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もしも「キングダム」の「信」をマネジメントするなら

2022年2月に35歳になり、自分の強みや経験を生かして、何か世の中の誰かのためになることをしたいと始めた「漫画×マネジメント」~もしもあのキャラをマネジメントするなら~のシリーズより、本日はあの大人気漫画×僕が最も大好きな漫画の主人公、信を取り上げたいと思います。

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漫画×マネジメントとは

さて、内容に入る前にそもそも、この記事は何なのか?ということをお伝えしたいと思います(ご存じの方は読み飛ばしてください)
本記事では漫画キャラを題材にどのように強みや弱みを見立て、マネジメントするのか、僕の考えをお伝えしています。

僕はマネジメントにおいて最も難しいのは「人の捉え方」だと思っています。もちろん成果を出すための戦略・戦術立案や推進も正解はないし難しいのですが、比較的「対課題」については論理的な組み立てができます。
ですが、メンバーの捉え方や関わり方という「対人」には正解がない上に答え合わせもできないし、論理的な組み立てだけではやっていけません。様々な状況を俯瞰し、考え、関わり方を判断しないといけないのです。
そして、相談相手がいないことがほとんどです。Aさんにどう関わると良いのかと考えても、自分の部下であるAさんについては自分しか情報を持っていなかったりするので、誰にも壁打ちもできず、メンバーを見立てる力も高まらない・・・。

扱うものが人であるが故の難しさがあるのだと思います。

だから、誰もが知っている漫画キャラがビジネスパーソンだったら、どうマネジメントするのか。そんな僕の考えをお伝えさせていただき、「そんな見方もあるんだな」「そんな捉え方もできるのか」「そんな風に考えるのか」という気づきになればと思っています。

前段が長くなりました。失礼しました。

では本題です。「キングダム」の「信」がビジネスパーソンだったら、どのようにマネジメントするのか、お伝えしたいと思います。

信って、どんなキャラ?

今回は漫画キングダムより、主人公である信を取り上げます。下僕の身分に生まれ育った信は、ある事件をきっかけに秦国の王である政と出会い、人生が変わり始めます。戦場で多くの仲間に出会い、敵を倒し武功を上げることで将軍へと駆け上がっていきました。

勇ましく、仲間想いで心優しい性格である信。ちょっとおバカなところもありますが、ここぞという場面では周囲からの期待に応える続けるカッコ良さが魅力です。

そんな、仲間と共に成長し続ける信ですが、彼がビジネスパーソンであったなら、どのようにマネジメントをするのか、それでは話を進めていきたいと思います。

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出典 キングダムより

信の強み

様々な強みがあると思いますが、彼の生かすべき強みとは、2つあると思います。
1つは「人の可能性を信じ、周囲を動かす力」です。
そして2つめは「信念に対して、まっすぐであり続けられること」です。
どういうことなのか解説していきたいと思います。

・人の可能性を信じ、周囲を動かす力

いわゆるリーダーシップ力です。信は漫画の中でも本能型という表現をされていますが、感覚的に物事を見極めたり、判断したりしています。対コトについてはそうなのですが、対ヒトに関しては感覚的と言うにはおこがましいほど、仲間への理解が深いです。

例えば、副長である渕さん。古株ですが、正直、知力が高いわけでも、武力が強いわけでもありません。ですが、ある戦い(黒羊の戦い)で絶体絶命のピンチに大事な役割を渕さんに任せます。それは彼の責任感の強さに期待し、超人ではない渕さんだからこそ、他の隊員に見せられる背中があるんだ。と抜擢するのです。

渕さんもこれに応えるしかありません。決して強制的にやらせた。とか、嫌々やらせた。ということではなく、純粋にメンバーに期待し、信じることで渕さんの力を最大限まで引出し、見事に作戦を成功させました。

出典:キングダムより

また、ここで挙げないわけにはいかないのが尾平とのシーンです。古株である尾平はちょっとした魔がさしてしまったことにより、盗みを働いてしまいます。そんな尾平に対して、信は「二度と戻ってくるな」と激昂します。仲間に対して怒るシーンは非常に珍しいです。メンバーを信じているからこそ、容赦なく、気持ちを発してしまったのだと思います。

