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企業が「副業・兼業」の活用を進めるために必要なこと

株式会社シンカゼ代表の三牧です。地域×人材支援を軸に事業展開をしているスタートアップです。

皆さんは、副業と聞くとどんなイメージでしょうか?
アフィリエイト、Uberなどお小遣いを稼ぐもの、プログラミング、制作支援などスキルを活かすもの、農業支援やボラティア…と副業と言っても様々。

弊社では「副業・兼業からはじめる地方創生」をテーマに、上記の「Otanomi」という副業・兼業人材が地域課題を解決するためのマッチングサイトを運営しています。

そんな中、常々思うこととして…
人手不足が叫ばれているにもかかわらず、世の中にはビジネス系といわれる企画・マーケティング・営業・人事といった「キャリア形成」にも繋がるような副業案件が非常に少ない!と感じています。
なぜITやクリエイティブの案件は副業で多いのに、ビジネス系案件が少ないのか?そんなテーマで今回はお話させていただきます。


副業・兼業人材が注目されている背景

近年、経産省では助成金を含め、非常に力を入れて副業人材活用を推進し、各自治体でも「副業人材活用」推進のプロジェクトも目立つようになってきました。

その背景にあるのは、右肩上がりを続ける求人倍率、人材不足。
2030年には600万人以上の労働人口が不足すると言われています。

関東経済産業局 兼業・副業 人材活用のススメより

この人手不足を補う手段として注目が高まっているのが「副業・兼業」
1人が1社に所属をするという構造の社会から、1人が複数の企業に携わり「スキルをシェア」するという考えが高まっています。

働き方改革によって働く時間にゆとりができたこと、テレワークの加速、企業の副業解禁も年々進み始めたことにより、副業希望者も増加。
副業をしたいと思う方が90%、というデータもあったりします。

Job総研より

つまり、国の動き、時代の流れが人材のシェア=副業・兼業の推進の流れになっているという状況です。

副業人材の導入状況

「人手不足だったら正社員採用せずに副業人材を雇えばいいじゃないか!」と思われますが、人材受け入れ側の企業では、まだまだ導入が進んでいないというのが現状です。

その背景には、週に数日働くリモートワーカーではなく、現場に来る人が欲しいという現場ワーカーのニーズ(特に1次・2次産業や小売・飲食業など)も多く、常勤の社員が欲しいという要望も多くあること。

副業人材って言われても、何をしてもらえばいいかという活用のイメージ、どんな人を求めればいいかという人材のイメージができていないこと。

また、「人を採用したい」と考えた際の選択肢として、正社員・契約社員・アルバイト・派遣社員と様々な雇用形態がある中で、副業(業務委託)で雇用するという選択肢は、最も優先度が低い・選択肢にすら入っていないケースも多く、人が足りない→→→副業活用!という思考に至らないケースが多かったりします。

IT・クリエイティブ系の案件は、タスクとして振りやすい、成果物が明確であるなどの観点からも、副業兼業の導入は進んでいるものの、ビジネス系といわれる営業・企画・マーケティング・採用等々の業務で副業を募集の案件はまだまだ少ないです。

私は地方の中小企業の方とお話をする機会も多いのですが、困っている課題で最も声が多いのは「人手不足」。しかし地方中小企業では「副業活用をしたい or している」という副業人材活用ニーズが顕在化していることは、ほぼありません。
考えたこともない、聞いたこともないという企業が大半ではないでしょうか。

副業したいという方が多くいるにもかかわらず、人手不足・困っている課題があれど副業導入を考えていない企業。
国や自治体が推進をしつつも、特に地方では副業活用がまだまだ浸透していません。

副業・兼業の関わり方3分類

そんな副業・兼業の関わり方は大きく3分類。

関東経済産業局 兼業・副業人材活用のススメより

①タスク型
期間(人日)、作業内容、納品物が明確
(例)バナーやロゴをデザイン、データ入力や翻訳業務

②プロジェクト型
期間(数か月~数年)、業務範囲、成果物が明確
(例)社内システムの導入・開発・回収、新商品のマーケティング活動、顧客管理のDX化

③ミッション型
期間や成果物は限定せず、ミッションに基づき役割遂行
(例)企業の認知向上、ブランディング、企業の人材開発(採用~育成)

