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どうして「賞味期限」を過ぎてしまうのだろう?

 台所の机の上にお茶のペットボトルと、お茶の缶がいくつか並んでいる。

 時々、その賞味期限を見て、もうすぐ切れそうなものは、自分で飲むか、そうでもなければ人に差し上げるようにしている。

 だけど、今回、その中で缶に入ったお茶があって、大丈夫だろう、と思って賞味期限を見たら、すでに4ヶ月も過ぎていた。

 さすがに飲むのはやめた。


賞味期限

 今でも、特に自分よりも年齢が上の人と話すと、賞味期限消費期限を見て判断することに対して、そんなことを気にしているのか?といった指摘をされることもある。

 ただ、今も長く生きている人たちは、基本的には健康で丈夫で、おそらくは胃腸も強いから、その人たちには大丈夫でも、体が強くない、こちらにとってはダメージがあるかも、と思ったりもしている。

 賞味期限表示が導入されたのは、昭和60年(1985年)。CODEX(コーデックス)といって、食品の国際基準の規格として「賞味期限表示」が初めて導入された。当時、食品の輸出入に際し、(日本の)製造年月日表示を賞味期限表示にすべきとする、諸外国からの外圧もあったと聞いている。

(「yahoo news」より)

 1985年というのは、もう40年も前になるから、かなりの昔でもあるけれど、すでに自分が生きていた時であれば、それほど昔というイメージにはならない。などと言い始めるのは年寄りの発想なのだろうけれど、だから、私よりも年齢が上の人にとっては、もっと「最近」のことで、だから、気にしてはいられないという発想になるのも自然かもしれない。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0327-12g_0004.pdf (農林水産省・厚生労働省)

 さらに、消費期限は、その10年後(1996年)から表示が始まったらしい。

 自分のイメージで言えば、賞味期限は過ぎても多少だったら大丈夫。消費期限は、それを過ぎたら、飲食物は食べてはいけないのではないか、といった印象だし、それぞれに「公式」のガイドラインのようなものもあるらしいのだけど、なんとなく従っている日常になっている。

商品購入

 商品を購入するときは、値段を気にする。

 同じものだったら(厳密に言えば、全く同じものはないのだけど)、値段を比較する。重さが違って計算が面倒くさいこともあるけれど、今は商品のカードのところに「100グラムあたりの金額」が表示されていることが多い。だけど、文字が小さいから荷物の中から老眼鏡を取り出して見る。

 スーパーによって値段も変わってくるから、なるべく安いところで買うようにしているから、それぞれのスーパーの値段も覚えようとはしているけれど、もちろん全部を正確に覚えられるわけもなく、月が変われば状況も変化する。

 こんなに気にするのは、やっぱり収入が少なく、貧乏だからだと思う。

 それに加えて、最近は販売する側の、値上げに対しての抵抗感が薄れたようで、数ヶ月で何十円か値段が上がってしまうものも少なくなく、なんだか悲しくなることさえある。

 食品に関しても、いつ食べるのかを考えて、やっぱり消費期限を見てしまう。できたら、少しでも先のものを購入しようとするのだけど、それは、あまり良くない、と何かで読んだ記憶もあるので、ちょっと後ろめたくもなったりする。

 だけど、こんなふうにいろいろと検討して購入したりしても、いつの間にか賞味期限を過ぎてしまうことがある。

 どうしてだろう。

どうして賞味期限を過ぎてしまうのだろう

 基本的には、例えば冷蔵庫の中には、多くの食品が入っているからだと思う。

 その扉にはメモが貼ってあって、そこにはそれぞれの消費期限が妻によって書かれている。そのおかげで、消費期限を過ぎての食品ロスはほとんどなくなっている。

 つまりは、こうした努力をしないと消費期限や賞味期限はつい忘れてしまいがちで、基本的には守るのは難しいものだと思う。

 それに加えて、賞味期限を過ぎてしまうものは、どちらかといえば、賞味期限が長いものが多い。

 あ、まだ大丈夫だ。と思って、そして、冷蔵でなければ、棚の中に置いて、だんだん奥に行ったりして、そのうちに視界から外れて、忘れてしまい、思い出した頃には賞味期限を過ぎている。

