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【23日目】もう「AI」って言うのはやめにしよう。

僕は「AI」という言葉を絶対に使わないようにしています。

理由は簡単で、「アホだと思われる」からです。

今日はそのあたりのことについて少し語りたいと思います。

AIの基本的な知識について、なるべく専門用語を使わずにまとめたので、AIをまったく知らないよって方も是非見ていってください!

AI:Artificial Intelligence, 人工知能

AIは存在するのか。

「AIを搭載した最新の技術!」
「AIを活用したマーケティング施策で」
「AIによる個人に最適なソリューションを」

とかってよく聞きますけど、人工知能って本当にあるんでしょうか?

答えは「現時点ではNO」です。「人間のように考えるコンピュータ」はこの世に存在しません。

なので、最初にあげた宣伝文句は全部「AIもどき」です。

衝撃ですよね。。

じゃあ世の中にある「AIもどき」たちはいったい何者なんだ、という疑問が湧いてくるわけですが、それは一旦置いておいて、先ほどの質問にもう一度答えると、「現時点ではNOだが、将来的にはYES」です。

将来的に YESな理由は、脳とコンピュータが同じ仕組みで動いているからです。

コンピュータのプログラムが0と1だけで構成されているのはご存知でしょうか。

コンピュータでは、文字を打つのも、難しい計算をするのも、アプリゲームを表示するのも、全て0か1かで表現されます。例えば「E」という文字はコンピュータには「01000001」と見えています。

実は、脳みそもまったく同じなんです。

脳が活動するとき、神経には電流が流れます。

いま僕が次に何を書くか考えているのも、数学を解くのも、運動するのも、ひとつひとつの神経に電流が流れるか、流れないかの集合で成り立っています。これは全ての活動が「0か1か」で成り立っているということを意味します。

不思議な感じがしますけど、コンピュータの内部で起きることと、僕たちの体内で起きることは、「0か1か」の電気信号でやり取りされているという意味で同じなのです。

つまり、コンピュータの仕組みと脳の仕組みが同じなんだから、頑張ればコンピュータで脳を再現できるはずでしょ!っていうのが、AIが実現可能だという根拠なわけです。

なるほど、そう言われれば人工知能って原理的にはできそうな気がしてきませんか?

この発想に、最近の技術の発展が合わさって、いよいよAIの実現が見えてきました。それが、現在こんなにもAIの分野が盛り上がりをみせている理由です。

そして残念ながら、そのブームに乗っかっていっぱい出てきてしまったヤツらがいます。

それが先ほど一旦置いておいた、「AIもどき」たちなのです。。

「AIもどき」の正体

「AIもどき」とは、「考えているように”見える”コンピュータ」のことです。

考えているように振舞うけど、実際は何も考えていないコンピュータのことです。

考えているように”見える”とはどういうことか。

例えば、卵を重さによってS・M・Lに仕分ける機械は何も知らない人からすれば考えているように”見え”ます。

でもその実は、測った重さが55グラム未満なら左、55g〜60gなら真ん中、60グラム以上なら右というふうに、あらかじめ決められた動作をしているにすぎません。

そのように原始的なものから画像を認識してネコと判定する人工知能のようなものまで、人工知能には大きく4段階のレベルがあります。

そのレベルとは、

①単純な制御
②推論・探索
③機械学習
④特徴表現学習・ディープラーニング

の4つです。

何やら難しい言葉が出てきましたが、すっっっごく端折って説明すると、

①単純な制御=卵の仕分けなど、決められた動作をそれっぽくやる
人間で言うと、アラビア文字を全く理解しないまま、ひたすら命令されるがままに書き写しているような感じです。
ملحوظةملحوظةملحوظةملحوظةملحوظةملحوظةملحوظة
②推論・探索=googleマップのように最適な答えをルールに従って探す
これは、マップの例で言うと、「合計距離が一番近くなるようにしてください」みたいなルールを与えて、コンピュータがたくさん計算する、というものです。
人間で言うと行き止まったりしながら、頑張って迷路を解く感じです。
③機械学習=たくさんの問題と答えを与えてルールを導き出す
例えば、たくさんの猫の画像とそれが猫であるという情報をコンピュータに与えて、耳の形や目の幅といった共通点をコンピュータに見つけさせる、というようなものです。それで猫の画像を見せれば猫かどうか判別できるようになります。しかし、猫かどうかを見分けることはできても、ネズミと冷蔵庫の区別はつきません。
④特徴表現学習=たくさんの情報から似ているものを自分でグループ化する
たくさんの情報から、コンピュータが似たもの同士の共通点を見つけて分類していきます。画像認識なら、首が長い動物・耳が大きい動物・鼻の長い動物、というようにコンピュータが概念を分類します。最後にそれをキリン・ウサギ・ゾウ、と呼ぶんだよ、と人間が教えてあげればいいだけです。


では、いま世間で使われている「AI」はこれらのうちのどれを指すのでしょうか。

それは、①〜④をごちゃ混ぜにした全部です。

卵の仕分けも、顔認識も、株の自動取引も、すべて「AI」という言葉でまとめられてしまっているのです。

確かに①〜④はすべて考えているようには”見え”ます。しかし、①と④を同じ「AI」とくくって呼んでしまうには、あまりにもやっていることが違いすぎるのです。

それらをひとまとめに「AI」とくくってしまって、何をやっているかがブラックボックス化されてしまっている。それこそが「AI」というコトバの問題なのです。

安易に「AI」って言わない。

僕は「AI」という言葉を絶対に使わないようにしています。

アホだと思われる、つまり、①〜④の違いが全くわかっていないと思われるからです。

だから僕は「機械学習」とか「ディープラーニング」とかいう言葉をなるべく使うようにしています。

でも、この分野に詳しくない方にはそれは難しいでしょう。

大切なのは、真の意味でのAIはまだ完成されていなくて、世で言う「AI」にもグラデーションがある、ということが分かっているかどうかです。

そこの理解もなく、「なんかスゴそうなもの」の象徴として「AI」を濫用するのは研究者にも失礼というものです。

そうならないために、「”いわゆる” AI 」という言葉を使うのがいいと思います。

ほんの少しの違いですが、それだけで、「あ、分かってるんだな、この人」となります。

今日からは「いわゆるAI」って言いましょう。

AIの未来

最後にAIのこれからについて少し触れておわりにしようと思います。

人工知能界隈が最近急に大盛り上がりしているのはなぜなのでしょう。

その理由は④で触れたディープラーニングにあります。

ディープラーニングの特徴は、コンピュータが自らデータの共通点を見つけて学習することにあります。これが、それまでの人工知能研究とは一味も二味も違うところです。

まだまだ総合力では人間に及びませんが、ディープラーニングは、いくつかの課題を解決することで、真の意味でのAIを実現することができるかもしれない技術として注目されていて、いま最もホットな分野です。

人工知能の闇の部分(人間を滅ぼすのではないか、など)は多く指摘されていますが、理系の僕からすれば、技術の進歩はそれだけでワクワクするものです。

僕たちが生きているうちに見られるか分かりませんが、コンピュータが人間のように考えるようになったら、鉄腕アトムやドラえもんの世界が来るかもしれません。

その時は大声で「エーーアイッッ!」と叫びたいと思います。


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