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アジサイの楽しみ方を、教えてもらった話。

 近所に公園があって、そこにアジサイが咲いていて、この前、妻が行ってきて、まだピークのはず、といった話を聞いて、そこに一緒に行って、いろいろと教えてもらいたいと思った。

 妻にお願いをして、平日に出かけることにした。

公園までの道

 午前10時40分頃、家を出る。
 妻はリュックと、小さい肩かけのポーチをかけ、私は買っていて、まだ使っていないトートバッグを持った。

 天気は薄曇りくらいで、でも温度はやや高め。歩き始めると、犬の散歩をしている人が意外と多いことに気づく。

 久しぶりに歩いた道では、空き地だった場所に家が建ったり、航空会社の大きな施設が取り壊されていた。これからは黒いスーツで髪をまとめた若い女性たちが、そこに向かって大勢歩いていく姿も見られなくなるのかもしれない、と思う。

 さらに歩く。前からキックボード姉妹(推定4歳と3歳)が向かってきて、すれ違う。スーパーの前を通るときに、駐車場の隅の花壇のような場所で、妻が、ここにヒルザキツキミソウがある、と立ち止まる。

 その後、コンビニに寄って、見た目が珍しいからラベルレスのペットボトルのお茶や、おにぎりや、袋パンや、缶コーヒーを買って、公園に行く。

アジサイの公園

 午前11時前には公園に着く。
 歩くと、そんなにかからないけれど、あれこれ寄ったり、ゆっくりしていたら、結構時間がたっていた。

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 入り口には、すでにアジサイは咲いていて、それは、どうやらガクアジサイらしい。公園は思ったよりも広く、そこにはお揃いの帽子を被った幼稚園か保育園くらいの小さい子供たちが50人くらいいて、列を作って、歩いたり移動したりしているから、全員が同じ施設から来ているわけではないようだった。

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 ガクアジサイは、外側ではなく、その中の小さいところがツボミで、妻に教えられて、これが花で咲いている、と言われて、老眼鏡をかけないと、見えないけれど、それに対して、色がかわいい、といったことを教えてもらう。

 確かに赤や青や紫など、微妙な色が混じり合っているような感じがある。

アジサイを見に来た人たち

 その広めの公園の隅、ゆるやかな傾斜になっている場所に、色々な形の花壇があって、そこに様々なアジサイが咲いている。そこに通路があって、小さい子供たちが列を作って歩いてきて、キレイな花だねー、といった言葉が高めの声で響いている。そのあとから小さい男の子がローラースケートを履いて、坂道で何度も転んで、笑っている。

 アジサイがあちこちにあって、歩いて、見ていると、妻は、立ち止まって小さいノートにスケッチを始めている。年配の男性が立派なカメラを構えて、黙って妻のそばにきて、アジサイの撮影を続けている。すごくそばに黙って立っているから、気になって近くに行ったら、男性は、また別の場所に移動をした。

 他にも高めの年齢層の人たちが、気がついたら、何人もいる。男性は単独行動でカメラを構え、女性は何人かで歩いてスマホで撮影しているようだった。

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 その通称「アジサイ公園」の通路を上がったり、下がったりして、あれこれ見ていると、青・紫・白・ピンクなど、さまざまな色が混じり合っていて、それがグラデーションを作っている場所もあるし、アジサイは本当に色が多く、それを楽しむものかもしれないと思ってきた。

 この広い公園の中では、本当に一角だけど、たぶん30メートル四方くらいのスペースに、とてもたくさんのアジサイがあるのは、分かった。

アジサイの種類の多さ

 妻に聞いた。

「何種類くらいあるの?」

50以上はあるかな」。

「え、そんなにあるの」。

「こんなにあるじゃん。ここだけだって、1、2、3、4…」。

 妻は、少し大きめの声で、指を差している。

「え、全部、違うの?」。

「違うじゃん。色とか、形とか」。

 なんだか、少し怒られた。

 さっきから、写真も撮ったし、あれこれ見ていたから、少し分かった気になっていたのに、そんなに種類が違うのは、分かっていなかった。

アジサイにまつわる言葉

 この場所が「アジサイの丘」と名づけられているのを、看板で知った。
 

 妻が、「あそこにエンジのアジサイがあって」と指さしたけれど、それは、花壇の中の方にあって、注意深く見ないと、分からなくて、よく見えていることに、感心もする。

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 それぞれ別に来たらしい人たちが、アジサイのことで言葉をかけあって、交流している。それを見ていたら、この前、妻と一緒にここに来た人と会って、そこであいさつをして、アジサイの話になった。

 ここのアジサイは、みんなボランティアで植えられているらしいこと。
 毎年、新しい種類のアジサイが、ここに増えていること。

 色や形に関する話題が、幅広く続いていた。

 私にとっては、花の色や、形の違いは、とても微妙だと思って、そのことを、妻に伝えた。

 そうしたら「全然違うじゃん」といったことを妻に言われた。妻にとっては、ここにあるアジサイの違いは明らかに大きく、それぞれの違いも明確に分かっているようだった。

 アジサイの理解への遠さを感じる。

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アジサイの豊かさ

 一通り、見て、30分くらいたっていた。

 今が一番、アジサイがきれいな時期かも、という話にもなる。

 そして、古いお寺などでは、もっと青一色に近いクラシックなアジサイに統一されているけど、ここは華やかなアジサイも多い。どっちがいいというのでなく、どちらも場所に合っていて、華やかなものは観光アジサイと言ってもいいのかもしれない、といった話も聞いた。

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 アジサイが好きな人の話の中では、自然に「あの子」「その子」といった呼び名になっているのに気がついた。

とても小さい「旅行」

 もうすぐお昼の時間だった。周囲の人通りが少ないベンチを探して、そこでコンビニで買ったあれこれを食べた。

 その公園には、テニスやフットサルやバスケットができる場所があったのだけど、フットサルの網で囲まれた場所が、平日は自由に使っていいことを知り、少し嬉しくなる。

 帰りは、そこから近いスーパーに寄った。そこのフードコートでソフトクリームなどを食べ、買い物もして、帰ったら、午後1時を過ぎていた。

 家から歩いて、10分かからないような「アジサイ公園」だったけれど、ちょっとした旅行のような気持ちになっていた。




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