「警備ロボット」の存在が、改めて考えさせてくれたこと
都心の新しいビルで、初めて「警備ロボット」を見た時は、ちょっと驚いたのと、未来が具体的にやってきた感じがした。
初めて、「警備ロボッ」トを見たとき
ロボットは、多くはペッパーくんのように、かなり小柄で、それはロボットはどうしてもボディが固いので、同じ大きさだったらかなり圧迫感があるはずで、という配慮のためだろうけど、「警備ロボット」は、それよりは大きく見えた。
それは、警備という役割を考えたら、当然のはずで、ここにいる、ということがわからないと意味がないからで、ただ、何かトラブルがあったときに、その現場に素早く駆けつけて、「どうしました?」といった声をかけることはできないのでは、と思って、少しの間、ゆっくりと静かに動く「警備ロボット」を見ていた。
だけど、ロボットにはカメラもついているし、録音もできるだろうし、警備は案内をするわけではないから、そこにいて、「巡回中」という文字がついているように、ビルの出入り口のあたりを移動し続けているのが目に入ることが重要になる。
人間が警備している時も、考えたら、あまり目立たないように、だけど、ずっと緊張をして、目を配っている姿は見てきた。ただ、人間が警備する場合は、当然疲労もするだろうし、トイレとかどうするのだろう?と思ってきたから、そうしたことと比べると、とにかくずっと動き続けて、カメラなどの機械だけど、監視は24時間続けることができる。
だから、何もしゃべらない(もしかしたら、スピーカーがついていて、何かのときは声が出るのかもしれないが)けれど、そこにいて見ている、という警備の基本をおさえているように見えたから、その能力の数字が正確に出るわけもないのだけど、もしかしたら警備ロボットの警備力というのは平均すると、人間の警備力を上回るかもしれないと思ったのは、とにかく現場にいることができるからだ。
初めて「警備ロボット」を見て、瞬間的には人間の代わりは無理では、と思ったのだけど、そのあと、そんなことを考えた。
だから当たり前だけど、あのロボットには技術と知恵が凝縮されていて、あのスタイルに落ち着いたはずだと思うようになった。
「世界を変えない」
私のように何も知らない人間にとっては、突然、「警備ロボット」が現れたように感じるものの、こうした記事↑を読むと、そこにはきちんとした理由と開発にかけてきた時間と知恵と工夫があったことは少し分かるような気がしてくる。
警備業界が人手不足ということは知らなかったが、低賃金だから、という理由もあるとすれば、確かにロボットが進出しやすい分野かもしれない。
そして、この「警備ロボット」を開発したのは大学の教授と、もう一人で始めた、ある企業だったのも、この記事を読んで初めて知った。
それは、労働に対して、正当な報酬が払われないという構造的な「人手不足」という問題点も、もちろんあるのだろうし、それも解決してほしい点ではあるのだけど、さらに、人口が減少していくと、いくら報酬があっても、本当に働ける人が足りない、という状況まで、それほど時間がないのかもしれない。
だから、こうした「世界を変えない」という、これまでだったら守りのような思想でそれほど評価されないことが、下り坂に見える今の世界だからこそ、魅力的にも思えるのではないだろうか。
この「警備ロボット」は、人間型からはかなり遠いし、警備という役割を考えたら、一見目立たないほうがいいから、こうしたシンプルな造形が適しているのかもしれないが、フィクションの世界でも「鉄腕アトム」を筆頭に、人間社会に何か危機が訪れたとき、その状況を取り除いて、元の世界に戻すのがロボットの役割だったはずだ。
だから、「世界を変えない」というミッションは、確かにロボット本来の目的にかなっているようにも思えた。
ルンバと同じ動き
自分では購入しないし、あれは整った広い部屋がないと意味がないし、買う予定もなくても、「ルンバ」の存在は知っている。自律したロボットのように自分で動いて、状況によって動きを変えながら、部屋を掃除する、という役割を果たし続けているらしい。
だから、その掃除ロボットに直接縁がなくても、それがどういうものかもある程度は知っているから、それは広く社会に浸透しているということだろうし、さらには、「ルンバ」という商品名を、まるで一般名詞のように覚えてしまっている。
