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カフェでアルバイトをしていた大学生は、職業的にはクリエイティブな人間になった。日々感じ…

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カフェでアルバイトをしていた大学生は、職業的にはクリエイティブな人間になった。日々感じたこと、映画、シャニマスなどなど

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    私が書いたシャニマスの怪文書(考察、解釈)を掲載しています。解釈違いはあると思いますが、どれも愛を込めて書いているので悪しからず。

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友人の言葉

 先日まで、大学の気のおける友人と旅行をしていた。何度目かの卒業旅行だ。  彼は自らの経験を踏まえて、僕にこう語ってくれた。  エゴな生き物だ。いつの間にか、苦しんでいるのは自分だけなんだと錯覚してしまう。時に、彼女の言葉を心の底から信じきれなくなったり、愛の熱りが冷めてしまう予感に恐怖を感じたり、そんな苦悩の最中にいるのは自分だけなんだと。  そんな中で、僕は彼女の存在が見えなくなっていた。友人の言葉は、僕にとって救いであると同時に、過ちを指摘するような鋭さがあった。

    • エレファントカシマシ「今宵の月のように」を聞いて

      秋の夕暮れは、どんなに日中が暖かろうと、肌寒くなる。日が落ちるのが目に見えて早くなり今年が擦り切れていくのがはっきりと目に見える。切なく、穏やかな空とは対照的に、僕の目に映る地元の駅前の人々は、どこか落ち着かないように、歩き回っていた。 夕方と夜のぼんやりした時間、優柔不断な僕はこの時間が好きだ。 仕事で顔がやつれて老けていく僕と対照的に、彼女はとても綺麗に、可愛くなっていく。いつか、僕より素敵な人が見つかった時に…。そんな想像をするたびに、僕はその場から動けなくなる。土

      • 消えゆく

        悲しくて懐かしい、そんな景色だった。 眩しいほどの日差しが水面を照らし、キラキラと音がするほどに煌めいている。視線の先には水平線が広がる。僕は「これはどこの海なの?」と聞くと、彼女は「これは湖よ」と言った。それは当然のことだった。僕たちがいるのは埼玉県の外れ、たぶん秩父の方だ。自分の馬鹿げた問いかけに、おかしくなって大笑いして、彼女も笑った。すると大粒の涙が流れてきた。そもそも埼玉県に水平線が広がるほど大きな湖なんてないのだ。美しい湖を見て、僕がいるこの場所は夢なんだと悟っ

        • これもまた、とある24歳男の話

          幼い頃に想像していた24歳はもっと…… なんてありふれた話がしたいわけではない。 ただ、世の中の24歳。 広瀬すず、藤田ニコル、那須川天心etc… ホントに僕と同じだけしか生きていないのだろうか?と問い詰めたくなるのだ。同じだけ生きているはずなのに、彼らからは大きく取り残されているような気がする。 そんな焦り。唐突に生まれたモノではない。めでたく社会人となり、24歳を迎えた僕は、分からないことが増えたような気がするのだ。歳を取れば、世の中の真理に近づくことができる!

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        友人の言葉

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          不安の掃き溜め

           不安である。明日から社会人。僕は漠然とした不安を抱えながら、大阪へ向かう新幹線に乗車している。はっきりとした原因は分からない。きっと色々な感情が相まって、僕の不安を形成している。  ぼんやりと見えるのは、全くの新しい世界。人々。そして、自分の姿。それには幾ばくかの期待はあるけれど、同時に失われてしまうものを想像して、気分が沈む。  友人たちが「配属先は〇〇!」と嬉々として話しているのを見ると、寂しくて堪らない。今までの関係性が吹き飛んでしまうような不安がある。「友人」と

