【書評エッセイ】ニッポン、チャチャチャ。

最近「俯瞰したい衝動」に駆られています。

普段、仕事などでも近視眼的に物事を見ることがどうしても多くなりがちですが、上の方にスーッと引っ張り上げられて高い高いところから、鳥の眼で、自分も含めた状況を俯瞰したいという気分になるのです。

加えて、海外に住んでいますので、日本の事を外国人に説明しなければならないケースも多く、日本文化を俯瞰的に見たいと思うようになりました。

そこで、「信頼できる筋」(本に関しては失敗しない信頼できる情報筋を持っています)からこの本の紹介を受けました☟

目から鱗落ちっぱなしの本ですが、ここでは「日本語という最大の文化事件」に絞って、引用部分も交えながらご紹介します。

日本人はその当時ですでに一万~二万種類もあった漢字を、中国のもともとの発音に倣って読むだけではなく、縄文時代からずっと喋っていた自分たちのオラル・コミュニケーションの発話性に合わせて、それをかぶせるように読み下してしまったのです。 

日本は中国から中国語をいわば輸入したので、普通であれば、そのまま使う、あるいは多少の変化を加えて中国語の方言のような形で使い続けることもできたはず、というかその方が自然です。

アジア社会では長らく中国が発するものをグローバルスタンダードとしての規範にしてきたのですが、そのグローバルスタンダードに学んだ日本が、奈良朝の『古事記』や『万葉集』の表記や表現において、一挙にローカルな趣向を打ち出し、ついに「仮名」の出現によって、まさにまったく新たな「グローカルな文化様式」や「クレオールな文化様式」を誕生させたということです。しかも、その後はこれを徹底して磨いていった。何を磨いたかというとクレオールな「和漢の境」を磨いていったのです。  

漢字をうまく利用しつつ、「仮名」を生み出し、日本的な柔らかさを加え「グローカルな文化様式」を誕生させたというのは、すごい!と思うのです。

ドナルド・キーンは「仮名の出現が日本文化の確立を促した最大の事件だ」と述べました。その通りです。

おっしゃる通り、これは事件です!

上記は、この本のごくごく一部、正にほんの一点にしかすぎません。

(とにかく古今東西の哲学者、文学者から、遠藤ミチロウ、山本耀司から上田晋也、ナイツまでカバーされているのです)

みなさんは日本文化に造詣が深く、私ほど目から鱗が落ちてないかも知れません。

しかし、私はこの本を読んで、「日本、スゲエ!」と外国人に言わせる本物のネタをたっぷり仕込ませて頂きました😎

俯瞰の旅は、まだまだ続きます。



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