もちろん、この後フォローもします。隊を離れた後で大けがをしてしまった尾平に対して、信が自分の想いを語り掛けます。自分の過去の失敗、後悔を語り、組織としてのありたい姿を伝えます。そして尾平は改めて組織に戻らせて欲しいとお願いし、信もこれを了承しました。

出典:キングダムより

別の戦いでは隊全体が絶体絶命のピンチになります。周囲からの支援も途絶え、食料も底をつき、文字通り後がありません。メンバーの士気も下がり、いよいよこれまでか・・・。という雰囲気の中、信はメンバーに語りかけます。これまでのコト、これからのコト
そして、みんなに「力を貸してくれ」と要望します。

信は自分の強さも弱さもよく理解しています。だからこそ、自分の可能性を信じ、メンバーの可能性を信じ、組織の可能性を信じ、人・組織を動かすことができるのだと思います。これはなかなかできることではありません。

出典:キングダムより

・信念に対して、まっすぐであり続けられること

言い換えれば「愚直さ」とも表現できるかもしれません。
自らの「天下の大将軍になる」というWILLを実現するために、果敢にチャレンジするし、機会を自ら創り出します。常に昨日より今日。今日より明日は天下の大将軍に近づいていられるように、考え、行動していると言えます。

ある戦い(最の戦い)では、絶体絶命の状況から仲間が駆け付け、組織としては劇的な勝利が確定したにも関わらず、敵国の大将にタイマンを申し出ます。既に戦いに疲れて、ボロボロであるにも関わらず、戦おうとする信を仲間は止めに入ります。
ですが、本人は戦うと言って聞きゃしません。その理由は「天下の大将軍になるためには避けては通れない道だから」なのです。

出典:キングダムより

WILLをもっていて、それを周囲に語れる人はおそらく世の中にたくさんいると思います。ですが、ここまで有言実行できる人は身近にいるでしょうか。WILLを掲げることも大事なことだし、素晴らしいことですが、何よりもそのために考え、行動を常に一貫させるられることが彼の大いなる強みだと思います。

1つめの周囲を信じ抜く力。2つめの自分を信じ抜く力。
名前の通り、他者も自分も信じることで、周囲に影響を与えるリーダーシップがあることが彼の強みなのだと思います。

信の弱み

では、彼の弱みについて考えてみたいと思います。

知力が高くない(というか、たぶん低い)という特徴もみられます。自分自身で自覚していない時は克服すべき弱みとして捉える必要がありました。物語前半では自分の戦略設計の弱さを理解しきれず、それによって、組織を大いに苦しめるシーンもあり、悪い影響を出してしまっています。

出典:キングダムより

ですが、そこは彼の強みを生かして、周りが補ってくれるようになった(戦略・戦術は別のメンバーが立ててくれている)ため、ここでは弱みとして捉える必要はないと思います。自己を理解し、周囲に自分のできないこと、苦手なことで、周りが得意なことは、相手に期待し、任せている信は既にこの弱みは克服したものと考えるのが良いでしょう。決して、自分が苦手だからやらない。ということではなく、自分が苦手×相手が得意なものを任せているというところに、信のリーダーシップのあり方がうかがえます。

では、僕が捉える彼の克服すべき弱みとは何かというと、「自分と異なるタイプとのコミュニケーション」についてです。

例えば、王奔とのやり取りです。王奔とは貴族の血筋であり、高貴な一族で生まれ育っているため、下僕出身である信に対して、よく突っかかってきます。これに対して、信も負けじと突っかかります。確かに良きライバル関係と言えば、ポジティブな捉え方もできますが、連携がとりきれていないのは、機会を損失しているとも言えます。

組織のリーダーに求められることの1つに「組織間調整」があります。これはメンバーではなく、やはりトップ同士。つまり管理職同士で行う必要性が生じる場面は多々あります。

その時に、今の信では自らの感情のままに動いてしまうため、組織にとって何が最善であるのか、自分の言動の影響にはどのようなことがあり得るか。ということを考える力が足りていません。

強みとしてこれほどのリーダーシップを発揮することができる信だからこそ、自分と合わない人との関わり方のバリエーションを増やし、「組織間調整」を行う力を高めることが、今後成長する上では求められることだと思います。

