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論文を毎年書いている小学校の先生の話


はじめに


12月です。
この月になると僕はいつも「教育実践論文」というものを書きまとめています。学校の先生をしておられる皆さんの中には、こうした類の研究論文を取りまとめておられる自治体にお勤めの方も多いのではないでしょうか。僕の自治体は初任と2年目の先生は毎年書くことになっています。僕はその2年間を終えて、現在7年目になりますが、毎年書くようにしています。

なぜ「教育実践論文」を書くのか


正直、とても時間がかかりますし、やらなくてもよい仕事(仕事なのかどうかも怪しいですが…)だと思います。面倒くさいと言えばそうなるかもしれません。しかし、僕が毎年書き続けているのには理由があります。

理由1「成長」


「教育実践論文」に書きまとめることで、間違いないのは自分自身の成長に繋がることです。「そりゃ、やらないよりか、やる方が成長するでしょ。」と思われると思います。ですが、言葉以上に成長を感じます。ぶっちゃけますが、同期の中だったら一番成長している自身があります。書きまとめることは自分自身の実践を振り返り、検証し、言語化します。その作業はかなりの労力を要します。しかし、それを続けていくことで、一年の中で「忘れられない実践」が自分の中に出来上がります。

理由2「憧れ」


僕が初任で勤めた学校の校長先生は、毎年「教育実践論文」を書き続けられている方でした。「授業の鬼」とも言われ、僕もたくさん指導していただきました。時には厳しい言葉で指導していただきましたが、どれも納得するものばかりでした。(僕は自己主張が強いので、先輩教員の言うことでも、素直に受け入れられないこともあるのですが、その校長先生の言うことはどれもスッと入ってきたのです。)それはきっと、長年に渡り、毎年自分自身を振り返られ、きちんと論文にまとめ、次に生かそうとする姿を貫いて来られたからだと思います。そんな先生に僕はなりたいと思って続けています。

理由3「変化」


自分自身の変化をよい意味で感じることができます。毎年「よっしゃ!いい論文が書けたぞ!」と思うのですが、過去の論文を読み直してみると、当然ですが初任や2年目の頃の論文は非常に内容が薄いものに感じました。過去の自分自身と比べることで、どのように自分が変化してきたのか(これはある意味「成長」と言い換えられるかもしれません。)が客観的にわかるようになります。僕だけかもしれませんが、「過去の自分を超えたぞ!」と思えた時の気持ちはやみつきになります。

いずれも、自分のために書くということなんですよね。

教育実践論文ってどうやって書くの?

毎年次のような手順で研究を進め、論文を書いています。

①テーマを決める。
②子どもを育てる。
③アンケート調査をする。(1回目)
④授業実践を行う。
⑤実践を振り返る。
⑥アンケート調査をする。(2回目)
⑦論文をまとめる。

では、具体的に見ていきます。

①テーマを決める


年度初めにその年何を中心に研究を進めていくのか、テーマ設定を行います。初任の頃は日々を過ごすだけで一杯いっぱいだったので、そんな余裕はありませんでしたが、自分のやりたい教科を中心にテーマ設定をしています。僕は授業を中心にテーマ設定をするのですが、立場が変わっていったら生徒指導や組織づくり、学校経営といったテーマもありだなあと考えています。

②子どもを育てる


研究を進める上(研究しなくても、学校の先生にとっては間違いなく)では、ここが一番大切だと思っています。テーマに寄せた子どもを育てるというよりかは、どんな実践でも前向きに取り組める「主体的な学習者」として育てることが大切だと考えています。子どもたちが育つと学級も安定して、どんな実践に対しても食らいつきながら取り組むようになります。

③⑥アンケート調査する(1回目、2回目)


アンケートを取る理由は大きく2つです。1つ目は客観的な数値をとれることです。主観にもとづいた研究結果だけではなく、子どもがどのような意識でいるのかを数値として得ることができます。2つ目は変容を見取ることができることです。実践の前と後で子どもたちに(個々、集団)どのような変化があったのかがわかります。必須ではありませんが、毎年とるようにしています。

④授業実践を行う


基本的には年間を通しての研究になるので、日々の取り組みが大切になります。しかし、実践論文にまとめていくとなると、具体的な実践例を載せる必要があります。指導案を書く場合もありますし、単元計画だけの時もありますが、自分の研究テーマを体現できるような授業実践(僕は公開授業形式でやります。)を行うことをお勧めします。

⑤実践を振り返る


授業実践を行ったら、できるだけはやめに実践を振り返ります。ポイントはこのタイミングで実践内容と成果、課題を文字に起こしておくことです。実践を行う前後が一番その授業のことを考えているので、言語化も素早くできます。時間が経ってしまうと、どうしても忘れてしまうので、実践が終わったらすぐに取り組むようにしています。

⑦論文をまとめる


僕の自治体では1月初旬が提出締め切りなので、大体12月中には論文を書きまとめるようにしています。ただ大切なのは、12月ですべてを書くということではありません。というか、それは無理だと思っています。(成績もあるし、個別面談もあるし、とにかく忙しいですから!)僕は研究がスタートした4月から少しずつ書けるところを書いていて、ある程度パーツは揃えるようにしています。12月はそれぞれのパーツを論文の形式にまとめあげて、考察を書くところがメインになります。あくまで「書きまとめる」のであり、「書き始める」ではないことを抑えておきましょう。

最後に


改めて言いますが、研究を進め、実践論文を書くことは簡単ではありません。毎年書いている僕にとってもハードな作業になります。けれども、僕が書き続ける理由は、とにかく自分のためになるということなのです。また、自分だけでなく、子どもにとっても、他の先生にとってもためになるものだとも考えています。

「自分よし、子供よし、同僚よし」の三方よしで取り組んでいけるといいなあと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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