ななしのゴン

ななしのゴンです。私は、私が何者なのかを知りません。私はだれなのか、それを知るための考…

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ななしのゴンです。私は、私が何者なのかを知りません。私はだれなのか、それを知るための考察を書いていきます。

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黒川弘務東京高等検察庁検事長の辞意表明に思うこと

このところ話題の人物となっていた黒川検事長だが、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛期間に新聞記者たちと「賭けマージャン」をやっていたことが発覚し、2020年5月21日、安倍首相に辞表を提出した。 この一報に接し、思ったことはふたつある。ひとつは「黒川さんも案外、まともな人間だったんだな」ということであり、もうひとつは「検察庁法改正案で盛り上がっていた一連の騒動も、これで幕引きだな」ということである。 「賭けマージャン」は賭博罪に抵触する違法行為であるのだが、それはあくまで

    • 新型コロナウイルスとの共生って…

      ウイルスは独自に生存することはできないので、生物を宿主として次から次へと感染していく。そして、宿主となる生物を蝕む。 そんなウイルスとの共存とか共生だなんて、どだいできるわけがない。できるわけがないのに、なぜテレビ等は繰り返しアナウンスするのか。それはウイルスのイメージを柔らかくして、その脅威認識を低減させようとする思惑があるからだろう。 新型コロナウイルスの恐ろしさを直視していては、経済活動を再開することはできない。ゆえに、経済を再開して金儲けに走りたい資本家たち(金儲

      • 緊急事態宣言解除は時期尚早ではないか?

        本日、39県の緊急事態宣言が解除されることが決定的となっている。そもそも、当初は7都府県に発令されていた緊急事態宣言の範囲を全国化したのには2つの理由があった。ひとつには、7都府県以外での感染の流行が見られたからであり、もうひとつには、流行地域からの人口流出が懸念されたからである。すなわち、対象地域における感染状況のみを以って、緊急事態宣言が発令されたわけではないのだ。 今回、緊急事態宣言が解除されるにあたって、私が憂慮しているのは次の2点である。まず、緊急事態宣言の対象地

        • 大阪府の現実(新型コロナウイルス)

          大阪府の新規感染確認者数は減少している。 検査実施件数も増加傾向にある。 しかし、入り口であるはずの電話相談件数はそれほど減少していない。 新型コロナウイルスに感染している疑いのある人はまず電話で相談するようにと、各自治体はアナウンスしている。次に診療やPCR検査に進んで、それで感染が確認された人は自宅待機や入院等となる。 すなわち、電話相談はすべての入り口であるはずだが、大阪府が公表している図を見ればわかるように、電話相談件数はそれほど減少していない。それに検査数も

        黒川弘務東京高等検察庁検事長の辞意表明に思うこと

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        • 考察
          23本
        • 新型コロナウイルスに関する記事まとめ
          30本
        • 勉強メモ
          15本

        記事

          新型コロナ危機と政策決定

          新型コロナにまつわる危機は社会全体に及んでいる。ゆえに、全方位的な政策立案が求められているわけだが、その政策決定に大きな影響を与えている勢力が3つある。政治家、学者、そしてマスコミである。 しかし、彼らは危機から最も遠い人々であり、当事者意識、危機を自分ごととして受けとめる感受性が総じて低い。彼らはエリートであるから、危機によって自らの生活が脅かされる可能性がほぼないのだ。 ゆえに、彼らによる危機対応は極めて緩慢なものとなる。そして人々を危機から保護し、救済するための支援

          新型コロナ危機と政策決定

          新型コロナにまつわる箴言

          ※写真はアメリカの作家、カート・ヴォネガット・ジュニア。 ・基準とは、我々から思考能力を奪い去る罠である。 ・自粛によって、いかなる芸術活動も阻害されてはいない。「芸術換金事業」ができなくなっただけだ。 ・真っ暗な闇夜のなかでは、人々は偽りの夜明けに過ぎないものを、さも本物の夜明けであるように思い込もうとして、暗示を自らにかける。 ・危機の渦中にあってさえ、我々は「救済されるもの」と「救済されるべきではないもの」に選別される。 ・月の裏側にいる人たちに、光が届くこと

          新型コロナにまつわる箴言

          ちょっとした戯れ言を

          今回の騒動で、世の中には芸術換金業者がたくさんいることを知った。彼らはいわゆる芸術作品をせっせと拵えて、付加価値という幻想と熱狂をたんまりと塗りたくったそれを売り歩く、ある種の商人たちだ。 芸術換金業は、パチンコにとても似ている。パチンコ屋さんで上手く玉を入れると、たくさんの玉がもらえる。たくさんの玉を店員さんに渡すと、見るからに平凡な、どこにでもあるような素敵な景品がもらえる。 すると、その素敵な景品を、法外なほどの高値で欲しがっているお店がパチンコ屋さんの近所にたまた

          ちょっとした戯れ言を

          「正しく恐れる」人たちへ

          「正しく恐れる」というけれども、わかってないことだらけの新型ウイルスを「正しく恐れる」とほどういうことだろう? ヒーローや困っている人たちには、必ずタイトル(医療従事者とか、中小零細事業者とか、大学生とか)がついてるのは、どうしてだろう? 自粛しているはずなのに、スーパーやホームセンターではこれまで見たことがないほどの行列ができているのは、なぜだろう? 流行初期に入国制限を訴えて、「金のために命を犠牲にするのか!」と吠えていた人たちが、いまでは「経済が重要だ!」と経済第

          「正しく恐れる」人たちへ

          ほんとうに新型コロナ感染者は減少しているのか?

