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笑いにくい笑い話

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人によっては面白い事象でも、人によっては面白くなかったり、笑うことをためらわれたり、笑ってはいけないと思ったり、目をそらしたりしたくなる事象がある。 でもさ、笑って欲しいのよ。哀…
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笑いにくい笑い話37:変態?

笑いにくい笑い話37:変態?

知的障がい、発達障がいなどで、
徘徊というか、どこかに行ってしまうことがある。
日中は見ていられるが、
夜はそうもいかない。
現実には親があまり眠れない時代を
何年か過ごしていた。
発達障がいのある人の親が、
紐で親と繋いで寝ていると言うことを聞いて、
それからそれに倣っている。
児童虐待、人権の蹂躙とも言われかねないが、
子の命を守るために必要だから
仕方ない。(ことにしている)
それから何年も

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笑いにくい笑い話36 ハンマー投げ状態

笑いにくい笑い話36 ハンマー投げ状態

ハチミツ二郎さんに比べたら、まったく軽微な病院トラブルですが、
娘の入院、手術日が二転三転。
手術の必要性やその結論に至る詳しい説明をまだ受けていないというのに、
「手術延期してイイデスカ?」
「手術早めてイイデスカ?」
知らんがなとはいわないが、
判断できない。
昼下がり、買い物も終えて、
まったりと工作遊び(アラ還のやることか?)をしていたところ、
固定電話に掛かってきた。
「はじめまして」

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笑いにくい笑い話35 異質なのは母

笑いにくい笑い話35 異質なのは母

 娘は、25歳とは言え、そもそも外来でもずっと小児科に掛かっている。一応、小児科は15歳までのはずだが、先天性の病気の場合、小児科に掛かり続けることが多い。
 小児科の病棟に入院すると、娘が25歳なので目立つだろうし変なんだろうなと思っていた。
 実際はそうでは無い。身長が140㎝ほどしかないし、何も目立たない。
 しかし付き添いの私はそうはいかない。まもなく還暦の私は、付き添いの親の中では圧倒的

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笑いにくい笑い話34 見知らぬ人の命を救った

笑いにくい笑い話34 見知らぬ人の命を救った

 明日から入院。今回は大手術も有るわけで、毎晩悪夢を見るほど緊張していた。
 夜8時。お風呂を済ませ早めに寝かせようかと準備をしていたとき、大学病院から電話が掛かってきた。主治医の女医では無い、聞いたことのない男性の医師の低く、引っ掛かりつつ絞り出すような声。
 実は、重いお子さんがいまして、こんなにギリギリで申し訳ないのですが、手術の日程を譲ってください。
 いやです、うちの子を予定どおり手術し

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笑いにくい笑い話33 世紀末の思い出

笑いにくい笑い話33 世紀末の思い出

 娘の前の手術は、2000年の12月だった。20世紀の最後、21世紀への世紀代わりの時だった。
 年末に入院し、それも1歳10ヶ月の娘の心臓の状態の悪さから、体重が7キロでのやや強行手術。本来は10キロにならないと、開胸手術は行わないようだ。
 覚悟もしたし、それなりに準備もした。何故私だけこんなひどい運命に流されているのだろうと、悲しくも悔しい思いだった。
 手術は思いのほか、あっけなく終わり、

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笑いにくい笑い話32 立ちくらみ

笑いにくい笑い話32 立ちくらみ

娘の入院に付き添い入院。
介助に手間の掛かる乳幼児は
付き添いがつかないと入院できない。
実年齢は25歳でも頭の中が1歳半の娘にも付き添いがいないと入院させないと言われた
のに付き添いさせてくださいと
患者側院長に依頼する書類がある……
30年前の三男の東京⇔大阪遠距離付き添い入院から、
私は各地の病院で付き添い、入院を経験してきた
もちろん、血液検査の針を刺すときの抑制介助や
子供が怪我した時も

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笑いにくい笑い話31 悪夢

笑いにくい笑い話31 悪夢

明け方に見た悪夢は、ひどい内容で、
起きたときにそれが現実でないことを分かったのに、
しばらく悲しかった。
悪夢を思い出すと、
辛いときにある落語家さんが現れ、
私を慰め助けてくれた。

