ハウルにもラプンツェルにもなれてしまった24歳の夏。
「もう終わりだ、美しくなかったら生きていたって仕方がない、、、」
入浴前の脱衣所で鏡の前に立ち尽くし、その変わり果てた顔と全身に嫌気がさして思わずこぼしたハウルの一言。
「あぁ、またハウルの動く城みたいな」って思うと同時に、ハウルのあのセリフは今の私の気持ちそのまま代弁してくれるためにあったんじゃないの?って思った。
症状が出始めたのは5月中旬くらいだろうか、初めは何かに刺されて痒いのかなってくらいだった。
だけど、それはかれこれ今日という今日の日まで続いている、その名も「慢性蕁麻疹」だ。
これはかなり厄介で私の場合、ふとした時に突発的にブワッと皮膚に赤みを帯びて腫れ上がり、痒いどころか少し痛みを伴ってくる。
それでも数時間がたてば何もなかったかのように消えていく、それが永遠に繰り返される。
飲みぐすり以外に塗り薬もひたすらその赤みを消すために塗っているけどイタチごっこにしか思えない。
医者が言うには早ければ1ヶ月位でしっかり治ると言うけれど、調べたらそれは原因が不明確だから何年も付き合っていくものもあるも書いてあった。
けっこう落ち込んだ。
医者の言葉を信じて1ヶ月間位、環境を変えることにした。
お仕事を休職することにした。
たかが蕁麻疹程度で?って思う人もいると思う。
でもね、それは身体にでた限界のサインだったのかもしれない。
今年の春から胃痛や吐き気・頭痛・めまいが出始めていた。
もともと咳喘息持ちだからちょっと疲れたのかなって見て見ぬふりをして流していた。
それが頻回になってきておかしいなって思う頃にはもう遅くて、いつの間にか赤く腫れ上がった楕円状や丸い発疹と睨めっこをしなければいけなくなった。
きっと口に出して言うよりも心身はもっとストレスを感じていたんだ。
休んでからはじめの三日間はこれまでの緊張が溶けたかのように、こわばった身体が悲鳴をあげてひたすら寝込んだ。
箸も持てないほど手は腫れたし、食事をするための気力なんてないからヨーグルト少しとか離乳食赤ちゃんのような生活をした。
身体中が痛くて力は入らないし30分、いや15分も起きていることもできず、お風呂はもちろんさよならした。
死ぬほど天井をぼーっと眺めたり、ゆっくり水に沈んで泡ぶくになるような夢を見た四日目、ようやく身体が動けるようになりはじめた。
1週間と少し経って今は塔の上のラプンツェル状態でいる。
気まぐれにでてくる蕁麻疹以外は割と普通に過ごしている。
家事もできるようになったし、強いて言えばお風呂の時間が厄介なくらいか。
(火照ると否応なしにこんにちはと姿を表す蕁麻疹と闘い、薬を全身に塗りたくらなければいけないのがめんどくさいのだ。)
ただ長時間、外に出るのは難しい。
なんせこの梅雨明けをして、いよいいよ夏本番を迎えた外の世界に適応できるほどの体力と己の皮膚を持ち合わせていないのだ。
あっ、わがゴットマザーの監視下に置かれているのも忘れずに。
外出できずに家事も済ました後は特にやることもない。
ただただ時間が過ぎていくのを待っている。
夏は日が長いと言うことをあらためて実感させられる。
家には人生の夏休みを迎える妹がいて蝉に負けず騒々しい。
ハウルにもラプンツェルにもなれてしまった24歳の夏。
鏡と家が嫌になる前に、はやく普通の私に戻れますように。
ジブリの最新作、見に行けますように。
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