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高校の卒業式、合格、これから来る春のこと、

近日、高校の卒業式を迎えた。

正直、高校生活に良い思い出などない。
思えばずっと、先生に言えないこと、同様に親に言えないこと、それらを自分が抱え込まなきゃいけない事に、腹を立てていた。
同情されることに反発し、ヒエラルキー下部になる事も恐れていた。髪を切って染め、ピアスを開けて、(校則違反ではなかった)安全圏で反抗をして、一匹狼を装っていた。

本当に何かを破ってしまったら、本当に居場所が無くなってしまう気がしていた。人に拒まれることが怖くて、人に近付けなかったし、一人になるのが怖くて、いつも誰かといた。

卒業式の会場に並べられたパイプ椅子に座り、愛想を振りまき、価値観の合わない誰かにしがみつく事にも疲れ、すごく惨めな気持ちになっていた。親が来ているのに、一人でいる所を見られたくなかった。いつだって、誰よりも上手くいっていたかった。どうせなら気高く居たかった。

学校生活の中で、この人とは分かり合えそうだ、と思った瞬間もあった。顔を見合わせて笑っている間は、色々忘れて居られた。だけど他人に自分から声をかける勇気だけは、ずっと無かった。だから、席替えと共に、少しずつ話さなくなった。

日常の素性はついぞ知らなかった。私には、そういう関係の人が多かった。その場ではしゃいで、くだらない事を言って笑うけど、相手がどんな性格なのかは、一向に分からないまま。私は手間のかからない、物分りの良い「良い人」で居続けた。
卒業式の後に、声をかけて一緒に写真でも撮ろうと思ったが、辞めた。ナイーヴなので、断られでもしたら辛い。思い出は綺麗なままが良いと思ったのだ。

本当に仲の良い友達とは、多分これからも会える。結局、卒業で私と別れるのは、学校という空間が無ければ、今までも会うことのなかった、そういう人達だ。
そういう人達とは、きっともう連絡をとる事もなくなっていって、次に会うとしたら、大人になってから、Facebookの上でかもしれない。

それも、過去の話。

国立大学の合格通知が届いた。
ああ、そうだ。春からは、大学生だ。私が卒業したのは、卑屈で、危なっかしく尖っていた過去の全て。
さよならクソ高校生活!これからはきっと上手くいくし、私はもっと幸せになれる。
大学の雰囲気も良かったし、大丈夫だ。
先輩とも私は上手くやれそうだし、新しい友達もできそうだ。きっとな!やれるぞ!!

とりあえず、入学式までには、字を綺麗に書く練習をしよう。周りに字が綺麗な人が多くて羨ましいから。あと、料理の練習をしよう。それから、タイピングの練習をしよう。TOEICの勉強も。他に、何がしたいだろう?何ができたらかっこいいかな?

バイトして沢山お金を貯めて、いつか、コロナウイルスが収まったらさ、
ライブハウスや観光に行きまくって、経済を回したい。CDが売れないなら、クラウドファンディングにもお金を注ぎ込んでやる。カラオケも行くし、大きいクルーズ船にも乗ってやる。


私はまだ知らない事も、行ったことのない場所も沢山あって、まだまだ、辛気臭くはなれない。未来を見ていたい。今自分の職業で踏ん張っている、全ての人を尊敬している。
きっと、全部上手くいく。信じていればきっとそう。大丈夫だ。全て、大丈夫。

眠れない夜に捧ぐ