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蒔倉 みのむし
2024年3月20日 16:25
ようやく手に入れた三日月ファストパス。三日月の夜。重厚な扉の前に立つ。防犯カメラに姿を捉えられ「合言葉は」と、問われた。「暗々裏」パスをかざすと、ギギギと音を立て扉が開く。そこは名のある月の夜にだけ開かれる場所。丸見えの満月も、暗闇で存在だけ感じる新月も、裸エプロンや裸ワイシャツのような半分だけ見える上弦や下弦の月も、どれも捨て難い。だけど俺は三日月が好みだ。チラッと見え
2024年2月14日 16:47
僕は怖かった。眠ると真っ暗な世界にぽつんと一人、僕だけになっていた。お父さんもお母さんも居なかった。大きな戸愚呂を巻いた何がゆっくりと僕を飲み込むように近づいてくる。僕はそれが怖かった。眠っているといつも襲ってくるそれはまるで黒い大きな怪物で僕はすごく怖くて一人泣いた。周りに誰も居なくて大声で泣いた。誰かに助けて欲しくて涙がボロボロ止まらなくて怖くて怖くてヒクヒク