帰り道も時計も要らない時間。
シューズの紐をきゅっ、と結んで
イヤホンをセットして。
地面を蹴り出した瞬間のその時間から、今の今まで頭をぐるぐる巡っていた想いごとはすうっと消えていってしまう。
どう身体を動かして、どう呼吸するかを、
両耳から後頭部に響く音楽に時折意識を傾けながら考える。
頭の位置や蹴り出し方、姿勢や腕の振り方。
どう動かせばどこが連動するのかを意識するだけで、
3、4kmあたりまではただ呼吸が上がって苦しい時間も少し楽しくなる。
少しペースを上げたり落としたりしながら、
わたしはわたし