君にあげる
なんの役にも立たないけれど
生きてきた証として
持っていて
視線の先を脳内の君を
知らないふりをしていた
なにより大切じゃないから
一番大事じゃないから
無くしてもいいよ
君のこと
存在しない君のこと
誰も傷つけたくないからと
えらぶこともできず
枠だけきれいに磨いている
蹴散らしたところを見せてあげる
友達じゃないでしょう
ぜんぶあげてもいいけど
ぜんぶすててもいいけど
忘れてもいいけど
忘れてほしいのに
存在しない君のこと
無くしてもいいよ
歌詞カードをあげる
君のいばしょをおしえて
存在しているなら
まだ、存在するなら
ふたつぶんのしあわせをあげる
ひとつは大切な人に
渡してあげてね
あかりをすべて消して
その先を見ている
みらいだといいね
地獄だといいね
馬鹿になるのがこわいから

#詩