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【怪恐分裂】明かりの間に

俺の仕事が終わるのは、いつも深夜を回っている。
今日も仕事を終え職場から自転車で暗い道路を駆け抜けて5分ほどで家に着く。
古いアパートで、よくある階段が外に剥き出したやつだ。俺の部屋は二階の真ん中で、ついたり消えたりする電灯がある錆びた階段をコツンコツンと音を立て二階へ昇る、蛾が死んでいた。
部屋のドアに201のかすれた文字。嫌なほど音を立てるドアノブを回して開けて入る。
部屋の中は当たり前、真っ暗で何も見えないが手を伸ばしてここら辺だろうと電気をつける。
パチン
俺はこの時が一番嫌いだ。
光がつくその時に何かがスッと隙間に隠れた感じがするからだ。
俺は大声を上げて威嚇する。
「そこにいるのは分かってるぞ!」
ただ静かな、いつもの部屋である。
「はははははは、なーんてね」
そして、風呂に入って夜飯を食べたら就寝する。
電気のボタンに手を伸ばし、押す。
パチン
俺は、すぐに目を瞑り毛布の中に潜り込む。

パチンと言ったその時に、光と闇の合間に奴らは出てくる。
光が消え闇になる時、奴らは笑いながら現れる。

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