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限界オタクの向かう先は?

わたしは、今まで色んな推しを見つけてはオタクライフを楽しんできた。

彼らは次元やジャンルを超えて私たちに夢を与え、日常に輝くような魔法をかけてくれた。

ジャニーズオタク


わたしは中学生の時にはじめてジャニーズというものにハマった。

なんて王子様みたいな人なんだろうと憧れ、ジャニーズショップで生写真やグッズを買い漁り、彼の出ていた雑誌やドラマや歌番組を録画しては正座して彼らのパフォーマンスを見守ったものだった。純粋なファンだった。

当時の私は好きなものは好き!と隠さずファンであることを発信していたし、メールアドレスに好きなアイドルのイニシャルを入れたり、透明の下敷きにグループ名を書き込んだりしていた。すると周りの友人と雑誌の切り抜きを交換しあったり情報共有が出来たのだ。

彼らの全国ツアーが決まった時、
わたしは友人と参加するのに普段では着ないような派手めなワンピースを買ってもらい、隣の県まで父に送ってもらったのを覚えている。

座席をさがすと一番後ろの柱の隣だった。
それでも初めて生で見る彼はやはり王子様さながらで、私はただただ胸をときめかせた。

ライブに行ったことで彼への応援する気持ちが燃え尽きてしまったのか、あまりの距離の遠さがまるで自分と彼の距離を表しているかのようで冷めてしまったのかは分からないが、わたしはこの後静かに彼らの雑誌を見ることも番組を見返すのも辞めてしまった。

アニメ・声優オタク


受験生のとき、アニメやボカロ、BLが流行った。クラスのあの子たちは受験生という囲いから逃げるように、受けや攻めの話で目を輝かせていた。ドラマCDを貸してもらったりしたが、私には面白さが分からなく声優さんって凄いなぁとぼんやり思った。

最初はアニメにハマった。そのうち声優さんにハマっていった。もとから漫画が好きだったのもあり、今でもアニメは観るし声で誰が役に命を吹き込んでるのかも分かる。
当時はアイドル声優なんて存在しなかったし、好きな声優さんのイベントがあっても知識や財力が圧倒的に足りなかった。

色んな分野で電子化が進み、今では漫画を買う機会がめっきり減ってしまった。気になればレンタルやネタバレを調べることができる世界だ。
お小遣いだった500円は単行本を一冊買えばなくなってしまったのに、大人になった今は一瞬で全巻揃える力を持っている。時にはフィギュアも添えて。

初音ミクがニコニコ動画で流行ったこと、好きな漫画がアニメ化しても家じゃ放送されなかったこと、BLのおかげで性の知識がついたこと。思い出すのは中学校の教室と寒い帰り道だ。

着メロや第4世代のiPod nanoはなくなってしまったけど、今でも変わらないものがある。
10年前も今もCDは配信より円盤が一番良いし、私はずっと坂本真綾が大好きだということだ。

あの頃の私たちは確かに次元を越えた世界に夢中になった。少しの変化を添えて私自身が変わってくのも悪くない。

LDHオタク


父がEXILE第一章が好きだった。
母はディアシスターというドラマに出演していたメンバーに夢中になった。
私はそのドラマに友情出演していた彼にハマった。

彼にハマってから、彼らのMVを何度も見返してはその魅惑的なダンスにため息をついたし、オシャレな彼がフォトエッセイ本を出せばお渡し会に並んだりした。

友人と彼らのライブに行ったとき、
あまりのグッズの多さや、彼らと雰囲気が瓜二つのファンがいること、バックステージに招待されることがあるという事を知った。

条件を満たし、スクラッチを削って横一列に絵柄が揃うと招待チケットになるという仕組みらしい。隣でスクラッチを当てたお姉さんは悲鳴を上げて喜んでいた。祝福する人もいれば、般若のような形相の人もいた。人それぞれだ。

