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出会って8日、ビリヤニを作るまでの備忘録。

ビリヤニに出会ったのは8日前の事だった。
一週間で3回もビリヤニを食べ、ついには自分で作る所まできた。
ひとつの料理を短期間で何度も食べる事なんて、料理の試作以外ではそうそう無いのでこれはかなり珍しいことだ。


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・あなたビリヤニって言うのね!?

数年前からビリヤニという名は知っていた。
料理人だし、スパイスはそこそこ好きだしね。

けど実際に食べたことが無かった。
ビリヤニを置いてる店はそんなに多くないし、たいていインド料理屋に行くのはカレーが食べたい時だから見向きもしなかった。

「カレーピラフの仲間みたいなもんでしょ??」くらいの扱いだった。


が、SNSを眺めていたら美味そうなビリヤニの写真とコメントが……
興味を持って調べてみたらかなり複雑な料理だ。
カレーとは違うし、ピラフでもない、独特な米料理なのだ。

よし、美味いビリヤニを探そう。
心の中では孤独のグルメのBGMがかかり、俺はネットを使い調べまくる。
ビリヤニを出している店は多くないので選択肢は多くない。

写真や口コミを見て、数店舗を候補に選び中でも美味そうだった店に行った。

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そしてここは大正解だった、多分。
これがビリヤニか!!
こんな美味い料理を俺は食べてこなかったのか!!

ビリヤニは種類が色々あるが今回はマトンビリヤニを頼んだ。
羊肉が大好きなのもあってかなりハマった。

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重ねて炊く本式のビリヤニ。
辛さは控えめで、アレコレ足さないシンプルで奥深い美味しさ。
パラパラのバスマティライスとガツンと美味い肉とソース。

米の層と具とソースの層が分かれてて、それを好みで混ぜながら食べすすめていく。
そうして自分なりに心地よい味になっていく。
バスマティライスがふわふわしてるからガツガツ食べ進められる。

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そしてこのライタが大事なのだ。
ライタってのは刻んだキュウリや玉葱をヨーグルトと塩で混ぜたソースで、ビリヤニの相棒なのだ。

どれくらい大事かと言うと、寿司のワサビ、秋刀魚塩焼きの大根おろし、チキン南蛮のタルタルソース、くらいは大事だ。

バスマティライスが軽いとは言え、油やスパイスを沢山使った料理なのでそのままだと後半はけっこう重たい。
そこでライタを食べればサッパリ、また食べ進むのだ。


・雨天決行

はじめてビリヤニを食べて5日目。
なんだか猛烈にビリヤニが食べたくなった。
が、外は雨。

ベテランペーパードライバーである俺の移動手段は自転車が基本なので、雨の日にはそんなに外出をしない。
けど食べたいな~~!!なんて迷いながら音楽をシャッフルでかけた。

東京事変の曲をシャッフルでかけたら1曲目がまさかの”雨天決行”
あ、これは行くべきだな。と思い自転車に跨がり漕いだ。

ずぶ濡れになり、身体も冷え切った頃の到着。
身体を拭き着替えてから入店。
今回の目当てはチキンビリヤニだ。

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チキンビリヤニを頼んだらセットでカレーまでついてきた。
ちょっとくどいかな?とか思いつつ実食。

骨付きの鶏が入ってて美味い。
前回よりしっかり辛いのに食べる手は止まらない。

んで、水分が少なくてアッサリしている。
なるほど、コレはカレーと合わせて食うのを想定してる訳だな。

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ライタがたっぷりなのも良い。
濃いめで辛めなのによく合う。
マトンに比べて鶏はアッサリしてて食べやすいし淡泊なので万人受けしやすい。

あとビリヤニによくのってる生の玉葱、辛そうってイメージあったけどビリヤニと合わせて食うといいアクセントだ。
辛味はコッテリした味にかき消され玉葱の甘さとジューシーさが残る。

入店した時は冷え切ってた身体は、退店時にはポカポカになってたし汗までかいていた。
スパイスって凄い。

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・ライタをかければビリヤニになる?

すっかりビリヤニの魅力に取り憑かれた俺は次の昼もビリヤニを食べに向った。
少し古い口コミだが、クセの強いマトンビリヤニが食えると書いてある店なので期待をして行った。

そこで事件は起こった。
マトンビリヤニは無くて、日本米のチキンビリヤニだしか出せないと言われたので。

むむ!?日本米でビリヤニにしたらベトベトになりやしないか??
と思いつつもそれを注文。

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う~~ん。。。
これじゃあタンドリーチキンまぜご飯だ……
というクオリティーだったのだが
ライタをかけると一気にビリヤニになった。

ちょっとベタついているがビリヤニだ!
まぁ満足はできなかったが、ライタの凄さを思い知った。

けど、パラッとしたマトンビリヤニが食いたいな~!!

