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ブラック企業から身を守る──「特級呪物」を集めよう

日本の中小企業やオーナー企業の中には、「労基法なんか知るか!」と思っている経営者が一定数います。

法律よりも「ウチの掟」が大事。
「俺様が法律」の俺流経営。
俺流すぎて、こだわりの塩ラーメンでも出てきそうです。

そんなブラック経営者から身を守る方法はあるのでしょうか。


ブラック企業は問い詰められてもシラを切る

ブラック企業はこんな言い訳をします。

 言い訳① 「ボーナスに残業代が含まれています」

→残業代をボーナスとあわせてまとめて支給する、または残業代をボーナスとして支給するのは違法です。

労働基準法24条によって、残業代(賃金)は、「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とされています。

こういう会社は、「仕事の能率が悪い人には残業代は払いたくない。貢献度に応じてお金を払おう」と思っています。どこまでも会社にとって都合がいい考え方なんですよね。

残業代は支払わずに、会社が儲かった分をボーナスとして還元しますという会社もありますが、会社が儲からなかった場合はどうなるんでしょうかね? というか一体どこの国の法律に基づいているんでしょうか。

言い訳② 「入社するときに『残業代なし』で合意していたんですよ」

→どんな合意や契約があろうと、労基法に違反していれば違反です。会社は残業代の支払い義務があります。

言い訳③ 「ウチは年俸制なので…」

→年俸制でも、法定労働時間を超えて働いたのであればそれは残業時間です。深夜・休日の時間外労働も同様です。

言い訳④ 「この人は管理監督者ですからね」

→「課長や店長は残業代が発生しない」と誤解している人が多いのですが、誤りです。
管理監督者とは、「経営者と一体的立場にある者」のこと。

管理監督者に当てはまるかどうかは、ものすごく厳しく判断されます。中小企業では部長クラスでも認められない場合があります。
管理職とは名ばかりで、残業代がカットされている状況を「名ばかり管理職」と言います。

いずれも、いかにもブラック企業が言いそうな言い訳です。
負けずに戦う気力が必要になりますね。

「特級呪物」を集めよう

残業代を踏み倒す会社と戦うには、彼らが嫌う「特級呪物」を集める必要があります

どれだけ長時間労働を強いられようと、証拠がなければ「そんな事実はありません」と言われてしまいます。つまり【記録】が必要なのです。
記録となる資料は以下です。

①労働時間を記録するスマホアプリ

最近ではGPSを使って出退勤を記録するアプリが出ているようですので、DLして自分で記録しましょう。

ただし家に仕事を持ち帰らなければならない場合は、作業開始と完了時に自分にメールを送ると、それが記録になります。

というか、皆さんの会社にタイムカードはちゃんとあるでしょうか?
2019年4月から、企業は従業員の労働時間を把握することが義務化されています。

世の中にはタイムカードを改ざんしたり、そもそもタイムカードがないロックな会社もありますので、自分で記録しておくのが自衛になります。

②パソコンのログ

自分で記録を残していなかった場合、会社のパソコンのログが頼りになります。ただし、パソコンを四六時中使うタイプの仕事ではない場合、勤務時間を正確に把握することはできません。

パソコンは退職するときに会社に返却しなければならないので、その前に証拠を残しておかなければなりません。(ちなみに私は退職から数日後に全データを消去されました。大後悔…)

③家族と交わしたメール

「これから帰るね」みたいなメールは一応証拠にはなるようなのですが、毎日メールするかというと…。

④メモや日記

メモや日記も記録になります。もし記録が他になければ、かき集めてみましょう。

やはり正確性と手間の面で、アプリがベストのようです。

一番の自衛は、疑い、知ること

なぜ日本では法律違反が常態化しているのか。

いろいろと理由がありますが、「労働者がおとなしすぎる」ということにも原因があります。

日本の教育というのは、政府にとって都合のいい国民を、経営者にとって使いやすい労働者を生み出すようにできています。

徹底した管理社会で個性を潰された子どもは、為政者に逆らわない、経営者を疑わない人間になるように教育されます。その結果、自分の意見というものを持たない大人になります。あるいは、何か思っても「どうせ何も変わらないし変えられない」と諦める人間が出来上がります。

だから、諸外国ではごく普通の行為である「デモ」がほとんど起きません。
(よく「日本ではデモは許可制だし、場所も潰されてきたし、デモなんてできないよね〜」と言う人がいますが、それは本質的な問題ではありません)

また、何か言おうという人を潰そうとする同調圧力も強い国です。
「出る杭は打たれる」ですね。私も死ぬほど打たれています。

だから、
「どうもウチはブラックっぽいんだけど、友だちもみんな残業も多いし、残業代も払われていない人が多いみたいだし、そんなもんだよね」
となってしまうのです。

でもそれは、経営者にとって都合の良い考え方です。労働者の「そんなものかな」「どうせ何も変わらない」を利用して、給料をかすめ取っていくのです。

まずは、
「うちの会社のやり方は、本当に合っているのか?」
「もらえるべきお金はもらえているのか?」
「この働き方は本当に正しいのか?」
と疑い、法律を知ることから始めてみませんか?


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