ミカミ

思考の鉢から零れた泡沫のようなモノ達。主に仕事中に溢れ出る。こんにちは、給料泥棒です。

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最近の記事

さよならは別れの言葉じゃなくて

    • 廻天百眼「殺しの神戯」観劇

      ​  思い付いた事、気になった事を書いていくよ。今回も長いね。 ○ 印象  今回はエンタメ度の高い作品だったと思う。  自分的にはストーリーも分かりやすく、話の流れをざっくり見ると「霊能バトルから主人公が地獄に落ち、何や感やで現世に戻ったら世界が混沌と変質していた」とベタとも言えるオーソドックスさ。ところが観ている最中はベタともオーソドックスとも感じなかった。これは多分脚本・演出の妙だろうな。  観客に与える情報と敢えて語らぬ情報のバランスが絶妙だったから素直に作品にのめり

      • 劇団ロオル「M」観劇

        ​  昔知り合いの女性が居酒屋で「女は女に生まれたから女じゃないの!悩んで苦しで頑張って女になるの!」と高らかに講じて店内の女性客から絶賛されていたのを思い出した。まさにこの物語は女性が「女」性の苦悩を描いた作品となっている。  表現こそ夢か現かと言った感じだが心理の切り取り方は冷徹と言っていい程ドライで容赦がない。この辺りはやはり女性ならではの演出だと思った。男だとどうしてもドロドロした陰湿なものにしがちになるんじゃないだろうか。そういう意味でも女性だけで紡ぐこの物語は男性

        • 雑踏の静寂 全登場人物

        さよならは別れの言葉じゃなくて

          「雑踏の静寂」3K文(感想、解釈、考察)

          ​ 今回の「雑踏の静寂」はテレパシストが主人公。  さぞやSFチックな話になるのかなと思っていたら案外そうでもなかった。  たしかにテレパシストでなければ成り立たないストーリーだし主人公は重要なキーパーソンで物語の中心人物なのは間違いないがテレパシー能力はそれ程重要ではないのでは?肝はそこじゃない。テレパシストだけど等身大の普通の人。みたいな。  自分的にはそんな主人公の立ち位置が絶妙だった。平凡な人間の苦悩や足掻きを置き去りにして超人が凄いパワーで有無を言わさず事件解決!そ

          「雑踏の静寂」3K文(感想、解釈、考察)

          「われに五月を -第二章 血系譜-」観劇

           人生初の体験でした。  台詞が言葉と映像と音と色彩になって頭の中にガンガン入って来て、自分の目と耳で見聞きしている情報と立体的に層をなして立ち上がってくる。 脳の奥がジンジンと痺れて情報が血管を通って全身を巡り確かめる。  まさに「体で験した」といった舞台でした。  左右田歌鈴ちゃんと麻宮チヒロの短歌の掛け合いも素晴らしく、こちらは頭ではなく胸がふるえて細胞に染み渡る感じがした。  「清浄」と言ったら良いのか、2人の有り様は勿論だけど、言葉の調や空気の揺らぎ、その場の時間

          「われに五月を -第二章 血系譜-」観劇

          The color of a mailbox is a criminal color

          いつものように散歩をしていたら、曲がり角に立つポスト、いつもと何だか違ってた。 昨日までは赤かったポストが、今日は何故だか薄ピンク。 そしてポストの前には1人の小さい女の子。 薄ピンクが気に入ったのか、しきりにポストをペチペチと叩いたり、爪先立ちで投函口を覗いたりして遊んでる。 女の子、その小さい手を投函口に入れた瞬間、シュボンとポストに吸い込まれ、ボリボリとポストに食べられた。 ポストは見る間に真っ赤になって、いつもと同じ佇まい。

          The color of a mailbox is a criminal color

          考察 「冥婚ゲシュタルト」の舞台地について

          『冥婚ゲシュタルト』の舞台地は何処であろうか。 「ザムザ阿佐谷」でしょ?と言う人の為に一応言っておくがそう言うこっちゃない。  舞台を見た時私の頭に浮かんだのはハルミ博士の研究所が富士の裾野の森林の中で、指輪教寺院は同じく富士山周辺の山梨側のイメージだった。これは私がおっさん故の連想なのだが、私の世代で研究所と言ったら富士の裾野なのだ。そこにある研究所と言えば「マジンガーZ」の光子力研究所だ。今でもちょっとワクワクする。富士山のイメージに引っ張られたせいもあるかもしれないが怪