          不安の掃き溜め

          想像すること 『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』

           ドラえもんの新作が公開されたことを受けて、Amazonプライムで過去作のすべてが視聴可能となった。  膨大の量を前にドラえもんが刻んだ歴史の重みを実感。ただ、どれを視聴すべきか迷った僕は、主題歌で決めることにした。映画ドラえもんの主題歌と言えば、どれも名曲ばかり…。迷った末に、個人的に一番聴きなじみのあったBUMP OF CHICKEN『友達の唄』を主題歌とする『新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』を観ることにした。 想像すること 本作冒頭、ロボットとロボットが

          想像すること 『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』

          ”難民”について理解する努力

           ウクライナ難民が250万人を超えた。隣国の努力によって積極的に受け入れが進んでいることに安堵する一方で、僕自身”難民”がどのような存在であるのか、深く理解していないことに気づいた。  難民を受け入れることでどのような問題が生じるのか?先に挙げた記事には「一部都市で宿泊施設が不足するなど、十分な支援を行うことが困難になってきている」とされている。しかし、それは短期的な問題であり、長期的に難民問題を概観することが必要だ。  What does it mean to be a

          ”難民”について理解する努力

          僕ら2人は、”時間”と対峙すべきか、身を委ねるべきか

           この気持ちの高まりは、僕らの物語がエンディングに近づいていることを予感させるからだろうか。  ふと、自分の感情が信じられなくなる。僕を本当に支配するのは、愛しさとか恋しさとか、そんな聞こえの良いものではなく、恐れなんじゃないか、と。僕はその恐れから逃れるように、隣を歩くガールフレンドに「かわいい」と言う。その度に、彼女ははにかむ。その顔を見て、僕はもう一度「かわいい」と言うと、今度は彼女が僕の手をキュッと強く握るので、僕は優しく握り返す。そんなことを繰り返しながら、いまの

          僕ら2人は、”時間”と対峙すべきか、身を委ねるべきか

          男の弱さ 〜『ドライブ・マイ・カー』を観て(読んで)

           最近、とは言っても1年以上前のことだが、家族以外で大切にしたいと思える人ができた。彼女と過ごす時間は僕の人生のなかで間違いなく最も強い光を持って輝き、その光はいまも衰えることなく僕の時間のなかにおいて存在を示している。  もっと彼女と多くの時間を過ごしたい。もっと彼女のことを理解したい。彼女と永遠を分かち合いたい。  そんな一見すると甘美な欲求は一歩間違えれば、彼女を深く傷つけることもある。上記にある言葉にはどこか所有欲が垣間見える。いくら彼女と過ごす時間が増えようと、

          男の弱さ 〜『ドライブ・マイ・カー』を観て(読んで)

          「平和」というものが何か。それが無くなりつつあるときに、実態を伴って我々の前に現れるというのは何とも皮肉な…。 駄文であれ何かを書くことで自分だけの世界に入り込める。 「書くということは、…(略)冒険旅行である」 安部公房による一節。少なくとも、僕は書くことで充足している。

          「平和」というものが何か。それが無くなりつつあるときに、実態を伴って我々の前に現れるというのは何とも皮肉な…。 駄文であれ何かを書くことで自分だけの世界に入り込める。 「書くということは、…(略)冒険旅行である」 安部公房による一節。少なくとも、僕は書くことで充足している。

          冬空の下であれ、言葉は容易に溶けてゆく

           2人の間に、僕の言葉が溶けてゆく。  言葉は、恐ろしいほど質量が軽く、儚く、頼りない。  それでも、僕は言葉に依存するしかない。できるだけ多くの願いや思いを込めて、それを織りなす。  体、行動、芸術…。世の中には色々な伝え方があるけれど、結局、言葉にすることが多い。そして、文字や口にした瞬間、胸の内に抱えていたモノが空虚で軽いモノに見えて仕方がなくなる。もう少しだけで良い。言葉に重みを持たせることができる力を、僕にください。そう、願うことが増えた。  どうしたら、こ

