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想像すること 『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』

 ドラえもんの新作が公開されたことを受けて、Amazonプライムで過去作のすべてが視聴可能となった。

 膨大の量を前にドラえもんが刻んだ歴史の重みを実感。ただ、どれを視聴すべきか迷った僕は、主題歌で決めることにした。映画ドラえもんの主題歌と言えば、どれも名曲ばかり…。迷った末に、個人的に一番聴きなじみのあったBUMP OF CHICKEN『友達の唄』を主題歌とする『新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜』を観ることにした。

想像すること

 本作冒頭、ロボットとロボットがお互いに喧嘩をして、故障に追いやる描写があった。僕はそれを見て「どうして?」と思ったが、考えて辞めた。それは人間も同じであり、まるで鏡を見ているような気持ちになったからだ。

 身分の異なるロボット同士で身分差が生まれたメカトピアに対して、地球の人間たちは、優しい心を持ちお互いに尊重し合う素敵な世界。リルルとピッポはそう考えて地球を守る選択をしたが、果たして本当にそうだろうか。

 少なくとも、いまの世の中を見る限り、優しく素敵な世界はどこかに行ってしまったと言わざるを得ないだろう。遠いフィクションの話である鉄人兵団との戦争が、身近に感じられた。もし、タイムマシンに乗って歴史を改変できるなら、僕はそうするだろうか。しかし、そんな勇気はない。そんな自分にも辟易した。

 想像すること。イマジン。これが人間の一番の強みだと感じた。

 ドラえもんたちが、ロボットのリルルとピッポと友達になれたのも、彼らの境遇を想像して、共感しようと努力した結果だと思う。ドラえもんたち5人は意見が分かれることはあっても、判断を誤ることは一度もなかった。その根幹には、イマジンがあったのだ。

 いがみ合ったリルルとピッポも最後には素敵な友人となった。1つの見方を絶対視しないこと。あらゆる可能性を想像すること。あらゆる人の気持ちを想像すること。想像することを辞めてはいけない。

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