信をマネジメントするなら

・仕事の意味づけ

とにかく気持ちを大事にするコミュニケーションを心がける必要があります。論理では彼は動けません。これをすることが、WILL(天下の大将軍になること)を実現するうえで、どのように繋がってくるのか、どのように役立つのか、ということを説明することが必要です。

上司として、信に任せたいことと、彼自身がWILLの実現に向けてこれは必要だ!と思えたならば、その推進力は半端じゃないものになると思います。

仕事の意味づけが重要と言うことが昨今言われますが、意味づけには2種類あります。
1つ目は先ほどお伝えした通り、WILLとの紐づけです。メンバーのやりたいことに向けて、今の仕事がどのように繋がるのかを接続すること。
2つ目はCANとの紐づけです。メンバーの強みを伸ばすこと。弱みを克服すること。別の強みを作ること。この仕事を経験することが、彼の持ち味を更に磨くためにどこに繋がるのかを接続すること。

理想をいえば、これらの2つの観点を両方満たすことができれば、更に推進力は倍増しますが、まずはWILLもしくはCANどちらかに紐づけられるように意識をしてみるのが良いと思います。

例えば・・・、営業職である信くんに担当顧客をアサインするシーンです。(※敬語ではないことは気にしないでください)

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信 :俺は今回の仕事で何すりゃいいんだ?
上司:A社を担当して、競合に奪われている販売シェアを奪還して欲しい。
信 :そんなにやられてんのか?
上司:そうだね。ここ数年でシェア逆転されてしまっているよ。
信 :全然、ダメじゃねーか。何やってんだよ。
上司:競合もかなり力を入れてきててね。このまま大きくシェアを取られてしまうと、噂が広がり、他の顧客にまで影響を出してしまいかねないんだよね。
信 :分かったぜ。俺がそれをどうにかすりゃいいんだな。
上司:そうだね。信くんにはそれをお願いしたい。シェアを奪い返すだけではなく、これまでにない強固な関係性を作って、うちのサービスを活用してくれている事例として紹介いただけるほどの状態を目指して欲しい。メディアにも取り上げられれば、信くんの名前も世の中に広がることになると思うし、信くんにとっても天下の大将軍への道の一歩になるんじゃないかな。
信 :世の中に名前が広がる・・・。おっしゃ。やってやらー!
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イメージは湧きましたか?こんな風に彼に期待したいことを明確に伝えるとともに、それが彼にとってどのような意味があるのか、伝えると意味づけがなされて、主体性を引き出すことができます。

・取り組みの言語化

もう1点、彼に組織のリーダーになっていってもらうために欠かせないフィードバックの観点があります。それは自分の取り組みを言語化する力です。

確かに飛信隊は結束力があり、強い組織を作りあげています。ですが、後任育成ができていない。ということが、組織にとっては大きなリスクを抱えています。

組織のリーダーになった時に重要なことの1つに「自分がいなくなった後にも落とさない組織力をつける」ということがあります。もちろん時間がかかっても良いですが、自分と同じように、もしくは自分とは違うかたちでも構わないので、リーダーシップを発揮できる後任を育てておく必要があります。

後任を育てるためには感覚だけでは育てられません。言葉にして、相手に分かりやすく、伝える必要があります。組織として再現性を高めるためにも、信くん自身にとっての仕事の再現性を高めるためにも、後輩育成を通じて、信くんの取り組みの言語化を促すことが求められるのではないかと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。皆さんの考える信の強み・弱みとは違っていましたか?

今回のポイントは仕事の意味づけについてです。上司からすると、意味づけなんて、自分で考えろ。と言いたくなることもありますが、マネジャーが丁寧にメンバーと対話する必要があります。WILLとの紐づけ、CANとの紐づけ、できれば両方ともに紐づくことが理想ですが、どちらかだけでも構いません。もちろん全ての仕事が綺麗に紐づくわけではないと思いますが、この仕事は相手にとって、どのような意味があるのか考え、対話することを心がけましょう。

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次回はどの漫画のどのキャラでしょうか。
お楽しみにっ!

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