・はじめてのビリヤニくっきんぐ。

ビリヤニを食べたいとTwitterで言った時、レシピを送ってきた強者がいた。
京大カレー部の総料理長そーのすけさんだ。

前からちょくちょく料理トークをする仲で、かなりのインド料理ガチ勢だ。
そして彼のレシピならば間違えないと思い、かなり参考にした。

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自転車で10キロほど漕いでインド食材店へいき材料を買いそろえる。
ある程度のスパイスは持っていたので買ったのは5点だけ。

バスマティライスはラルキラってメーカーのが美味いよ!と言われたら買うしかない。
あとはマトン肉、ローズウォーター、粒のカルダモンとクローブだ。

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我が家にはすでに30種近くスパイスはあるので作りやすい。
たまたま畑に行く用事があり、紫玉葱、パクチー、ミントなどの必要な材料が手に入ったのもよかった。

ビリヤニ自体にはあんまし季節感がないのだけど、付け合わせで季節感をだすのは良いかもしれない。

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細かいレシピがきになる方はTwitterで確認してね。


・前日にはビリヤニは始まっているのだ。

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解凍したマトンは軽く洗い、2cm角に切る。
クセを減らす場合は水でさらすといいが、この臭みがあるからこそのマトンだと思っているので勧めはしない。

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ヨーグルトや塩やスパイスで和えて袋にいれて1日。
もうちょっと唐辛子とクミンと胡椒と塩を足してもよかったかな。

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フライドオニオンもこさえた。
本当は当日にやるもんだけど、たまたま揚げ物をやったのでね。

揚げすぎだと言われたので次回はもうちょっと優しく仕上げよう。

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アチャール(インドの漬け物)も漬けた。

紫玉葱と金柑を塩とレモン汁、マスタードシードをいれて熱したオリーブオイルで和えて1日だ。

これはかなり良いクオリティーに仕上がった。

・出会って8日目で作るビリヤニ

ついに当日が来た。

料理を初めて10年以上、大抵の料理はレシピをみたら何かしらの応用でそこそこのクオリティーに作れる。
が、ビリヤニは特殊だ。

カレーや炊き込みご飯の応用ではあるけど完全に別物。
料理本、料理サイト、レシピ動画、様々な物を見て予習してから取り組む。

色々な人の作り方やレシピを見て、ここはこのやり方が良さそうだとか、浸水感はこれくらいが平均的かな?ってのを把握して自分の作る量で紙に書き出す。
料理中はケータイより紙の方が扱いやすくて好き。

さっきも言ったが基本のレシピはそーのすけさんの物を参考にしている。
約4~5人前だ。

・はじまりはマサラから

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まずは油にスパイスをいれて加熱。
シナモン、カルダモン、クローブ、八角、フェンネル、クミン。

油は気持ち多かったので次は少し減らそうかな。

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香りが出てきたら漬けておいた肉を投入。
水分を飛ばしつつ加熱していく。

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んでトマトを投下。
トマトペーストでも生でも合計量が同じなら良いかな。

中玉2個でやったがもっと欲しいな。
トマト缶ひとついれてよかったかもしれない。

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ハーブの茎も刻んで入れた。
今回はミントとパクチーだ。
パセリとかいれても良いかも。

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油脂が多いのもあって乳化しやすい。
水分を入れる度にしっかり乳化させるの大事そう。

スパイスの成分は脂溶性の物が多いので脂は美味しさの要。

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ヨーグルト150gを投入し煮詰める。

もっと多くてよかった。
次は倍いれよう。

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更にグツグツ。
ヨーグルトやトマトなどの酸味系食材はしっかり煮詰めると美味しくなる。

スパイスが溶け出た脂が良い味なんだ。

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んで、マトンが柔らかくなるまで水分を足しつつ1時間くらい煮込む。
濃いめのカレーって感じの仕上がりに。

水じゃなくてワインでやったらまた変わるかもなぁ。
もうちょいマサラが多い方がよかったなぁ……
肉がしっかり浸るくらいの量はあってよかった。

・バスマティライスはアイツの香り?

バスマティライスってのはインディカ米の中で最上級の物らしく、日本米で言う魚沼産コシヒカリ的ポジションだそう。

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優しく洗い20分くらい浸水させる。
折れやすいから気をつけないとね。

色合いが大事なので濁りがなくなるまで丁寧に洗うこと。

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茹で汁はパスタ湯より濃いめの1.5%塩水にスパイスとサラダ油を入れた物。
米1合に1リットルは欲しいね。

今回はシナモン、カルダモン、胡椒、クローブを使用。
ローリエいれてもよかったなぁ。
あとシナモンはかなり強いのでごく少量で良いかも。
油は大さじ1で充分。

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んで優しく5分くらい茹でてザルに引き上げる。
水分をよく切るの大事。
あと茹で汁は少し残しとくと良い。

ひとくち味見。
この香りは……ゲンゴロウに似ている!!
ゲンゴロウはそのままだと臭くて美味くなかったけど、スパイスと合わせたら美味しく化けるのかな??