 そういうものの「代表」(あくまで個人的な感覚ですが)は、缶詰ではないだろうか。

 見た目ががっちりしている。賞味期限は、場合によっては何年か先になっていて、とても心強い。購入時の2年や3年先は、遠い未来に感じて、だから、そのときに安心と共に、ちょっと忘れがちになったりする。

 それでも、たまに何ヶ月か単位で賞味期限を過ぎた缶詰があったりすると、がっかりし、それからは気をつけようと思って、時々確認したりもする。だけど、気がついたら、過ぎてしまうこともある。

 さらには、同じ種類のものがいくつもあると、賞味期限を過ぎがちになる。

 それも、同じメーカーの同じ商品だったりするのに、その賞味期限が何ヶ月か違っていると、摂取するときに、できるだけ古い方から、と意識が働くが、その表示はやはり小さい文字なので、その度に老眼鏡をかけることになり、その一手間が面倒くさいので、妻に確認をお願いしたりもする。

 
 それに、その飲食物が、自分がとても好きだったりするものは賞味期限を過ぎることは滅多にないが、そこまで行かなくて特に好きで購入したものではない場合、常備のような感覚だったりするものは、賞味期限が切れるまで気がつきにくい。

 これは当たり前のことだけど、同じような商品を家に置いておいた場合、どうしても好きの度合いが強い順から消費することになる。その順番が下になると、だんだん賞味期限が迫っていって、場合によっては、過ぎてしまう。

 缶であること。同じ種類のものがいくつもあること。好きの順番で上位ではないもの。

 考えてみれば、平凡で当たり前の条件を、今回の缶入りのお茶は満たしていた。

 だから、というのは失礼だけど、でも、もしも賞味期限を過ぎないようにするならば、やはりメモをするしかない。

 家の災害用のリュックには、非常用のカロリーメイトが入っている。それも店で買うときに、なるべく先の賞味期限のものを選んで買っているのだけど、それでもリュックに入っていると時間が過ぎるのが早いようで、期限が切れてしまったことがあった。

 それ以来、そのカロリーメイトの賞味期限をメモをして、固定電話のそばに貼ってある。最初は遠くに見えたその日付は気がついたら、そばに来ている。

 今は、2024年の5月。と書いてあるので、そろそろリュックから取り出し、食べるようにして、また新しいカロリーメイトを買おうと思う。

(いつもは、カロリーメイトではなくて、より安い、カロリーメイト的な商品を買うのだけど、非常用としては、大塚製薬が「飲む点滴」として発売したカロリーメイトを準備するようにしている)。

忘れられたもの

 両親が亡くなり、空き家になった実家に時々行って、空気を入れ替えたり、庭の整理をしてきた。

 まだきちんと片付けたとはとても言えない状態だけど、時々、昔の缶詰を発見したこともあった。その賞味期限よりも、さらに5年以上も経っていると、あまり正確でない情報かもしれないが、食品によっては発酵が進んで缶が爆発する、といったことを聞いた記憶があり、怖くて持ち帰って処分したこともあった。

 だけど、不思議なほど、長い年月を潜り抜けて、賞味期限もはるかに過ぎた(とはいっても、1985年に制定されたから、長くても40年ほどになるけれど)缶詰は、おそらくは多くの家のどこかにあると思う。

 こうした缶詰を集めて、どこかに展示し「忘られたもの」といったタイトルをつければ、作品として成り立つのだろうか、と思う。できたら、その展示も長くして、安全面を確保した上で、という条件がつくのだろうけれど、本当に爆発するかどうかも確かめたいし、もしそうなったら、それも含めて作品にならないだろうか。

 賞味期限をはるかに過ぎた缶詰は、そんなことを思わせてくれる。



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