パフォーマンスや演出が普通のライブより凝っていて、彼らを知らない人でも楽しめるライブだったように思う。

それから数ヶ月経つと、初期メンバーの卒業が決まった。父は寂しそうにこのライブ行きたいなぁと呟いた。

卒業となると倍率もより一層高まるし、簡単にチケットは取れなかった。一般発売の数時間前からパソコンに張り付いて画面の文字が"発売前"から"発売中"に切り替わるのを待った。

運が良くチケットは3枚取れた。

私たち家族が同じものを見て楽しめる時間を作ってくれた彼らの存在。その中でも父の好きだった初期メンバーの最後のライブに立ち会い、家族で同じTシャツを着て彼らを見届け、ライブは幕を下ろした。

それから自然と彼らの話をする回数は減ってしまったが、彼らが音楽番組に出演したり過去の番組を特集するたびに父は嬉しそうに観るのだ。

2.5舞台俳優オタク


わたしがこのジャンルにハマったのは乙女ゲームのせいだ。

歴史の偉人たちと恋に落ちて、幸せに暮らすか現世に戻るかの選択肢で話が変わっていくというもの。

わたしは例にならってクーデレ(クール+デレ)キャラと恋に落ちて幸せに暮らす選択をしていた。いつものように彼と幸せな世界に溶け込もうとしていると目に飛び込む舞台化!の文字。

ここからは単純で、
主演の俳優さんが自分と同じ名字で縁を感じたから、画面の中から飛び出してきたかのようなリアルさだったから、などいくらでも理由はある。

舞台を1公演だけ観に行くと、偉人のままの等身大の彼がわたしの真横で立ち止まり台詞を放つ。舞台が終わり気付くとDVDの予約や他の公演日のチケットを探していた。

わたしは彼の名前を検索欄に打ち込み、ブログを見つけた。他の舞台に出る情報を知りチケットを購入した。最初は1公演だけと思っていたチケットがどんどん全公演に変わっていった。大人になったわたしは少し怖かった。

写真集のお渡し会は何度もループしたし、イベントは全抑え、お泊まりのファンイベントにも参加したし、舞台もなるべく通って、グッズを買う。接触があるイベントでは、エステやマツエクはもちろん美容院にいって綺麗な自分にしてもらった。

最初は純粋な気持ちで応援してたのに、有名になっていくたびに新しいファンが増え、舞台も増え、いつの間にかモヤモヤするようになって応援ってなんだっけ、となってしまった。そのモヤモヤはお泊まりのファンイベントで、はっきりと黒いものになってしまった。

SNSで仲良くなったファン同士で同室になったため、雰囲気はとても楽しいものだった。ただ私はもう彼にドキドキすることがなくなってしまい、それは私だけでなく他のファンも感じていた様だった。自分たちのグループには冷たいように感じたし、適当にあしらわれてる気がした。私たちはファンであるにも関わらず、見返りを求めるようになってしまったのだ。それに気づけば残るは地獄。

一番はじめの等身大の彼が私にはもう見えなくなり、ファンとして来てはいけないところまで来てしまった事に泣いてしまった。アンチの気持ちもよく分かる。アンチとは私のように道がそれてしまった人が行き着くとこなのかもしれない。

それでも彼はどんどん有名になっていくし、離れた今だから思うのは純粋にこれからも頑張って輝いてほしいということだ。

オタクに残ったものは


色んなオタクを経験した。
界隈ごとにファンの雰囲気は違うし、年齢層も違う。綺麗な気持ちで応援もしたし、黒い心を持ってしまった時期もあった。

舞台俳優オタク時代に仲良くなった友人たちは私と同じ時期に彼を卒業した。みんな自分のパートナーと出会い、同棲や婚約、結婚とそれぞれの幸せを見つけたらしい。かく言う私も、今は自分の彼氏のオタクだ。等身大のパネルを家に置こうかと目論んでいる。

どの時代のわたしも、気持ちも、全て愛おしい。誰かを好きになるときに発するパワーはとても強いもので、その感情はとても綺麗で美しいが繊細で壊れやすい。

だからと言うわけではないが、
これを読んでくれたあなたの推し生活が少しでも色づいて楽しいものでありますように。