この中で、最も副業活用が進んでいるのが①のタスク型。ITやクリエイティブの業務の一部を「タスク」として切り出しやすい仕事は副業・兼業人材の活用が進んでいます。

しかし、プロジェクト型やミッション型はまだまだ市場に少ないというのが現状です。なぜか?その理由の1つは「プロジェクト設計の難しさ」です。

キーとなるのはプロジェクト設計力

副業というと経営課題・事業課題の中の一部を「切り出して」「タスク化・プロジェクト化・ミッション化」するというフローで業務が決まっていきますが…
・経営課題のどこを切り出せばいいか分からない
・切り出すという発想がない
・どんなことを頼めるのかイメージがついていない
といった課題の整理、副業人材側への理解度の観点から、「事業課題を切り出す→副業人材の募集定義を決める」というフローは非常に難しいです。

例えば、自社のサービスを拡販したい(売上をあげたい)という要望・課題があった際、切り出し方は様々。

  • 商品を磨くために商品企画が必要

  • 商品を広く知っていただくためにマーケティングが必要

  • 営業体制を整え直すために営業企画が必要

  • 業務委託で営業代行してくれる人が必要

等々…「売上を上げたい」という要望を叶えるために、果たしてどこを切り出して、どんな人を募集するのか。これによって、集まる人の数も中身も、生み出される価値も大きく異なります。

つまり、副業・兼業人材募集のためのプロジェクトをつくるためには、

  • 経営課題から優先順位をつける

  • 人材の市場を理解する(どんな人がいるか)

  • 経営課題の中でどこを副業で任せるか決める(業務を切り出す)

  • どのような募集方法が適切か(何を使うか、どう魅せるか)

といったような
どこをどう切り出し、どんな募集をすることが自社の課題解決に繋がるかを整理・理解せねば、魅力的かつ解決度合の高いプロジェクトをつくることはできません。

この難しさゆえに、リモートワークが進んだと言えども、リモートでのタスクで業務を切り出しづらい企業、プロジェクト設計に悩む企業では、副業・兼業人材の活用が進んでいないという背景があります。

プロジェクト設計しないことも解決策

これでは自社の課題を理解した上で、プロジェクト設計できるコーディネーターのような方がたくさんいない限り、これからの人材不足を解決するために副業人材の活用が進まないかもな…
と思われるかもしれませんが、あえて企業側でプロジェクト設計しない、ということも選択肢のひとつです。

それは、人材側から提案をしてもらうというスタイルも解決策のひとつであるということです。

■顕在化していること:困っていること、やりたいこと
■定まっていないこと:どんな募集がいいのか、どんな人がいいのか…等

であれば、困っていること(経営課題)をそのまま募集したらいいじゃないか。そして人材側から「こんなことできます!」と逆に提案を受ける。
企業が定めた人を募集をするのではなく、人材側が課題を拾って解決策を提示する。
そんな募集スタイルがあってもよいのでは?というかそうしないと進まないのでは?と思って立ち上げたのが弊社の「Otanomi」というサイトです。

掲載企業や自治体は全プロジェクトで「課題」を掲載いただいています。

例:新規事業の立ち上げがどうすればいいか分からない
事業の収益化ができなくて困っている…等々

解決するための人材側はタスクを担うというより、「プロジェクト型・ミッション型」のように事業課題解決に向けて支援をする、というコンセプトのサイトです。

地域貢献したい、地域と繋がりたい、副業・兼業を通してスキルを磨きたいと思っている方に、もっと多くの挑戦の場を提供したい。
人材不足で悩む地域企業に、もっと多くの人材を巻き込んで事業課題の解決を進めたい。
そんな想いから、できるだけ多くのプロジェクトが掲載できるよう日々奮闘しています。

興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、ぜひ地域貢献にご協力ください。


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