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衛生意識と免疫力

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、手洗いやうがいをはじめとした衛生面での意識がより一層高まりました。

かつてパンデミックを起こした感染症においても、不衛生な場所や地域から発祥したり、感染拡大したりといった背景もあります。

また、今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV2)についても、日本より海外はキスやハグ、握手などの挨拶習慣や、室内を土足で過ごす生活習慣が感染拡大の差に繋がっているのではないかという指摘もあります。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためには、とにかく衛生面に気をつけて清潔にすることが重要なのは恐らく全世界的に共通認識でしょう。

国内でもエレベーターのボタンから感染したといったニュースもあり、ボタン類も危険!?という意識の高まりからか、私も街で自動販売機を設置しているお店の方がその自動販売機のボタン周りを入念に清掃している様子を見かけたりもしました。

病院内はもちろん、たくさんの施設でも手すりや、それこそエレベーターの中など、今まで以上に除菌していることかと思います。

そのお陰か、今年はインフルエンザや従来の風邪の流行がかなり抑えられているという効果もあったようです。

実際に私も、医療系で勤務する知り合いに今年はインフルエンザの患者数が少なく、検査すら激減しているという話を聞きました。

アメリカではインフルエンザが流行した後に新型コロナウイルスが流行するというダブルパンチをくらっていましたが、アメリカでインフルエンザが流行している頃に日本では新型コロナウイルスが上陸していたため、結果的にインフルエンザを抑え込むことができてしまったということなのでしょう。

パンデミックを通して、各国の対応などもそうですが、衛生面や生活に関わる習慣などもクローズアップされ、良くも悪くも日本人は相手との距離を保ったり、予防のためにマスクを着ける習慣があったりしたことが、ほかの国に比べて感染拡大のスピードが遅かったのではないかという説も強いです。

今回の新型コロナウイルスのパンデミックにより世界的に、もちろん日本もですが、これまで以上に「清潔にすれば病気になりにくい(感染症にかかりにくい)精神」が向上して、衛生面に気をつける世の中になっていくのかなぁと思ったりします。


一方で、過度な除菌や殺菌はかえって人間の免疫力を低下させてしまう、そんな話を聞いたことはないでしょうか。


こまめなアルコール消毒や除菌、殺菌により、新型コロナウイルスだけをやっつけることができるならいいですが、そうではありません。ほかのウイルスや細菌、微生物も同時にやっつけてしまいます。

人間の手だけをとっても、皮膚常在菌が外部からのウイルスや悪い細菌の侵入を防いでいるため、過度な手洗いやアルコール消毒で皮膚常在菌をやっつけてしまうと、結果的に免疫力が低下することになります。

それが人間の手だけでなく、あらゆる施設で除菌や殺菌が繰り返され、本当は必要だったはずの細菌や微生物をどんどんやっつけてしまった場合、人類の免疫力低下に繋がらないのでしょうか。

潔癖症の人が風邪になりやすい、アレルギーになりやすい、なんて話も聞いたことがあります。

キスも口内の細菌を交換して免疫力を上げる効果があるとも言われています。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染症拡大がきっかけで、細菌や微生物を殺しまくる世界になったとしたら、それが何年も何十年も継続されることになったら、人類に何かしら大きな影響があるのではないでしょうか。もしかしたら、人類だけでなくほかの生物にも影響があるのではないでしょうか。


つまり、過剰な除菌や殺菌が継続的に実施される世界になった場合、

ひとつは、人類の免疫力低下に繋がらないか

もうひとつは、自然界の細菌や微生物が激減しないか、仮に激減するのであれば人類やほかの生物に影響はないのか

という点が気になります。


新型コロナウイルスはこれからも大きな影響を与え続けることは容易に想像できますが、どの程度の規模感でどんな影響を与えていくのかは、人類の予想をはるかに超えていくかもしれません。

今の時点で「そんなバカな」と思えることが、実際には起こってしまう。そんな常識の破壊を新型コロナウイルスは教えてくれているように思えます。

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