          ※写真はアラン・ソーカル氏。彼はいわゆる「ソーカル事件」で有名である。 緊急事態宣言は5月末まで延長されたものの、はやくも「出口戦略」という言葉が飛び交ったりして、また、日々発表される新規感染者数も減少しているように見えることから、多くの人は新型コロナウイルスの感染拡大が終息に向かっていると思っているだろう。 しかし私は、そうした考えを否定するひとつの仮説をここに述べたいと思う。それというのも、私はひとつの事実に着目しているからだ。それは「新規感染者数が減少しているにもか

          ほんとうに新型コロナ感染者は減少しているのか?

          慣れてはならないこと

          人間には偉大な機能が備わっている。それは「慣れる」というものだ。もし人間に「慣れる」という機能がなかったら、こんなに悲惨な世の中を生きていくことはできないだろう。人間はどんな出来事にも、環境にも次第に慣れていく。 この機能は偉大であると同時に、非常に残酷なものでもある。「慣れる」という機能の根底には、感受性の麻痺があるからだ。ゆえに、どれほど間違っていることであっても、人間はそれをあたりまえだと感じるようになっていく。「慣れる」ことによる感受性の麻痺は、いかなる出来事や環境

          慣れてはならないこと

          自己犠牲の尊さを忘れた日本人

          新型コロナウイルスを怖れるあまり、医療従事者に向かって罵詈雑言を投げつける人が多くいるという。 彼らの気持ちがまったく理解できないわけではない。医療従事者は感染者の治療に携わっていることも多いだろうから、ふつうの人たちよりも感染している可能性は高いといえる。そういう意味に限っては、医療従事者との接触を怖れるのは当然の反応だろう。 しかし、医療従事者は好き好んで自らをウイルスに晒しているわけではない。感染患者を救うために、危険に身を晒しながら医療行為に従事している。 さら

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          バークとトクヴィルに関するメモ

          エドマンド・バーク(1729〜1797)は「フランス革命への省察(1790)」において、フランス革命について懐疑的な見解を展開した。 フランス革命に自由と平等を立ち上がった市民は、人間の理性によって完成された社会を建設することが可能だとする啓蒙主義を掲げていた。 しかしバークは、現状を破壊し、否定すれば前進するというのは幻想であり、莫大な損害を被ることが少なくないと指摘した。実際、フランス革命は恐怖政治の末に混乱に陥り、その後のナポレオンの専制政治を呼び込むことになった。

          バークとトクヴィルに関するメモ

          功名に捉われる政治家たち

          新型コロナウイルスは、ふだんはあまり脚光を浴びることのない政治家たちを突如としてスターダムに押し上げた。地方自治体のリーダーたちのことである。 このことは我が国でもそうだし、アメリカなどでもクオモ州知事が我が国でも広く知られるようになったことからわかるように、全世界的な現象だ。 しかし、彼らのなかには、純粋な使命感よりも政治的野心を満足させるための機会として、今回の危機に対応している者もいるようだ。そうした野心的リーダーは、自分が常に目立つ存在でいなければならないとの強迫

          功名に捉われる政治家たち

          事業者を救済する必要はない!

          新型コロナウイルス感染拡大を受けた、いわゆる自粛経済のなかで、経営が脅かされている事業者が多くある。ゆえに、政府や地方自治体による事業者支援策が次々と打ち出されている。 私は、一義的には事業者を救済する必要はないと考えている。政府が保護すべきは国民ひとりひとりの生活なのであって、事業者の経営ではないからだ。 ただ、当然ながら、事業者自体は商事登記に記載された紙切れに過ぎないものの、そこで雇用されて働く労働者があり、事業者が倒産してしまうと、その労働者たちの生活が危機に瀕し

          事業者を救済する必要はない!

          ホセ・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」(2)

          保守主義者と思われがちなオルテガだが、彼自身は保守主義者であると同時にリベラリストだと自認していた。 『自由主義は最高に寛大な制度である。なぜならば、それは多数派が少数派に認める権利だからであり、だからこそ、地球上にこだました最も高貴な叫びである。人間という種族が、これほど美しい、これほど逆説的な、これほど優雅な、これほど軽業に似た、これほど反自然的なことを思いついたとは信じがたいことだ。だからこそ、これはあまり困難で複雑な制度である』 『敵とともに生きる!反対者とともに

          ホセ・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」(2)

          ホセ・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」(1)

          ホセ・オルテガ・イ・ガセット(1883〜1955)は文明批評論「大衆の反逆」で著名である。彼の父親は高名なジャーナリストで、母方の祖父は大新聞のオーナーというジャーナリズムの家系に生まれた。 オルテガは「大衆の反逆」で大衆の時代の到来を予見した。大衆の時代とは、近代化のなかで寄る辺なく群集化した大量の人間たちが社会の主役となる時代のことである。また、こうした社会を高度大衆化社会という。 大衆の出現は、大衆が政治の主権者となっていくデモクラシーの時代を呼び込んだ。そのデモク

          ホセ・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」(1)