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短編小説『台風、移り変わり』

なんでこんな日に出勤するんだろう。台風来てたなのに。

暴風警報が10時に解除され、仕方なく車を走らせる。強風で時折車が揺れ、少し怖い。こんな日にお客さん来るわけないじゃん。



職場は家族経営の喫茶店。1階が喫茶店、2階にご家族が住んでいる。私だけが他人で、アルバイトとして雇われている。

台風だろうが、強風だろうが、当たり前のように娘さんがカウンターにいて、ランチ前の準備を緩やかに進めている。やるんだ、ランチ…。

「おはようございます」
「おはよう美和ちゃん。ごめんね、今日。風強いのに」
「いえ!暴風解除されて良かったです」

挨拶し、いつものお昼が始まる。



常連さんも来店せず、13時をまわる。

「美和ちゃん、今日やっぱり閉めることにするわ。せっかく来てもらったのに短くてごめんね」
「いえいえ、今日は仕方ないです。大丈夫です」


ふと訪れた休み。今日車だし、晴れてきた。やったじゃん!

ドライブか映画かな。今日いい日かも。



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