Cocco/25th anniversary 'Ⅱ@TokyoDomeCityHall
実質26年目を迎えたCoccoちゃんの25周年ツアー其のニの2公演目参加は、
其の一で、それはまた盛大にぎゃんぎゃんに泣かされてしまった会場と同じ東京ドームシティホールだった。
そしてなんとも幸運なことに、前回の渋谷に引き続き今回も1階アリーナ前方列のセンター席。
講演後、すぐ立ち上がれないくらいに情緒がぐわんぐわんだった前回。
セットリストは変わらないだろうし、なんてったって前回のセットリストをプレイリストに入れてあれから日々聴いてるから、そこまで泣き地蔵にはならないだろうとわたしはたかを括っていた。
会場にはももぞうちゃんがあちらこちらにいて、
「あなたに」「あなたに」を思い出してはふふふと口元が綻ぶ。
大丈夫、たぶん今回は大丈夫。
そんな根拠のない大丈夫を飲み込む頃には、会場で流れるCinderella in the Castleの音量がぐっと大きくなり、 SEに変わる。
何も手掛かりを調べられないこの曲。
BRAHMANのSEがすきなアーティストの中でも群を抜いていちばんだったんだけど、
今ではCoccoちゃんのこのSEがあっという間に僅差で私的2位に鎮座した。
是非ライブプレイリストの先陣を切ってほしいんだけど、どなたか曲名をご存知でしたらご教示ください...
そして現れた、
淡いグレーのチュールを幾重にも纏った黒のドレスに身を包んだあっちゃん。
腰に入ったカットアウトと、しゃらしゃらがついたかわいい肩当て。
今回も表情が見える席であることを望めるかと安堵した瞬間、鳴った音は前回の渋谷とは違う曲だった。
その姿をこの目に写して、その第一声が両の鼓膜を震わせたとき。
やはり紛れもなくわたし涙腺はぶわっと緩むのだった。
ああ、何度聴いたってこんなの涙が出るに決まってるんだ。
どこまでも高く遠く伸びやかな声。
ビブラートをあまり感じない分、だからなのかとてもとても伸びやかに放たれる声。
こんなに真っ直ぐに伸びる声でうたうひとは、あっちゃんだけだといつも思う。
その大きなくちが、ぶわっと開かれて笑うとき、
つられて笑うより先に涙が出る。
その大きな眼が真っ直ぐに強くこちらを見張るとき、
同じく見開いてしまう目にはいつのまにか涙が滲む。
その美しい華奢な骨格が嵐の中で船を漕ぐように舞うとき、激しく鼓動が鳴る音をわたしの此処にも強く感じる。
ふわりと揺蕩う淡く柔らかいドレスの端々を踊らせながらあっというまに綺麗に身体を折りたたんではかしずく度、
どうかまだ此処にいてほしいと心から願う。
勝手気ままに傷ついた振りをしてきたもう遠い昔も、
なんだかんだ立派に大人と呼ばれる生き物にはなってしまった今も、寄り添い続けてくれている彼女の歌は、
とんでもなくやさしくて、多分どこかで救われなくて、祈りのような願いを連ねて、まっすぐ自分自身を見つめているような、そんな感情が降ってはじんわり溶けて解けて、またそこへ降ってくる。
あぁ、今回こそはちゃんとしたライブレポートのように書いておこうと思ったんだけども
やっぱりなんだか感情のスタンプのような文章になっちゃうな。
だって、25年なんて
25年なんて途方もなく長い間、
身を切るような、心ごと曝け出すような歌を歌ってくれて
一度は走り去った舞台にこうして戻ってきてくれて、
ここまでよく来たよねって微笑んでくれるこんな時間。
ただただ泣いてしまう以外にどうしろっていうんだ。
うたうことは、窓から排泄物を垂れ流すようなものだとかつて語った彼女は、
新しい歌のつづきを歌ってくれる。
きれいだよ きれいだよ
とんでもなくきれいな笑顔で、全身でそう歌ってくれる。
痛くないわけじゃない。
痛いところは絶対にまだ痛いままだと泣くこころをぽんぽん、として
大丈夫であるようにふっと呼吸を整える。
いちばん、あたらしいこの歌
この歌詞をあんなに朗らかに明るく、
軽快なメロディに乗せて楽しそうに歌ってくれることにこそ、希望を感じてはまた涙が出る。
大人になってしまったわたしたちは
まごうことなく、もう繋いでいく立場でしかなくて。
だけど、全部抱えたり少しずつ置いてきたりしながら、
こうして重ねてまた歩いていくサバイバーでありたいと思う。
特別ドラマティックなわけではないこんな日常にも、
小さく心を折りたたんでくしゃくしゃにしてしまいたくなるような日がたまにあったり、
いつのまにかささくれたところが棘になって、あちこち傷をつけてしまっていることもあったりして。
そんなときに胸の深いところをそっとあたためてくれるのが、
こんな、優しいだけじゃないまっすぐな歌なんじゃないかと思う。
たまにグレたりしても、やさしいこころの人になりたいなと心底思う。
この日、最後に笑ってくれた顔が
本当にぴかぴかのきらきらの笑顔で、
わたしはまた、惜しみなく泣いた。
笑顔が見れて泣けるだなんて、なんてしあわせな涙なんだろう。
しあわせな軽い頭痛と一緒の帰り道、
また逢えるいつかを願って、明日からをまたちゃんと生きていこうとそう思えるそんな夜だった。
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