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美味しい記憶1:みかんのシロップ漬け。

16歳の夏。

神奈川県と山梨県の境、丹沢に友人2人と登山をしに行った。
3泊4日避難小屋を転々としながらいくつかの山を登った。

1日目はなんとか乗り切り、2日目。
アクシデントが続出。
鉄砲水の影響で道がなくなっていたり、ヒルに血を吸われたり、腰や膝が悲鳴を上げたり……

心身共にボロボロだった。
聡明なメンバーがいたため、なんとか2日目の小屋に到着。
予定よりかなり遅く、疲労は想像を遙かに超えている。


夕食を作る気力どころか食べる気力がなかった。
もうなにも喉を通らない気がする。とまで思った。

料理をするつもりで用意をしていたが、火はおろか、ナイフすら使いたくない。
というか、一刻も早く眠りにつきたい。
だがここでなにも食べないと明日以降がもたない。

食べやすくて栄養価のあるもの、、、
みかんのシロップ漬け…!!
コレがあるじゃないか。

缶詰みかんのレトルトパウチバージョン。
それまではベットリ甘いだけのみかんと認識をしていた。

でも、この日は別だった。
心身ボロボロの俺らにみかんは染みた。

甘いシロップ、甘酸っぱいみかん
五臓六腑に染み渡るとはこのことか。
と思うほど、美味しかった。
シロップを飲みきったのは言うまでも無い。

足の先までエネルギーが回る感じ。
あれほど美味しい晩ご飯は無かったんじゃないかな。


あれ以降も何度かみかんのシロップ漬けを食べる機会はあった。

基本的に同じ味なのだが
なぜだろうかあの味にはほど遠い。

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