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哲学関係

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#読書感想文

ヘルダーリンのエンペドクレス観

ヘルダーリンのエンペドクレス観

 ヘルダーリンの戯曲『エムペ―ドクレス』を読んだ。それは日頃から哲学に関する学説や独自の解釈をyoutubeで動画にして公開されているネオ高等遊民さんに触発されてのことだった。

 正直エンペドクレスについては、高校の教科書に載っている「四元素」のひととしか知らなかった。それをネオ高等遊民さんは、それまでの自然哲学の議論を根本的に揺るがすパルメニデスという巨人の登場というギリシア哲学の文脈から、

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二つのアイヒマンの肖像、あるいは歴史の「客観性」

二つのアイヒマンの肖像、あるいは歴史の「客観性」

 『エルサレム<以前>のアイヒマン』という本が話題になっているらしい。これは明らかにハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン』に対する一つの反応だ。私はこのどちらも読んでいない。読んでいないからそれについて語るのはやや無責任の感もあるが、本それ自体に対してあれこれの批評をしようというのではない。この出来事から敷衍してより一般的に、歴史の「客観性」について云々するつもりだ。

アイヒマンの二つの

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