自分で動いて掃除をして、エネルギー源である電力が不足したら、自分でドックに帰還して充電する。
それは、すごく不思議なことでもあったのだけど、その電源すら自分でなんとかする姿を見ると、「自律している」という感情を呼び起こしやすいような気がするから、掃除型ロボットを使っている利用者の中に、擬人化している人がいるらしいと聞いても、それほど変なことだとは思えなかった。
初めて「警備ロボット」を見てから、1年ほど経ったとき、また都心のビルで見たことがあった。
当然最初からその機能はあったはずだけど、ルンバのようにドックに帰還して充電中だった。その時間がどれくらいかかるかわからないし、その時間の間は「巡回中」と言えるのか。もしかしたら、何か「動き」があったら、充電の途中でも、そこに近づいていくのか。
詳細はわからないものの、こうしてルンバと同じような動きをしているのを見ると、充電は、動物に例えれば自分で栄養を摂取している食事と同様だから、それを自分でできるのであれば、排泄という行為が不要なロボットは、本当に24時間365日、働き続けることができる、ということを、その姿によって、具体的に伝えてくるようだった。
本当にロボットに仕事が奪われるのかもしれない
こうした「警備ロボット」の姿を見かけると、「人手不足の解消」を超えて、人間の仕事をかわってできるようになって、人間が仕事を奪われる、という段階にすでに突入しているようにも思えてくる。
最初に、この「49%」という数字で連想したのは、その逆の「51%」だった。
自分にとってはドラマなどのフィクションでしか、その数字の大事さはわからず、だから本当の意味で実感するのはその立場にならないと理解できないのだろうと思いながらも、株式会社の経営権をめぐる株式の保有率で、とにかく過半数を占めるのが大事、ということで、でもギリギリに思える「51%」をめぐって、争うというような場面をかなり多く見てきた記憶がある。
だから、この「人工知能で49%の仕事が奪われる」というニュアンスの発表を知ったときに、邪推だと思うのだけど、そこに忖度が働いているようにも思えてしまった。人工知能が49%だとすれば、人類が51%を担うことになる。
もし、人工知能が51%という発表になったら、それは軽いパニックを起こす可能性があるのではないか、そんなことまで考えて、本当だったら、過半数の仕事が人工知能によって担われる可能性があるけれど、少し減らして、というよりも、ギリギリ過半数に届かない49%に抑えたのではないか。
「チャットGPT」の登場
そんな陰謀論のようなことを思ってしまったのは、「チャットGPT」が誕生したからだった。
「チャットGPT」の登場は、「49%」の発表から7年後のことで、まだ利用したこともないから、それほど多くを語る資格はないのは自覚しながらも、「49%」の発表時では、創造性が求められる分野は、人類が担えると予測されていたのだけど、「チャットGPT」の機能を少しでも知ると、創造性の分野でAIに仕事を奪われないのは、人類の中でも本当にスペシャルなレベルの一部の人だけではないか、と予感させたからだ。
サービス志向性に関しても、チャットという形でのコミュニケーションが多くなってきた現在であれば、かなりの割合で、AIが代替していくように思えるから、現時点で、「どのくらいの割合の仕事がAIで代替されるか?」という調査を行うとしたら、びっくりするくらいの高い数値が発表されるような気がする。
だから、そうした調査は新たに行われないだろうというような暗い予感はあるが、同時に、人類がやっと苦役に近い労働から解放されて、本当に働くことができる未来もやってくるように思える。
ただ、そうした恩恵に預かれるのは、働くことの意味の本質などを考え抜くことができるような、とても優秀な、やはり人類の一部に限られるだろうと、すぐに明るくない予測ができてしまうことでもある。
ただ、そうした働くことの意味を問い直して、その本質的な答えを、人類全体で共有できるのではあれば、もう少し未来は明るくなるのだろう。
それでも、AIが現時点で人類が担っている仕事の過半数を代替しているような時代の「働く意味」を考えることは、今の自分では無理なのは、わかっている。
よろしかったら、ここから考えをすすめてくださると、ありがたく思います。
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