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累積KJ法 R1ラウンド「何だか気にかかる問題点について」(まとめ)/大塚

最後に、R1ラウンド全4回の内容をまとめます。


 まず第1篇では、管理社会へと変貌し人工知能が幅を利かせ効率化ばかり叫ばれる現代において、人間存在の基底となるカオスをあえて呼び起こすべきだと主張した。極度に管理化され画一化した製品やサービスのみを押し付ける世界で、一方向の受動的な消費者の立場に甘んじることなく、モノや恩、自然などのぐるぐる回る循環を大切にして、適度な欲を得たい。

 さらに、カオスの無秩序や循環の輪廻転生を非生産的な混乱に終わらせることなく、創造的に乗り越え大悟するため、彼我一体となるような芸術を掴み取る。即興音楽やスタンプなどの、自ら矛盾を超越しようとする性質に関心があり、女の子が実像と虚像のあいだで葛藤に悶える神秘性も表現したい。

 また、個人的な悩みとして、人と喋るのに本音を打ち明けられず相手と一体になれないことがある。そこで外ヅラを吹き飛ばしてくれるKJ法をもちいて、その私的な葛藤を乗り越えるのと同時に、渾沌も辞さない人間らしい本音の経済と政治を実現したい。

 企業組織が一丸となって人間味を帯びれば、会社のお金は社員の共有財産として有効活用されるだろう。生きる喜びを得るために、観光の仕事も強制されたタダ働きでなく、金銭的もしくは心理的な報酬につなげるべきだ。また、力仕事に精を出す両親の迫力が消え、子供が親を軽視しはじめた現代では、子孫繁栄の大きな循環のためにも、直観的もしくは全人的な労働や仕事の復活が大事である


こうしてR1問題提起ラウンドが終了しました!再度このラウンドの意義について振り返ってみます。

川喜田二郎1986『KJ法ー渾沌をして語らしめる』中央公論社、p.368

 このラウンドでは、当事者の問題意識を発掘し、それを確認するのがゴールである(五九〜六五ページをも参照)。したがって、取材先は、当事者の心の中なのだ。それも、彼(もしくは彼ら)の中に貯えられている外界に関する知識を集めるのが目標ではない。そうではなくて、自分の心の奥底の状態を見つめ、自分でそれを取りだすのである。いいかえれば、「……したい」、「……が気にかかる」、あるいは「……に困っている」というふうに、問題として取りあげたい感情に駆られるものを、素材として取りあげねばならない。

同上、p.373

このあとは、R2状況把握ラウンドに進みます。

 状況把握ラウンドは、問題提起ラウンドを踏み台にして、はじめて確乎と展開することができる。すなわち、R1がR2の羅針盤になるのだ。しかしR2では、R1の心の姿勢をガラリと一転せねばならない。すなわち、当事者が主観的にどう思っていようと、それとは無関係に、その問題意識をめぐる現実はどうなっているのか、それを冷静に見つめなければならない。このようにして状況を総合的に捉えてみると、目の覚めるような思いをする。

同上、pp.378-379

 具体的には、まず、R1を味わいながら、調査項目をラベル化する。この時の調査項目は、最初からあまり微に入り細を穿たない方がよい。大項目主義がよいのである。

同上、p.379

今回のR1を受けて、そこから調査項目を作成したのが次の図です。

R2状況把握ラウンドへ向けた調査項目

今後、また機会をみてR2ラウンドの図解と文章を連載していきます!


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