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【短編集】コーヒーの香る街

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【月曜22時頃更新】「コーヒー」や「喫茶店」をテーマにした短編集です。1記事400文字以下の小説またはエッセイ。2〜3分で読めます☕️
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#喫茶店

短編小説『知らない喫茶店の看板』

その喫茶店の入り口には、看板がある。昨日は『今週も息抜きを忘れずに』、確か4月1日は『嘘は…

さより
2年前
8

短編小説『一人旅』

久々の一人旅。行きたいのは、とある喫茶店だけ。 創業85年の老舗喫茶店で、旅行雑誌や旅行サ…

さより
2年前
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短編小説『喫茶 まる』

アーケードの路地裏に、ぼんやりとオレンジの灯りが見えた。バーだろうか。 入り口の横に、『…

さより
2年前
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短編小説『あの頃の』

「お客様、あと10分で閉店のため、ご準備お願いします」 「お、おぅ」 コーヒーが半分も残っ…

さより
3年前
9

短編小説『事件なんてなくたって』

職場にきて、仕事して、帰宅する。転職し、もうこんな日々が約2年続いている。 時々は今みた…

さより
3年前
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短編小説『台風、移り変わり』

なんでこんな日に出勤するんだろう。台風来てたなのに。 暴風警報が10時に解除され、仕方なく…

さより
3年前
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短編小説『夏の切り札』

白のロングスカートを踏みつけないように手で持ち上げ、階段をくだる。 秘密基地のように思える、薄暗い地下。喫茶『摩天楼』は名前を裏切り、4階建てビルの地下にある。外には手のひらほどの看板しかなく、目を凝らさなければ喫茶店があるとは気づかない。 約10年、月に数回訪れている。店長や店員さんにすっかり顔を覚えられたが、お互いに名前も年齢も知らない。そこがいい。 ・ 梅雨明けしたら、摩天楼の水出しアイスコーヒーを飲みたいと思っていた。濃いのに飲みやすくて、まろやかで、後味すっ

【短編小説】モスグリーンの先へ

ベランダから見える、モスグリーンの淡い屋根。いつも見るばかりで、足を踏み入れようとはしな…

さより
3年前
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【短編小説】繰り返す日々

ふと見上げると、信号がすべて赤だった。一直線の、大きくも小さくもない道。曇り空で、全体的…

さより
3年前
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【短編小説】気づかぬ面影

今日も新聞がない。 前はすぐに読めたが、最近は新聞を待たねばならない。読む人が増えたのか…

さより
3年前
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【短編小説】休日にひっそり

お気に入りの雑誌を取り、窓際の狭い席に座る。メニューは見ないまま、店員を呼ぶ。 雑誌を広…

さより
3年前
23

【短編エッセイ】アイスコーヒーを淹れる時間

喫茶店で働いていた頃、アイスコーヒーを淹れる時間が好きだった。 1Lをこえる大きなサーバー…

さより
3年前
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【短編小説】それはカフェラテのように(後編)

・前編 ・中編 僕は、喫茶店で働いている。 仕事帰りに立ち寄る常連さんがいる。いつもパソ…

さより
3年前
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【短編小説】それはカフェラテのように(中編)

前編はこちら☕ 21時58分。面白そうなので、喫茶店前の書店に来た。 あの男の子、まさか私に恋愛感情を…? それとも相談事だろうか? ・ 「来てくださって嬉しいです!」 喫茶店以外で会うなんて初めて。お互いに緊張を隠せない。 「書店のスタバ行きませんか?あ、強引にすみません!」 「いえいえ、全然!スタバ行きましょう」 ・ 私はドリップコーヒー、男の子はスターバックスラテを持ち、唯一空いているテーブル席に座った。 「突然すみませんでした。その…実は僕、小説を書