【短編小説】休日にひっそり
お気に入りの雑誌を取り、窓際の狭い席に座る。メニューは見ないまま、店員を呼ぶ。
雑誌を広げるとテーブルは狭く、心は広くなる。ああ休みだ。私の休みが来た、と心の奥の奥の奥から感じる。
最近はどんなメイクが流行ってるとか、どんなファッションが最先端なのかとか、雑誌で知る。チェックするだけ。何かを狙って買いはしない。でも、この時間はとても充実している。
コーヒーが来たら、まずは香りを楽しむ。5日間のモヤモヤを全部吸い取ってくれそうな、癒しの香り。
そして、ゆっくりと飲み干す。ここのブレンドコーヒーは少し苦く、酸味は少ない。ブレンドなのに、私好みに淹れたかのよう。
ここでは店員と話したり、パスタを食べたり、友達と来たりはしない。雑誌を読み、コーヒーを飲み、くつろぐ。ただそれだけ。
さほど物を置けないテーブルと、背もたれの深い椅子と、さりげないBGMと、美味しそうな香り。
誰にも邪魔されたくない、私だけの休日。
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