有難う、小痴楽師匠。
今日から大ファンです。
まだ生の落語を見たことはないけど。

笑いにくい笑い話30 IQ

笑いにくい笑い話30 IQ

  IQ、知能指数120の人が出てくる小説とか、ドラマとかは有った。
普通は100位なのかな。
 娘の診断書によると、IQ8 て、8て・・・
 ちょっと笑ける

笑いにくい笑い話29 アイドル

笑いにくい笑い話29 アイドル

 私は子どもの頃からアイドルには興味が無く、今も無い。
 でも一時、ある「アイドル」に夢中になってしまったことがある。
 国立大学附属病院の小児科。未就学の頃、A子の診察を受けに行った。心臓に関しては循環器病院で見て貰っていたし、発達については療育園という施設に通所していた。しかし、その他については、なかなか見て貰える病院が無かった。
 循環器病院で紹介状を書いて貰い、大学病院の小児科に行った。丁

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笑いにくい笑い話28 靴下をどうぞ

笑いにくい笑い話28 靴下をどうぞ

 ダウン症と自閉症などの発達障害は、もしかすると正反対なところがある。
 夫は、ダウン症のある娘と出会って24年ではあるが、単身赴任もあり、、同居していた時期も上の子を含めて子育てに協力的とは全く言えない。子どものことも障がいのこともあまり知らない。
 定年退職を機に、福祉施設、B型支援の施設でアルバイトを始めた。面接で、娘がダウン症です!と言えば、これはコレでスキルとして認められたのか、あっけな

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笑いにくい笑い話27 嫌み

笑いにくい笑い話27 嫌み

 嫌みのつもりで無く、嫌みを言う奴はそもそもの嫌みな奴だ。
 最近近所に出来たパン屋は、数年前に一度倒産した。特においしいでもなく、特に安いわけでもない。ただ街のパン屋として有った方がありがたいなとは思っている。
 A子と一緒にパンを買い行ったら、空いていたせいか声を掛けられた。
「お子様用のカードを作りましょうか?」
一瞬意味が分からなかったが、間もなく理解できた。
「この子、23歳ですけど」

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笑いにくい笑い話26 兄の宿題

笑いにくい笑い話26 兄の宿題

 A子の一番上の兄が、高校生の頃。夏休みの数学の宿題は大変重く、ノートで100頁問題を解くと言うものだった。毎日数時間数学の問題集を解かなくてはいけなかった。夏休みの終盤、兄は100頁まであとわずかと言うときだった。
 リビングに置きっぱなしだったノートを、A子がみつけ、何故かそれを細々にちぎり始めたことを、誰もが気がつかなかった。
 さすがに兄は怒り、喚いた。私はただ謝りテープでノートを修復した

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笑いにくい笑い話25 手術室からの電話

笑いにくい笑い話25 手術室からの電話

 A子は重い心臓病を持って生まれ、命の危ない時期もあった。しかし手術するには体重が少なすぎて、容易に手術できないこともあり、一件目の大学病院では手術を拒否され、循環器病院に転院した。転院して最初の診察であっけなく最初の検査の入院が決まった。
 足の付け根から管を入れて、心臓の中を検査するという。全身麻酔を掛けて、手術室で何時間もかけてする検査だ。もしもの場合もあるという説明も受けた。
 手術当日。

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笑いにくい笑い話24 父のリベンジ

笑いにくい笑い話24 父のリベンジ

 DVを疑われた父親が、少しはこれまでの父親としての役割を果たしてこなかったことを反省した。
「俺が出来るときにはA子を送迎する」
 丁度、父親の正月休みが施設の休みより1日早く、12月28日の朝、父親はA子を施設に送っていった。北海道の年末は気温がマイナス5度を超えず、都会ではあっても道には根雪がある。そして吹雪の日だった。旧国道をの軽自動車なら走れるほどの広い歩道を歩いて行く。A子は状況をよく

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