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    塾での講義内容のまとめ。基本1講義15分程度なので大きなテーマでも省くところが多い。

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「同志少女よ敵を撃て」の感想

以下はネタバレを含む感想になるので未読の方はご注意下さい 一生心に残る作品だと思った。読んでいて眼を見開き奥歯を噛んで時にホッとしてそして泣いた。単純に面白かったとそう述べることすら躊躇ってしまう。一言で感想をまとめることができず、しかし感想を残しておきたいので以下に綴っていくことにする。 なぜこの作品にこんなに惹きつけられたのか。それは本作を読み終えた2022年4月上旬時点でのロシアによるウクライナ侵攻の影響は間違いなくある。4月9日においてロシア軍による一般市民の殺害

    • クリストファー・コロンブスを起点に歴史の広がりを考える

      クリストファー・コロンブスと言えば誰もが知る「欧州人で初めてアメリカ大陸に到達した人」だ。いつこの知識を得たのか覚えていない。小学生ぐらいの頃にコロンブスの卵の説話を聞いた気がする。ともかく歴史上の偉人としてトップクラスに有名なことは間違いないだろう。今回はコロンブスの偉業を起点にして「なぜそんなことをしたのか?」逆に「なぜこれをしなかったのか?」という問の立て方から歴史の広げ方考えていく。 まず「なぜそんなことをしたのか?」つまり「なぜコロンブスはアメリカ大陸に渡ったのか

      • 【幕末以降の日本の外交戦略】 日本を守るための開国そして…

        日本史を勉強すると幕末までと明治維新以後の日本史では雰囲気も内容も大きく様変わりすることがわかる。なぜならば江戸時代までは鎖国していたので基本的に日本で起きた出来事が主であるのに対して、開国した明治維新以後は欧州、アメリカ、中国、朝鮮といった世界との関係が大きく影響してくるからだ。もちろん船舶技術の発達によって世界各国がアクセスしやすくなったことも大きな要因だ。兎にも角にも日本は明治になってから世界の国々、特に当時科学技術でトップを走っていた欧州各国、アメリカ、ロシア、そして

        • 【租・庸・調について】 奈良時代の税制はそんなに重要か?

          高校で歴史を学んでいるとなぜこんなことまで覚えないといけないのだろうか?とい疑問に思うような内容がある。実際には重要だから高校レベルの歴史に登場しているはずなのだが、一見すると「それ本当に重要?」と感じてしまうものは数多くある(少なくとも僕はあった)。そしてその直感を裏付けるようにテストに出やすいモノと出にくいモノがある。本能寺の変とか関ヶ原の戦いは重要そうだけど、仏像の名前とか貿易品目などは比較的重要そうには思えない。というのが僕の高校時代の正直な感想だったし、その感想に基

        「同志少女よ敵を撃て」の感想

        • クリストファー・コロンブスを起点に歴史の広がりを考える

        • 【幕末以降の日本の外交戦略】 日本を守るための開国そして…

        • 【租・庸・調について】 奈良時代の税制はそんなに重要か?

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          【時代の順番について】 飛鳥が先か古墳が先か?

          日本史の勉強をしている時に時代の順番をどうやって覚えようかと悩んだことはないだろうか?特に古墳時代、飛鳥時代、奈良時代、平安時代の辺りは前後があやふやになりがちだ(僕はそうだった)。頑張って覚えるしかない?いいえ、そんなことはない。そもそも時代の順番は「覚えるモノではない」。歴史は出来事の因果関係をちゃんと理解できれば時代の順番は自ずと覚えてしまう。本記事は古墳時代はなんで「古墳」時代というのか?なぜ古墳がそんなに重要なのか?飛鳥時代はなんで「飛鳥」時代というのか?という話を

          【時代の順番について】 飛鳥が先か古墳が先か?

          【憲法について】 誰がリーダーになっても変な法律を作られませんように

          憲法とはなんだろうか?法律の法律のようなイメージではないだろうか。間違いではない。しかしなぜ法律があるのにその上にもう一つあるのだろうか?なぜならば法律を作る権力者が誰になっても酷い法律を作らせないようにしなければならないからだ。本記事は憲法について人類がなぜ憲法を発明したのか?国家に対して憲法がどのように影響を与えてどのように運用されているのかを見ていく。 民主的にリーダーを選んでも必ずしもそのリーダーが有能かどうかは分からない。最初は有能かもしれないが後から変わってしま

          【憲法について】 誰がリーダーになっても変な法律を作られませんように

          【フランス革命について】 リーダーと主権

          人間は1人では生きることができない。よって複数人でまとまって生活する必要がある。複数の人間が集まるとリーダーが必要になる。みんながみんな平等で何かを決めるときには全員の合意をとってからというシステムでは集団は生き延びることができない。なぜなら決定が遅すぎるし対立は必ず起こるものだからだ。しかし愚かなリーダーを据えてしまうとそれはそれで集団は滅びてしまう。では誰をリーダーにするのか?というのが古来から続く人類の悩みだ。 リーダーはその性質上「リーダーの言うことに集団が従う」と