          考察 「冥婚ゲシュタルト」の舞台地について

          Voyantroupe公演「アンジョルラス」観劇

           安城は言った。「自由を求める革命」だと。 しかし私には彼の起こした事件の先に革命が見えない。  私は何らかの契機によって大衆の意識が変革する事が革命の本核だと思っている。圧政を行う支配者・体制を倒し無辜の大衆を解放する。これぞ「the・革命」だ。しかし支配者を倒しただけでは革命とは言わない。それは単なるクーデター、改政だ。大衆が解放されなければならない。支配者に飼いならされていた大衆が、明日に絶望し自分の人生の舵を自分で取る事を諦めていた大衆が、それが当たり前だと思ってい

          Voyantroupe公演「アンジョルラス」観劇

          ハルミ、ミチコ、アマヤス 三人記

          『ハルミ博士』  科学者にして稀代の人形メーカー。生来のインポテンツがコンプレックス。しかしそのコンプレックスが後に才能の起爆剤となる。  自身の欠陥に気が付いたのは思春期に入り大分たった後だった。精通を迎えるも勃起する事がなかった彼だが、それは彼にとって当たり前の事だった。しかし同年代の友人達の会話から自身が障害を抱える身だと気付き彼はその事実をひた隠す。  その後彼は医者を志す。誰にも知られたくない、―例えそれが医者であっても―その秘密を治すのなら自分自身が医者になるしか

          ハルミ、ミチコ、アマヤス 三人記

          The Rainmaker

          子供の頃、運動会前日のお話。 学校からの帰り道、憂鬱な気持ちで雨が降ればいいのにと呟いた。 「お困りですか?」 顔を上げると目の前にはにこやかな表情の紳士が立っている。 「雨、降らせましょうか?」 笑顔の紳士、笑顔のままで聞いてくる。 「雨、降らせる事が出来るのですか?」 「出来ますよ。私、雨の瓶を持っていますから。」 そう言いながら紳士は懐から小さな瓶を取り出した。 瓶の中には勿忘草色のポチャポチャした液体が入っている。 「それが雨の瓶?」 「ええ、これが雨の

          The Rainmaker

          ボク、スーパーへ特売の卵を買いに行ったのです。 黄色いカゴに卵を1パックだけ入れてレジに並ぶ。 1パック10個入りで10円とスゴク安いけど、卵、S玉でちょっと小さい。 レジのおばちゃんにお金を払い卵をそっと袋に入れる。 てれてれと家に帰る間目玉焼きにしようと考えた。 黄身が半熟でトロリとして、白身がプリプリの目玉焼き、大好きなのです。 「黄身が半熟でトロリとして、白身がプリプリの目玉焼き。」 声に出してみたら途端に口の中がヨダレであふれ、最後の方は「めでゃみゃ焼き」に

          私の設計の私の知らぬ事。

          「困った人形達が私の所に来てしまうのだ」 同じように自分の研究所に逃げ込んで来たヤエコ達にハルミ博士は続けて聞いた。 「以前から疑問だったのだが何故キミ達は研究所の場所がわかるのかね?」 「何でた?」アマヤスが友人に問う。 「わかんない」いつもの口癖でヒラサカが答える。 三人の視線が自分に集まるのを感じヤエコはおずおずと答えた。 「それは…博士が私達の魂にそう刻み込んだから…」 身に覚えのないハルミ博士は怪訝な顔で先を促す。 「ですから、博士が設計したプログラムのソースコード

          私の設計の私の知らぬ事。

          考察 麻薬防止の観点から何故人形の製造が禁止されないのか

          本編冒頭、秘密クラブ「アーク」での一幕。 一匙の人形の血肉に群がり我先にと飲みたがる観客たち。 邏卒隊の発言によれば人形の肉体はドラッグ同然らしい。 だとすると一つ疑問がわく。 人形の肉体がドラッグ同然と言うなら人形製造は麻薬製造と同義だ。 「製造証明書」は存在するようだが、それは人形所持についての管理の為の物のように見受けられる。 麻薬防止の観点から見れば管理ではなく禁止がふさわしい。 何故人形製造は禁止されないのか。 最も単純に考えるならこの世界は麻薬合法の世界なのでは

          考察 麻薬防止の観点から何故人形の製造が禁止されないのか