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「同志少女よ敵を撃て」の感想
以下はネタバレを含む感想になるので未読の方はご注意下さい
一生心に残る作品だと思った。読んでいて眼を見開き奥歯を噛んで時にホッとしてそして泣いた。単純に面白かったとそう述べることすら躊躇ってしまう。一言で感想をまとめることができず、しかし感想を残しておきたいので以下に綴っていくことにする。
なぜこの作品にこんなに惹きつけられたのか。それは本作を読み終えた2022年4月上旬時点でのロシアによるウ
【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書③
応仁の乱以降、群雄割拠の時代に突入した戦国時代。名だたる戦国大名の最終目標は全国制覇。そのための条件は朝廷から信任を得て支配権を獲得すること。いかに力があって恐ろしくとも朝廷の信任を得られていなければただの一大名で終わる。
戦国時代のトップバッターは織田信長。ちなみに有名無実化した室町幕府に最後のトドメを刺したのも織田信長。足利義昭を京都から追放した。
天皇の力を借りつつ天下統一への道を進んでい
【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書②
1192年、後鳥羽天皇が源頼朝を征夷大将軍に任命し政権を委託。鎌倉幕府が誕生。初の武家政権である。(元を辿れば国司として地方に派遣された役人の土着化とそれに伴う組織化が大元)
鎌倉に幕府があったので東国はまだ未開の広大な土地が残っていた。それを利用したシステムが将軍と御家人による御恩と奉公だ。簡単に言えば土地を与える代わりに平時、有事ともに武力を提供してもらうというもの。これを封建制度という。(
【読書】 平成30年度文部科学省検定不合格教科書①
本書は神道や神話、天皇などGHQの統治下において教科書には詳細に書くことができなかった部分を中心に日本史の中学生を対象とした歴史を書いている。特に古代となる縄文から古墳時代までの考古学的見地からの従来の教科書的内容ではなく、古代から歴史的視点から記述している。初代神武天皇から脈々と続く天皇を日本史の軸においていることにより縦の歴史の流れが見通しやすい。
農耕が始まると土地や水の利権を巡って争いが
【読書】 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか
仏教は自己救済の宗教。合理を重んじ原因と結果を考える宗教。
およそ2500年前のインドが発祥。当時のインドに膾炙していた宗教はバラモン教。これは生まれながらにして高貴なバラモンから下賎なシュードラまでのカースト制度が敷かれている宗教。
ちなみにインドの人種は元をたどるとアーリア人。これは中央アジアに端を発する民族で後にヨーロッパまで渡っていく白色系の民族。インドに入ってきて侵略したといっても良
【読書】 知りたくなる韓国
14世紀末まで高麗という王朝があった。高麗を倒して誕生したのが朝鮮王朝。およそ1400年から1900年までの500年間続く。長い。朝鮮王朝になると日本史にはさっぱり登場しなくなる気がする。
朝鮮王朝は中国の冊封体制下に置かれていた。さすがに地続きでは抵抗も難しいか。
高麗を倒しても中国に認められなければ正式な王としては成り立たない。朝鮮王朝は第三代の時にやっと正式に認められた。
中国の冊封体
【読書】「差別はいけない」とみんないうけれど。
まえがき
「差別」をみんなが批判できるようになったのは最近のこと。かつては被差別者のみが差別を批判できるという考えが支配的だった。これは差別批判の言説が「アイデンティティ」から「シティズンシップ」へと転換が起きたからである。「市民」であれば誰もが差別を批判できる。これが「シティズンシップ」の論理だ。最近ではこれが行き過ぎて差別批判を「炎上」という娯楽に変えてしまった感がある。これはみんなが安心し
【読書】 イネという不思議な植物
玄米は栄養がある分雑味が多い、よって美味しく食べることができるように精米する。取り除かれた皮や胚芽を米ぬかという。
古代では食糧となるデンプン源を「uri」と呼んだ。例えば「kuri」や「yuri」。うるち米もここが語源とされる。
米には大別して「うるち米」と「もち米」がある。この2つは成分が異なる。うるち米にはアミロースとアミロペクチンを含んでおり、もち米はアミロペクチンのみである。アミロー
【読書】 コロンブスの不平等交換
コロンブスによるアメリカ大陸の発見というのはヨーロッパ中心的な視点であり、コロンブスがアメリカ大陸に到達する前から既に人類は高度な文明をそこに築き上げていた。それはアステカ帝国であり、マヤ文明であり、インカ帝国である。
コロンブスの太平洋横断に端を発するその後の流れは、アメリカ大陸に疫病をもたらし、家畜を導入した。一方でアメリカ大陸からはトウモロコシやジャガイモなどの作物を持ち帰り、多少の病気と