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「何度も同じことを言わせるな」ではない。”伝わらない理由”は伝える側にある/マネアカ②

マネジメントアカデミー。略してマネアカ。マネジメントにおける大事なポイントをワンフレーズでお伝えし、「それってただの正論でしょ?」という疑問に答えていきたいと思います。
(目的の詳細はこちらをご覧ください)

※これを読んで意見が同じだった方は「そうだわ、俺も同じことやっているわ」と言語化していただき、異なった方は「なるほど、そんな意見もあるんだね」と思って、引出しを広げることに繋げていただけると嬉しいと思います。

今回のお題は・・・
「何度も同じことを言わせるな」ではない。”伝わらない理由”は伝える側にあるという話です。

ではいってみましょう。

情報が溢れた昨今のビジネス環境

メンバーに伝えたはずのことが伝わっていない。インプットしたはずの知識が身についていない。これは「あるある」だと思います。

伝えたはず、という記憶忘れは置いといて、多くの場合は相手の記憶に残っていない。というのが原因だと思います。では、なぜ記憶に残らないのでしょうか。その背景には昨今のビジネス環境が影響しているように思います。

言わずもがなですが、昨今のビジネス環境はとにかく情報が溢れています。この状況下では昨今の新人・若手の皆さんは本当にインプットが多くて大変だと思います。

想像してみていただきたいのですが、先輩社員が情報をインプットすることを考えると、元の知識がある上に新たに増えた情報を上積んでいくことになるかと思います。知識が100あったとすると、2021年に発生した新たな情報の10を足していくイメージです。ですが、新卒新人からすると、新たな情報の10をインプットするだけでは当然足りず、先輩がもっている100の知識のうちの50~60はインプットする必要があるでしょう。

ちょっと分かりにくかったかもしれませんが、先輩たちが数年かけてインプットしてきたことを新人若手は1年や2年でインプットしないといけない。ということです。

「この間、勉強会したよね?」「チームの報告会で方針を伝えたよね?」「なんで覚えていないの?」
そんな言葉を投げかけたとしても、メンバーも必至です。大事なことは覚えようと思っているはずです。でも覚えられないのです。そんなに簡単なことではありません。

新人・若手が仕事を覚えられない理由

記憶に残らない。上司からすると伝わらない。となってしまうのは大きく3つの理由があるように思います。

①目的(WHY SO)が伝わっていない

例えば、社内のルールに関して、何度も同じ間違いをする。なぜルールがあるのか、メンバーに伝えていますでしょうか?
例えば、依頼した仕事もよく忘れてしまう。その仕事の目的をメンバーに伝えていますでしょうか?

目的を理解していないのは、その重要性を理解することができていない。ということです。人間、記憶できることには限りがある中、大事なことだと思わなければ、覚えておくことはできません。

いやいや、大事なことに決まっているじゃん。と思うこともあると思いますが、何を大事に思うのかは人によって異なります。育ってきた環境も違えば、一人ひとり価値観も異なります。

特に大事なことは目的(なぜ、そうなのか)を意識的にメンバーに伝えることを心がけましょう。

②影響(SO WHAT)が伝わっていない

社内のルールを破ったときに、どういう影響があるのかメンバーに伝えていますか?依頼した仕事が間に合わなかったら、どういう影響があるのか、メンバーに伝えられていますか?

目的を伝えるのと同様に影響もあわせて伝える必要があります。

個人的には社内のルールも破っても構わないものと思っています。だって、そのルールを作ったときの最適解なのですから、時代が動き続ける以上、常に最善は何か?ということを考えて動く方が生産的だと思うからです。ただし、闇雲にルールを破るのはただの自己中です。なぜそのルールがあるのか、ルールを守らなかった時の影響として、何が考えられるのか、理解した上でルールは破る必要があると思っています。

やや話が脱線しましたが、大事なことは影響(だから何なのか)を意識的にメンバーに伝えることを心がけましょう。

③タイミングが悪い

最後にタイミングです。トヨタ生産方式に「ジャストインタイム」という言葉があるのをご存じでしょうか。必要なものを、必要なときに、必要な数だけつくる」という発想の生産管理方式です。

これが情報のインプットにも同じことが言えると思います。つまり「必要な情報を、必要なときに、必要な範囲だけ伝える」ということです。

冒頭にもお伝えした通り、今は情報に溢れた時代です。全部を覚えていくことは現実的ではありません。使わない知識は忘れていくということです。だからこそ、必要な情報はその時々にインプットすることを心がけましょう。3回教えたけど、一度も使わなかった情報を2年後に使うより、1週間後に使う情報を1回教えて使ってみれば、忘れないと思います。

それって正論でしょ?

いやいや、いちいち目的や影響を伝えたり、その時々にインプットするのなんて、大変すぎるし、そもそも聞いていないのが悪くないか。だって、「分かりました」と言ったじゃないか。
知識のインプットの機会(例えば、勉強会とか情報共有会)の内容なら兎も角、先日ミスをして叱ったことについても同じことをされることがある。これは本人の問題じゃないか。
そんな「そうは言っても」という声が聞こえてきそうです。

そうなんですよね。ちゃんと聞いとけよ。と思います。

でも、結局覚えてくれないのだから仕方ないのです。何度もお伝えしている通り、昔と今では環境が異なります。今の社会は情報に溢れています。皆様の職場でも若手のうちに覚えないといけないこと増えていませんか?僕の職場(営業)でも商品が昔より2倍くらい?増えているように思います。

また、分かっていないのに「分かりました」と言ってしまうことにも、いくつか理由が考えられると思うのです。
①その時は本当に分かった気になっている
②何が分からないか分かってなくて聞けない
③分かりましたと言うしかない雰囲気
等が代表的な理由でしょうか。

個人的には「分かった?」と聞くと「はい」としか言いにくいので、その後に続けて、「何が分かったの?」ということを聞くことをお勧めします。自分の言葉で言語化させるということです。ただし、聞くときの表情と聞き方には注意です。この質問は相手を威嚇してしまう恐れがあります。そうすると、分かっていても答えられなくなってしまうこともあります。本当に分かったどうかを確認したいなら、答えやすい雰囲気を作ること。もし、自分が他者に攻撃的になりがちである自己認識があるなら「分かったと思ったことを言葉にしてみようか!」等のように、質問ではなく「Let’s」方式で声をかけると良いと思います。


終わりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

今回の話でお伝えしたかったのは、メンバーに「何度も同じことを言わせるな」と言いたくなることはありますが、情報に溢れた現代においてはなかなか記憶に残りません。だからこそ大事なことは目的・影響を踏まえて、適切なタイミングで伝えること。分かったことを本人に言語化させることが重要。というお話でした。

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