          【フランス革命について】 リーダーと主権

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書④

          大政奉還を受けて朝廷は王政復古の大号令をかけ明治天皇を中心とする新しい政府を組織することを宣言した。 ところが大政奉還、王政復古の大号令が発令されても旧幕府軍がハイそうですかと素直に従うわけがない。京都では新政府軍と旧幕府軍との衝突があり(鳥羽・伏見の戦い)、江戸では無血開城が実現し戦闘は行われなかったが東北では会津、奥羽越列藩同盟は多くの死者を出した。これら一連の新政府軍と旧幕府軍との戦いを戊辰戦争と言い勝利した新政府軍は実力と共に明治政府を樹立する。 明治政府は最初に五

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書④

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書③

          応仁の乱以降、群雄割拠の時代に突入した戦国時代。名だたる戦国大名の最終目標は全国制覇。そのための条件は朝廷から信任を得て支配権を獲得すること。いかに力があって恐ろしくとも朝廷の信任を得られていなければただの一大名で終わる。 戦国時代のトップバッターは織田信長。ちなみに有名無実化した室町幕府に最後のトドメを刺したのも織田信長。足利義昭を京都から追放した。 天皇の力を借りつつ天下統一への道を進んでいった織田信長は本能寺の変で死亡。 二番バッターは豊臣秀吉。秀吉は天皇から関白の

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書③

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書②

          1192年、後鳥羽天皇が源頼朝を征夷大将軍に任命し政権を委託。鎌倉幕府が誕生。初の武家政権である。(元を辿れば国司として地方に派遣された役人の土着化とそれに伴う組織化が大元) 鎌倉に幕府があったので東国はまだ未開の広大な土地が残っていた。それを利用したシステムが将軍と御家人による御恩と奉公だ。簡単に言えば土地を与える代わりに平時、有事ともに武力を提供してもらうというもの。これを封建制度という。(これは土地がなくなれば立ち行かなくなる制度か?) 頼朝が亡くなって次に台頭して

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書②

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書①

          本書は神道や神話、天皇などGHQの統治下において教科書には詳細に書くことができなかった部分を中心に日本史の中学生を対象とした歴史を書いている。特に古代となる縄文から古墳時代までの考古学的見地からの従来の教科書的内容ではなく、古代から歴史的視点から記述している。初代神武天皇から脈々と続く天皇を日本史の軸においていることにより縦の歴史の流れが見通しやすい。 農耕が始まると土地や水の利権を巡って争いが起きる。集落を守るために堀や柵を巡らせた環濠集落ができた。有名なのは吉野ヶ里遺跡

          【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書①

          聖杯もエクスカリバーもいらない

          現代において勝者の証は薬指の指輪である。 王冠の代わりにヘッドホンを被り、エクスカリバーの代わりにペンを持ち、聖杯の代わりにタンブラーでビールをあおりながら結婚指輪をはめることを夢見る女性同人作家のラブコメディ。 #100文字ドラマ

          聖杯もエクスカリバーもいらない

          【読書】 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか

          仏教は自己救済の宗教。合理を重んじ原因と結果を考える宗教。 およそ2500年前のインドが発祥。当時のインドに膾炙していた宗教はバラモン教。これは生まれながらにして高貴なバラモンから下賎なシュードラまでのカースト制度が敷かれている宗教。 ちなみにインドの人種は元をたどるとアーリア人。これは中央アジアに端を発する民族で後にヨーロッパまで渡っていく白色系の民族。インドに入ってきて侵略したといっても良い。つまりカーストトップのバラモンはアーリア人で下のシュードラなどは元からインド

          【読書】 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか

          【畜産について】 食糧生産の手段の一つとして

          焼肉美味しいですよね。ステーキもすき焼きも最高!肉料理って本当に美味しいと思います。現代の食事には欠かせない「肉」ですが、その肉を生産する「畜産業」はどのようなものなのか考えていこうと思います。 「畜産」の本質って何でしょうか?人類はなぜ畜産を発展させて牛や豚を飼育して肉を食べているのでしょうか? 美味しいからでしょうか?現代はそういう面も強いと思います。肉が美味しくて需要があるから生産しているということですね。しかし本来は「美味しいから」という余裕のある理由からではない

          【畜産について】 食糧生産の手段の一つとして

          【読書】 知りたくなる韓国

          14世紀末まで高麗という王朝があった。高麗を倒して誕生したのが朝鮮王朝。およそ1400年から1900年までの500年間続く。長い。朝鮮王朝になると日本史にはさっぱり登場しなくなる気がする。 朝鮮王朝は中国の冊封体制下に置かれていた。さすがに地続きでは抵抗も難しいか。 高麗を倒しても中国に認められなければ正式な王としては成り立たない。朝鮮王朝は第三代の時にやっと正式に認められた。 中国の冊封体制下にあった朝鮮では漢字を重んじておりハングルは蔑んでいた。ハングルを偉大な文字

          【読書】 知りたくなる韓国

          【川について】 人類の文明の発祥から現在まで生活に関わり続ける水の流れ

          「川」って聞いてどんな川を想像するかは人によりますよね。私は長崎市の割と中心部の出身なので川のイメージはトップ画像にある「中島川」になります。穏やかな流れであまり大きくない2級河川です。眼鏡橋という石橋が架かっていて観光地になってます。京都市出身の方なら「鴨川」を思い浮かべるかもしれませんし、広島市出身の方なら「太田川」を思い浮かべるかもしれません。大きい川も小さい川もきれいな川も汚い川も各地に様々な川があるわけですが、実はこの「川」は文明の発祥から今に至るまで人の生活には欠

          【川について】 人類の文明の発祥から現在まで生活に関わり続ける水の流れ