          冬空の下であれ、言葉は容易に溶けてゆく

          言葉には、重力がある。 ~西加奈子『円卓』を読んで~

           主人公:渦原琴子と同じ8歳くらいの時だっただろうか。僕の周りのクラスメートたちは、「死ね」「殺す」という言葉を覚え始めた。別に、口にする本人たちに本物の殺意があるわけではない。  しかし、当時の僕は、どうしてもその言葉を平然と使うクラスメートに違和感を覚えて、頑なに先に挙げた2つの単語は使わなかった。今でもその誓いは残っていて、軽口や冗談であっても絶対に使わない。  西加奈子先生が描いた『円卓』は、僕が幼い頃に感じた、言葉に対する違和感のようなモノを解き明かしてくれた。

          言葉には、重力がある。 ~西加奈子『円卓』を読んで~

          「人」でも「ヒト」でもなく、「ひと」 ~小野寺史宜『ひと』を読んで~

           『ひと』は、僕が信頼と尊敬を寄せる友人から紹介された小説である。彼曰く、「活字の漫画」とのことだったが、実際に読んでみるとその表現がひどくしっくりきた。一文が短く、テンポが良い。青年の1年を追う物語で、短くはないのだが、すぐに読むことができた。  死、孤独、恋愛、人生、別れ…。色々な主題が織り込まれており、歳の近い聖輔に自らを重ねて多くのことを考えた。そのなかで、僕の中に残った極めて大きな問いが、 なぜ小野寺先生は「人」でも「ヒト」でもなく ひらがなで「ひと」とタイトル

          「人」でも「ヒト」でもなく、「ひと」 ~小野寺史宜『ひと』を読んで~

          平成生まれの若造が昭和の傑作:劇場版『銀河鉄道999』を令和に観る

           映画のクライマックス、耳に馴染んだ『銀河鉄道999』が流れる。何か始まりそうな、期待と希望に溢れたこの楽曲が物語の最後に使われていることが不思議だったが、映画を最後まで観た私は、なんて一つの旅の終わりに相応しい楽曲なんだと、鳥肌が立った。  アニメは見たことないし、知っていることと言えばEXILEが歌う『銀河鉄道999』と金髪の綺麗なお姉さん(=メーテル)くらいの平成生まれの青年が、どうして令和の時代に、昭和の傑作劇場版『銀河鉄道999』を観ることになったかと言えば、現在

          平成生まれの若造が昭和の傑作:劇場版『銀河鉄道999』を令和に観る

          2022冬アニメ『平家物語』は絶対に面白い

           早速、新年早々に立てた目標を破り、久しぶりの投稿となりました。本年、2本目の記事です。今回はアニメの話をさせてください。  2022年1月12日よりフジテレビ「+Ultra」にて放送されている「平家物語」。「平家物語」とは、「祇園精舎の鐘の声~…」でお馴染みの日本が誇る大古典ですね。その大古典を古川日出夫先生の訳本を原作にアニメ化した作品です。1話を見た後、あまりに良すぎて古川先生のではないですが『平家物語』の古典を買いに行きました。 何と言っても、豪華すぎる 声優陣は

          2022冬アニメ『平家物語』は絶対に面白い

          お雑煮はどうしてお正月にしか食べられないんだろう?/2022年の健康で文化的な最低限度の生活要素 2022/01/02の日記

           こんばんは。2022年がやってきました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。僕は、どうしてお雑煮はこれほどうまいのにお正月にしか食べられないのだろうか、ということについて熟考しています。  どうして、お雑煮はお正月にしか食べないのだろうか。その由来を調べてみると、始まりは何と平安時代。そもそも、「餅」という食べ物が「ハレ」の食べ物であるとのこと…。たしかに、現代では米離れが言われているけれど、一昔前ではお米が食べられない時だってあったのだから頷ける。また、お正月に食卓に並ぶ

          お雑煮はどうしてお正月にしか食べられないんだろう?/2022年の健康で文化的な最低限度の生活要素 2022/01/02の日記