・重ねて炊くのは難関

ビリヤニが他の米料理と圧倒的に違うのは何層にもわけて炊く点だろう。
マサラ、バスマティ、マサラ、オニオンとハーブ、バスマティ、オニオン、ハーブ、バター……

この重ね具合によって味や色の濃淡がつき、ビリヤニ独自の魅力が生まれる訳だ。


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まずマサラの1/3(約500g)を取り出し、バスマティライスの半分を重ねて敷き詰めた。

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そこに取り出したマサラ、パクチーやミント、フライドオニオンを重ねる。

しっかり一面にマサラがあるくらいは量が欲しかった。
この量が多すぎるとベットリ仕上がるのだけど、少なすぎると焦げ付く。

下の層のバスマティライスは赤や茶色にする感じで、パプリカパウダーなんかを振ってもよかったかも。

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んで残り半分のバスマティライスを敷き詰め、フライドオニオン、ハーブ、バター、サフランをいれたミルク、ローズウォーターをかける。

本当はギーがいいけどないからバター。
大体20gくらいいれたけど多すぎると重たいので注意。

フライドオニオンはちょっと揚げすぎた。
サフランミルクはもっとムラのあるかけ方をしないと白い部分ができないから次は気をつけよう。
外側をサフランミルク、内側をローズウォーターみたいな分け方をしてもいいかな。

ここでかける水分は米やマサラ次第だけど、合計80ccくらいかけた。
足りないときはバスマティライスの茹で汁をかけても良い。

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んで、しっかり蓋をして強火30秒、弱火10分、極弱火5分、蒸らし5分。

水分が少なかったので少し焦げたが、火入れ時間はこれくらいがちょうど良い気がする。
流石そーのすけさんのレシピ。いい塩梅だ。

出来たてをすぐ食べるのが1番美味い。
層になっているので縦に取ること。

・自家製ビリヤニお披露目タイム。

そうこうしながら副菜や汁物をこさえて、炊き上がり。

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ドーンと盛って生紫玉葱、パクチー、ミント、生姜千切りを飾り
ライタ、紫玉葱のアチャール、キャロットラペ、を添えた。

ビジュアルかなりいい感じじゃ無い?
けどビリヤニの水分が少なめでそこがちょっと焦げてる。
ううむ、開けれない調理だと水分量が肝心だなぁ。

もっとビリヤニに合いそうなお皿欲しいな。
金属のは冷めやすいからあんまし好きじゃないけど、陶器で合いそうなのは探そう。

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いざ実食。
う~んまいっ!!ちゃんとビリヤニ!!

スパイシーだけど、辛すぎなくて、軽くてガツガツ食える。
マトンも程よく柔らかくなってるし、ライタもよく合う。

マサラが少ないのが最大の反省点だなぁ。
ここさえ美味くいけばかなりいい線いってたと思う。

悔しい。
次はもっと美味くする。絶対。

家族はビリヤニどころかインディカ米すらほぼ初めてだったのにけっこう食べてくれた。
けど粒のスパイスは苦手みたい。

次家族に作るなら粉スパイス中心で優しく作ろう。
反省点たくさんあるし、次はもっと美味くできる。

・副菜アレコレ

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基本のビリヤニはライタがあればOK
それ以上の添え物はおまけ。
お店によってはカレーと合わせて食う場合もある。

今回はキュウリと玉葱のライタ。
紫玉葱と金柑のアチャール。
黒オリーブのキャロットラペ。
を添えた。

ライタはキュウリと玉葱を塩揉みして、ヨーグルト、レモン汁、パプリカ、ガラムマサラで和えた物。
ソースっぽいけどサラダの仲間だそう。

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アチャールの金柑は想像以上にビリヤニと好相性だったので次も柑橘は使っていきたい。
もっと酸味の効いたアチャールでもいいかも。
ここで季節感を出していきたい。

添え物以外はトマトと豆のサラダ、そら豆のポタージュ、新玉葱のサラダ、ズッキーニチーズ焼き
ビリヤニ作りは大変だけど、待ちの時間が多いから副菜は作りやすい。

飲み物にラッシーまで作ったけど、ライタでヨーグルト感は充分だから水か甘くないチャイでよかったわ。

・はじめてのビリヤニ反省感想乱れ書き。

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なんだかんだ美味しくできたのでとりあえずは成功。
また作りたいと思えるのは成功なのかもしれないけど、反省点もたくさん。
次作る時ように書き残しておく。

マサラ少ない。
底のマサラが800g、上が500gはあっていい。
マサラの辛味はもっと合っていい。唐辛足す。
油多すぎ、もっとアッサリしよう。

粒のスパイスは美味いけど、慣れてない人にはキツい。
トマトは一缶いれるくらいいって良い。
フライドオニオンはもっと均一に切ってじっくり揚げる。
想像以上に余熱で火がはいるから注意。

バスマティライスは四人で3合は多い、2.5合でいい。
ストーブだと3合が限界。
バスマティライスの湯切りは普通にザルでOK、平たいのにいれなくてよさげ。

重ねるときの色ムラは意識してつけること。
ローズウォーターは50ccくらいあってもいい。
アチャールは季節感だせるからアレンジしまくろう。
ライタは一人50gはあっていい。たっぷりいこう。
ライタは仄かにスパイシーなくらいがいい。

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まー色々ありますが、美味しかったからよかった。
次はもっと美味しくするさ!!

おしまい!!皆さんも良いビリヤニライフを送って下さい!!

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