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リクルートで最強で最高の組織をつくるまでの物語(第2章:選択と集中の戦略推進)~2つのサイクルを高速回転~

4半期連続の目標達成。2半期連続で最優秀グループ賞を獲得する組織をつくりあげたプロセス・ポイントをシリーズでお伝えしている第2章です。

前回の第1章では人・組織を動かすための土台である心理的安全性について書きました(強固な組織基盤の構築

今日は当初の組織組成の意図でもあった戦略推進に向けて、どんなことにこだわったのか、なぜそうしたのか(←“なぜ”の部分が大事ですね)について、お伝えしたいと思います。

前提:新規顧客を獲得せよ

第1章をご覧いただいていない方に簡単に説明すると、20XX年、あるサービスの戦略推進を目的に新たな組織をつくることが決まり、僕がその組織をマネジメントを任されることが決まりました(詳細を書くのが会社的にNGなためご容赦ください)

ローキャリだらけで組織はスタートし、中途採用をして人数を拡大しながら、中長期の戦略推進だけではなく、短期的にも成果を出すことが求められる状況でした。

そんな中、1つのテーマであった新規顧客の獲得に向けて、
・どのような営業戦略を掲げたのか。
・どのような考え方だったのか。
・どのように戦略を推進させたのか。

組織をあずかるリーダーとして、こだわったこと・大事にしたことをお伝えしたいと思います。

戦略とは3つの問いに応えること

そもそも、戦略(※)とは何でしょうか?
戦略推進を掲げる上で、まずはこの問いに自分なりに応える必要があります。
(※ここでは営業戦略を指します)

・勝つための方法
・勝ち筋を見つけること
・大事にすることを決めること
・やらないことを決めること 
等、様々な表現があります。

個人的には戦略とは「①なぜやるのか、②何をやるのか、③どうやるのか」を決めることだと思います。

①メンバーが納得できる背景・理由を示すこと
②メンバーが記憶できる優先順位・決断を示すこと
③メンバーが理解できる言葉で動き方を示すこと

この3つです。

もちろん、戦略の定義には様々な表現があると思いますし、絶対的な正解があるわけではないと思います。戦略系の書物は山ほど溢れているので、自分らしい言葉・捉え方をぜひ見つけてください。

戦略とは何か、自分なりの答えはあるけど、そもそも「戦略は必要か?」「何のために立てるのか」そんな疑問を持っている方もいらっしゃるかもしれません。組織のリーダーとして戦略を掲げる以上、戦略の必要性について自分なりに腹落ちをさせる必要があります。

なぜかというと、これを納得しきれていないままに戦略をメンバーに伝えても、メンバーの心には届きませんし、時間をかけて戦略を考える意味がなくなってしまうからです。

営業戦略が必要な理由とは・・・

戦略がないとダメなのか?という問いに対して、今の僕は自信をもって、YESと答えられますが、少し前までは「たぶん・・・」という想いでした。ないよりはあった方が良いけど、必要な理由を明確に答えることはできない。そんな状況でした。

皆さんはいかがでしょうか?

僕が思う戦略が必要な理由とは「組織が前に進むにはどうしたら良いかを示すため」だと考えています。組織にとって良いこと、好ましいことをどうやって実現するか、それを明らかにすることが「戦略を示すこと」だと思います。

そのため、一人ひとりが自律し、自分なりに考え動くことができて、それぞれのやり方で成果を出すことができるなら、戦略はなくても構いません。ですが、キャリアの浅いメンバーにとってはどうでしょうか。どうすればうまくいくのか、ある程度の道筋が必要であり、困ったときに立ち返る場所が必要です。

そういう意味では目的の達成に向けて、やらないことを決めて、成功のための最も確率が高い手法を選び、誰がやっても一定の成果を得られる方法を決めることが戦略を決めるということだと思います。

ここで、ご注意いただきたいのは、目標を設定することと戦略を混同させないことです。戦略は常に目標や目的の下に存在しており、目的の達成のための道筋・シナリオを決めることが戦略であるため、全くの別物であることを認識しておきましょう。

KPIマネジメントと数値マネジメントは違う

戦略として”何をやるのか”を決めたら、どのように推進させるのかを考える必要があります。その時に使えるツールがKPI(Key Performance Indicator)です。

「KPIがたくさんあって訳が分からない」とか「何となくKPIを決めている」という声が上がってくることをよく聞きますが、まずはKPIの設定方法について解説しておきます。

