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子どもの姿の捉え方

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子どもについてのあれこれ
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#育児

子どもの権利を守る気がない人たちと、守りたいけれどうまくできない人たち

子どもの権利を守る気がない人たちと、守りたいけれどうまくできない人たち

「保育って奥深いんですよね」と、その人は言った。

誰もが知っているほどの企業で研究職を務め、定年退職後も引き続き研究所などで働く選択肢がありながらも、地域の福祉の役に立ちたいと放課後児童クラブ(学童保育)でパートタイマーとして働き始めたそうだ。

「学べば学ぶほど、この保育や支援の面白さ奥深さを感じる」と、キラキラした目で語ってくれた。この仕事を始めてまだ半年程だそうだが、何年も保育について語ら

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保護者批判をしないのは、正義感からではない。

保護者批判をしないのは、正義感からではない。

「あそこの親は問題があって」と平気で言葉にする保育士がいる。「親があれなら、子どもは救いようがないよ」そんな風に批判する教育者もいる。

それが称賛されることではないのはきっとみんなわかっている。それでも保育現場やSNSで見聞きすることが少なくない。

言わずもがな、保育者や教員が保護者を批判するのは絶対にすべきではない。「悪口をいっちゃダメだよ」というような優等生の発言みたいだけれど、そういう正

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同じ言葉を使っているのに伝わらないことについて

同じ言葉を使っているのに伝わらないことについて

言葉がひとり歩きしている。そんな風に感じることがある。

「自尊心」「自己肯定感」「主体性」この言葉たちは、ここ数年の保育教育の大きなテーマとなっており、心理学と関係ない業界でも世間一般で使われるようになってきた。その世間一般で使われている言葉が正確な意味で浸透しておらず言葉がひとり歩きしていることに危機感のようなものを感じることがある。

そんなことを思って、違った解釈で捉えている方に向けて簡単

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業界を変えるためにできることを真面目に考えた。

業界を変えるためにできることを真面目に考えた。

「保育業界を良くしたい」という言葉を発した時に、ある先生から「みんなそう思ってやってるよ」と言われたことがあります。「変えてやろう」とは思っていなくても「より良くしていきたい」そう思ってやっているはずだよ、と。

たしかに失礼なことを言ってしまった。「悪くしよう」とはみんな思っていないだろうし、より良いものにしたいというのもその通りだろう。では、なぜ良くなっていかないのか。なぜ、それぞれがそれぞれ

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『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』

『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』

twitterのDMで保育や子育ての相談をいただくことがあります。「正解」を導き出せるわけでは無いのですが、少しでも不安の解消になるように何かのヒントになるようにと自分なりの視点をお伝えさせていただいています。

先日ご相談いただいた方から「いただいた文章が私だけで読ませてもらうのもったいないのでツイートに載せてみては…同じように悩んでいる方の支えになるのではないか」とそれこそもったいないお言葉を

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子どもらを被害者に 加害者にもせずに

子どもらを被害者に 加害者にもせずに

ここ数日、連日のように教員いじめの事件が取りざたされ、非難するツイートや記事を多く目にしながらモヤモヤした気持ちをずっと抱えていました。わざわざ言葉にすると批判的な内容になるので記事にするか迷ったのですが、出来るだけ前向きに書いてみることにしました。

抱いているモヤモヤと向き合っていると、学生時代のある講義のことを思い出しました。

たしか、保護者支援かなにかの授業で「モンスターペアレント」につ

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保育に引き出しは必要か。

保育に引き出しは必要か。

「保育に引き出しは必要じゃない?」って聞かれて、自分には何もないなあって反省したんです。

相談してきてくれたその職員は今年度から6施設のリーダーを務めている。もう1人のリーダーと力を合わせ少しずつ自信をつけていき、悩みながらも日々奮闘して力をつけていた。

それを知っていたので「リーダーになるのまだ早かったんじゃないかなって思うんです」と落ち込む姿を見て、足りないことを指摘しても「よし頑張ろう!

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理屈で保育ができるでしょうか

理屈で保育ができるでしょうか

より良い保育を目指している中で「あなたは熱いからね」と言われたことがある。情熱があるからそこまでやれるんだ、と半分は敬意を示してくれたのだろうけれど、半分は「他の先生には暑苦しいんだよ」というニュアンスが含まれていたため「情熱で保育はしていません。仕事です」と答えた。何年かして同じ人に「指針とか理屈ばっかりじゃなくて、思いとかがあるやん。思いで保育しようよ」と言われた。「どないやねん」というツッコ

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保育士を「誰にでもできる仕事」にしていく。というのはどうだろう。

保育士を「誰にでもできる仕事」にしていく。というのはどうだろう。

「子どもと遊ぶのが仕事でしょ」って言われたときに、「そうですよ」って答えちゃえばいいと思うんだよね。

ある保育士さんから投げかけられた言葉だ。
物腰が柔らかくて腰が低く優しい、現代の保育現場ではともすれば“頼りない”と言われかねないような方なので(僕はそんなところが好きなんだけれど)皮肉などの他意はなく率直な思いなのだろう。「日ごろ[あそびは素晴らしい]って散々説いといて「遊ぶのが仕事でしょ」っ

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忘れ物をした子がいた時に、ぼくが気をつけたいこと

忘れ物をした子がいた時に、ぼくが気をつけたいこと

忘れ物に限らず、失敗したときに咎めたり追い討ちをかけてきたりされても解決には向かわないと思っていて、じゃあどんなふうに向き合うの?というと、具体的にイメージできなかったりするのでまとめてみました。

仕事の失敗とかもそうだと思うんだけれど「できなかったこと」にフォーカスするのではなくて、それによって起こるしんどさに焦点を合わせてフォローしていきたいなと思っています。

なにかの参考にしてもらえたら

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夢を語る子にどうやって向き合うか

夢を語る子にどうやって向き合うか

努力をすれば、諦めなければ夢は叶う。なんて僕は思わない。叶わない夢はあるし、努力ではどうしようもないこともある。ただ、子どもの夢は肯定する。いや、子どもだけじゃなくて誰のどんな途方も無い夢でも。それにはちゃんと理由がある。

はじめに

先日、TwitterのDMで質問をいただきました。

子どもは将来の夢で、プロ野球選手になりたい!や、お姫様、プリキュアになりたい!など努力次第でなれる可能性のあ

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