シェア
ひじかたかた
2018年3月2日 19:28
昼間の電車が好きだ。まばらな乗客に、あたたかな日差しが差し込む車内。ほんのりとあたたまったイスに、心なしか間延びした車掌のアナウンス。こんな平和な空間にいると、ここだけ別の時間軸で進んでいるのではと、疑いたくなる。車内は、やさしい時間がゆったりと流れ、じんわりとこもる、あたたかさが乗客の眠気をエスコートしていた。ぼくがうつらうつらしていると、電車は駅に止まり、小さな男の子が母親と手をつ
くまざわさとみ
2017年12月2日 21:26
22歳になるまで、わたしは自分のことを特別な子だって思いこんでいた。 でも、絵が上手かったり、足が速かったり、これと言って才能があったわけじゃなくて、結局のところ自分が平凡な人間だと気づいたのは、思う存分若くてきれいな時間を使った後だった。 だれのせいでそう思い込んだかと聞かれたら、間違いなく、8年前に死んじゃったママのせいだった。 子供の頃はそれでも絵を描くことが好きで、アニメの
三浦 由子
2017年12月12日 08:30
私は小さい頃から読書が大好きで、いつも本を手にしていた。親友も本で、恋人も本、困ったときの相談相手も本。とにかく生活のすべてが本だった。そのおかげか、国語の成績はずば抜けてよかったし、いまは文章を書くことを生業にできている。だから、「子どもに本を読ませよう」とか「読書が豊かな心を育てる」といった、ここ最近の教育スローガン的なものにも納得していたし、「その通り! 読書こそ正義!」みたいな読書原理