KPIを決める前にまずはKGI(Key Goal Indicator)を明確にする必要があります。これはいわゆるゴール・目標のことです。そして、それを達成するために最重要テーマを決めます。多くの人がKGIを決めたらKPIを決めると思っていますが、それは違います。まずは最も重要なテーマ・プロセスが何かを決めることが先です。そのうえで、最重要テーマを指標化できるものは何か。現場でコントロールすることができて、可視化することができて、最重要テーマの進捗を最もリアルに表す指標。これがKPIとなります。

収集することができる数値をやみくもにKPIと設定して、マネジメントを行うと、戦略は推進されません。KPIがたくさんあって大変。数字ばかりを追っている・・・という状態になり、組織が破綻します。

最重要テーマを決めるプロセスを忘れないように気を付けましょう。

KPIマネジメントは2つのサイクルを回すこと

さて、最重要テーマから設定したKPIは当然ながら運用が肝です。可視化しただけ、設定しただけでは大した意味はありません。

適切に運用を行うためには2つのサイクルを回す必要性があることをぜひ覚えていただきたいと思います。

・PDCA
これは皆さんのご存じですよね。Plan (計画)、Do (実行)、Check (評価)、Action (改善) のサイクルを繰り返して、継続的に改善していく手法のことです。営業サイクルにもよりますが、基本的には週次くらいではPDCAを回した方が良いと思います。

・OODA
Observe (観察)、Orient (状況判断、方向づけ)、Decide (意思決定)、Act (行動) の頭文字をとったもので、刻一刻と状況が変わる中でも、環境変化をしっかりと観察し、機動的に意思決定を行い、対応していく考え方です。

2つのサイクルを回すというのは、戦略・KPIは決めたら終わりではないということです。常にこのままの戦略で良いのか、KPIで良いのか、この計画値で大丈夫か?ということを問い、Planに対する状況・CheckからみえたこととObserveした環境を踏まえて、意思決定を行うことが必要です。

常に組織の常識は疑え!というやつですね。

選択と集中。こだわることをシンプルに。

さて、最後にお伝えしたいのは合言葉をつくることです。
(ここは合わないなと思った方は飛ばしてください笑)

個人的に思うのは、戦略推進は「面白くなければ推進されない」ということです。

僕が担当したこの組織においては新規顧客の獲得が重要なミッションの1つでした。セグメントを決め、その特定のセグメントに対して、戦略としては「人材採用における求める人材の明確化」ということを掲げました。理由(なぜやるか)と方針(どうやるか)については割愛させていただきます。

そのために最重要テーマに設定したのは”顧客との初回接点数”でした。ローキャリ組織ということもあり、まずは前進していることを全員で認知でき、戦略推進に手触り感をもてるように初回アポイント件数をKPIに設定しました。

その時に決めた合言葉が「DKTT」です。

どんな、汚い、手を、使ってもアポをとる。の略です。
はい、だいぶしょうもないですね。すみません。(当たり前ですが、実際に汚い手は使ってません笑)

でも、このしょーもなさが大事だったりしたんです。意外とこういうキーワードだったり、みんなで面白がって決めたことって、記憶に残りますよね。

お伝えしたかったのは「やるべきことを絞り込んでシンプルにすること」です。いやいや、絞り込む(つまり他を捨てる)ことは難しい。他にもやらないといけないことはたくさんあるから、捨てられない。という声を聞くことがあります。
ですが、大事なことはちゃんと取り組んでくれるので、思い切って決めても意外と問題ないこともあります。

僕の取り組んだ例では初回接点数にこだわりましたが、2回目の訪問や3回目の訪問が減ったかというと全くそんなことはありませんでした。

また、捨てたことによって困ったら、その時またどうすれば考えればよいのでは?と思います。思い切って、絞り込み、決めることが重要です。

そして、できれば合言葉をつくって楽しく取り組むことをお勧めします。

おまけ:戦略が機能する10のチェックポイント

さて、戦略推進における重要なポイントは以上になりますが、最後に僕が経験した戦略がうまくいかない理由10選をご紹介します。ぜひご自身の組織の戦略を思い浮かべながら、確認してみてください(全部過去の自分の反省です)

①先々の環境変化の見立てが甘い
②競合の実力を見誤る(見ていないのは論外)
③自組織のケーパビリティを分かっていない
④なぜその戦略なのか合理性が不足している
⑤体のいいビジョンで誤魔化してゴールがない
⑥ゴールを決めただけの目標設定を戦略と呼んでいる
⑦抽象的で何をやるのか描けていない
⑧困難な選択を避けた道を選んでいる
⑨戦略を掲げた人の日常の行動が言行一致しない
⑩そもそも戦略がワクワクしない

終わりに

今回は第2章ということで”戦略”というテーマで営業推進について書きました。参考になりましたか?

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よろしくお願いします。

次回は人材育成・組織開発編です。

ぜひお楽しみにっ!

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